音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

    

ザ・チェインスモーカーズ (The Chainsmokers)に学ぶ、EDMアーティストにとってアルバムとは何か

20170421 

 大人気グループのデビューアルバムを紹介したいと思います。ザ・チェインスモーカーズの「Memories...Do Not Open」。そうなんですよ。ザ・チェインスモーカーズはようやくデビューアルバムが出るんですよ。変な感じですよね。今やポップミュージックシーンを全世界的に征服したみたいなそういうようなバンドなんですけれども、まだデビューアルバムさえ出していなかったと。EDMアーティストの非常に特徴的なことで、グラミーを二回とってからようやくアルバムがでたアヴィーチー(Avicii)とか、アルバムっていったい何なのっていう、今の音楽シーンの音源のリリース状況を象徴する今日的なアーティストの一人だと思います。ザ・チェインスモーカーズは、こいつらがなんだかよくわけがわからないと言われてあまり真剣に語られていない時代から「これはすごいんだよ」って言っていました。全世界的なポップミュージックシーンの新しい在り方をこのアーティストがもたらすかもしれないって僕がいった時は、正気の沙汰とは思えない感じだったんですけれども、音楽評論家として私もまだ衰えていないなぁと今更ながら自画自賛してしまいますけれども、本当にシーンをかえてしまったザ・チェインスモーカーズ。彼らの持つ新しさと面白さというのはどう説明したらよいのかというところもありますけれども、まずは一曲聞いていこうと思います。My Type。



 もともと彼らが注目をあびたのは#Selfieという自撮りをテーマにした非常にチャラい楽曲で、こいつら絶対一発で終わるなという佇まいのニューヨークの非常に軽い二人組のDJユニットだったんですけれども、現在彼らは再生回数80億回とか分けわからない数字で、Closerは全米チャートで12週間連続1位というとんでもないものをやって、そして彼らがこの間にどれだけ評価を変えたのかというと、未だに彼らはニューヨーク出身のチャラい二人組のDJユニットなんですよ。そこがすごいと思いますね。実は彼らは深い文学性と歌詞の表現力をもったすごい巨大アーティストだったんだって全然なっていないですよね。相変わらずチャラいまんまで、でもなんかこれが売れまくっていて、でもやっぱりいいものだという感じで広まっていっているという。これがすごい。これがザ・チェインスモーカーズのすばらしいところだと僕は思いますね。彼ら自身もこんなことになるなんて思っていなかったし、その戸惑いというのが「Memories...Do Not Open」という、自分達の幼い日の思い出の品をジャケットにやってすごい地味なジャケットなんですけれども、すごくそういうビジュアルに自分達の戸惑いというものが表現されていていると思います。わりと最近ヒットしているParisという曲は、

  僕らはパリにいた
  君の両親から逃げようと
  「ワオ」って感激したよ
  この瞬間を一枚の写真に撮れるといいな
  こんな風にうまくいくとはね
  テラスに出て身勝手だけれども痛感したよ
  君ひとりだけを落下されるわけにはいかない
  ほったらかして他の誰かと遊びほうけるなんて
  落ちるならいっしょに落ちよう
  君なら何でもできる
  僕は賢明だと言われるさ
  落ちるならいっしょに落ちよう
  なんだって逃げ切れるよ
  二人が最高だって示そうよ
 
 っていうしょうもない歌詞なんですが、すばらいし歌詞だと思います。「この瞬間を一枚の写真に撮れるといいな パリ」っていう風景。そして「落ちるならいっしょに落ちようよ」っていうメッセージ。恐ろしき才能だと思います。Paris。



 なぜザ・チェインスモーカーズがここまでブレイクしたのかというと、理由はたった一つ。言ったら「えー」という感じですけれども、EDMシーンの中で一番メロディーメイカーとして才能があったからこれだけブレイクしたわけですね。メロディーが見事なものですけれども、ただそれだけではなくてアレンジや世界観とありとあらゆるものの複合的な、非常に今日的なポップミュージックの有り様を彼らは無意識のうちに、そして意識的なうちに体現していると思います。続いてはYoungという曲で、「若いと大変なんだ」というリフレインがすごく効いているんですけれども、「若いと大変なんだ」という言葉は普遍的な真実で、しょうもない言葉ですけれども、強い言葉だと思います。

  僕が暴走するのは二人とも知っている
  僕が君の車を大破したときにあやうく喧嘩しかけたよね
  僕は庭に突き飛ばされて夜な夜なこっそり抜け出して公園でおち合ったり
  心配しないで僕の恋人
  僕らは愛することを学んでいるところなんだ
  でも若いと大変なんだ
  ああ若いと大変なんだ




 参考)


 

デクラン・マケナ(Declan McKenna)に学ぶ、なぜ今の若いミュージシャンは社会的な歌を歌わないのか

20170407 

児島由紀子「今UKシーンで話題の18歳のシンガーソングライターのデクラン・マケナくんという、今時珍しい社会派のシンガーソングライターなんです。いかにもアイドルポップにはまってそうな年齢なのに、シリアスな社会派ソングばかり書いているんですよ。宗教の独善性を歌った曲とか、メディアの人種偏見報道を弾劾する歌とか、ティーンの自殺問題とか。そういう歌詞なのに音は非常にオシャレでポップな感じなんです。」

渋谷陽一「そこが今っぽいですね。」

児島「もうすでにUKのティーン層の世代の代弁者みたくなっているんですよ。」

渋谷「写真みたけどルックスもかわいいじゃないですか。」

児島「そう。この年齢ってみるたびにかわるじゃないですか。初めて今回ツアー中に捕まえて取材をしたんですけれども、またかわって、すごい背が伸びて、今185くらいあるんじゃないですか。それで、この子が有名になったのは2015年のグラストンベリーの新人コンテストが最初で、当時15歳でエントリーして優勝したんですよ。その後、自主流通でデビューシングルのBrazilっていうんですけれども、これがまったく無名の新人の曲なのにいきなり250万回の再生数を記録しました。非常に才能があるんですよ。こういう状況だとジェイク・バグ(Jake Bugg)とも比べられるけれども、音楽的には全然違いますよね。それ以後もいろいろシングルを出しているんですけれども、シングルを出すたびに音楽スタイルを変えるのは、ほかのシンガーソングライターと比べられたくないからだって言っていました。」

渋谷「でも、かえることができるっていうことがすごいよね。」

児島「すごいですよね。それで音楽家としてデビューするまでは真面目な学生だったそうで、英文学と社会学と哲学とポップミュージックを専攻していたと。話した感じ、成績優秀な子だったんだろうなぁっていう感じがしますよ。」

渋谷「じゃあ、自分自身の人気に浮かれることもなく。」

児島「全然。それで、最近のポップミュージックであなたみたいなテーマを歌わなくなったのはなぜだと思いますかって聞いたら、ポップミュージックっていうのは少しでも多くのリスナーに聞いてほしいと思うから、一部のリスナーを怒らせるようなテーマは扱えないだろうって言っていました。でも僕は自分なりに書きたいことを書いているからって。」

渋谷「すごいね。そのコメントも実に大人な感じで。」

児島「ねえ。本当に18歳?って。」

渋谷「すごねぇ。リアム・ギャラガー(Liam Gallagher)とは全然違うねぇ。」

児島「その一方で、何も考えないで楽しめるポップミュージックも好きでって、ビヨンセ(beyonce)の曲とかもよくカバーしているんですよ。」

渋谷「その辺も健全ですね。」

児島「そう。だから今っぽいティーンなんでしょね。」

渋谷「じゃあこれから楽しみですね。」

児島「今年のサマーソニックで初来日しますので、ぜひチェックしてあげてください。」

渋谷「注目ですね。デクラン・マケナくんの注目のナンバーBrazilを聞いてください。」




渋谷「デクラン・マケナ18歳。いいですね。すごく社会的なメッセージを歌うということで注目をあびているようですが、楽曲そのものはすごくポップだし、常に自分自身の音楽的なアウトプットをかえていくということは、一面的な評価されたくないと。それは18歳の時に考えることかと思いますが、やっぱりポップミュージックの歴史、そして彼は学校でポップミュージックを専攻したらしいですけれども、いろいろな歴史を学んでいく中で、ポップアーティストというのはこういう形で消費されて結局消耗していくのかというような事も学んだと思うんですね。その中で自分自身がどうやって生きていけばよいのかということを考えて、いろいろなアウトプットを作れるということはそれだけの才能があるからだと思いますけれども、やっぱりアプローチもすごく知的だしすごいなぁと思います。」

レイ・デイヴィス(Ray Davies)に学ぶ、正しい兄弟喧嘩のやり方

20170324

児島由紀子「10年ぶりのソロ作を出すレイ・デイヴィスについてです。実はザ・キンクス (The Kinks)のスタジオが私が住んでいた所から歩いて数分の所にありまして、つい最近取材をしたんですけれども、取材の前日にアルバム視聴会のときもそこでやったんですよ。その翌日に取材をしたんですけれども、私が住んでいる所とは全くレベルが違う高級住宅街の邸宅にすんでいるんですよ。ジョージ・マイケルの家とかもあるんですね。非常に気難しそうな人のイメージがあったので、その雰囲気を破るために、私も同じ地域に住んでいるんですよって話しかけたら非常に打ち解けてくれまして、普段どこのスーパーで買い物するかとか。」

渋谷陽一「同郷意識が目覚めて盛り上がったんですね。」

児島「そう。この人のどぎついブラックユーモアが私の感性にぴったりでありまして、非常に話がはずみましたよ。」

渋谷「ソロアルバムの音をチラッと聞いたんですけれども、すごくいいですね。」

児島「アメリカーナ(Americana)というからすごくアメリカ的なサウンドかなと思ったら、200%レイ・デイヴィスの音ですよね。」

渋谷「そうですね。レイ・デイヴィスワールド、キンクスワールドが展開していますね。」

児島「キンクスではじめて渡米した頃からの、レイ・デイヴィス自身のスペインから見たアメリカという、自伝が2年前に出たんですけれども、それの音楽化したものだと言っていました。」

渋谷「すごく自分自身の世界観もがっちりあり、現役感もバリバリあるすばらしい音なんですけれども、本人的にも自信作なんじゃないんですかね。」

児島「非常に気に入っていると言っていました。これはパート1で、今年の終わりくらいにはパート2を出すと。」

渋谷「すごいですね。」

児島「新作に100曲以上書いたそうです。」

渋谷「すごいですね。」

児島「この人、昔から非常に多作家なんですけれども、過去10年ブランクがあったから、非常にたくさん曲があるんだって言っていました。」

渋谷「イギリスではやっぱり伝説の存在として人気があるんですか。」

児島「もうミュージシャン中のミュージシャンというか、ソングライター中のソングライターで、いろいろなミュージシャンにインタビューしてレイ・デイヴィスを嫌いと言う人にはあったことがないですね。ブリット・ポップの父とか言われて90年代に脚光を浴びたじゃないですか。あれについては、僕は傍観者だったからみたいな。僕は当事者じゃなかったからねみたいな。」

渋谷「今回の作品は自分自身の作品を世に問うという感じで、わりと前向きな感じなんですね。」

児島「そうですね。でもキンクスの再結成はないみたいですね。最近デイヴ・デイヴィス(David Davies)もソロで自分のやりたいことをやっていて、これでいいんだよって言っていました。」

渋谷「僕もそう思います。ツアーもやるんですよね。」

児島「今年後半にパート2が出た後にはじめるって言っていました。今実はキンクスのミュージカルSunny Afternoonというのが非常に大ヒットしておりまして、今英国中をまわっているんですよ。それのクリエイティブ・ディレクターみたいなこともやっているから、非常に忙しいみたいです。」

渋谷「今度の作品をこれから聞いていただくんですけれども、すばらしくて、このレポートが終わった後ちょっと児島さんに話を聞いたんですけれども、仲の悪い兄弟というのはデイヴィス兄弟は元祖といってよくて、その後ノエルとリアムのギャラガー兄弟が後継者としてイギリスのロックシーンではいるんですけれども、その仲の悪い兄弟の先輩としてリアム・ギャラガーと話した時に、兄弟仲良くできない場合はどうしたらよいのかっていう会話になって、その時にレイ・デイヴィスは、いかに仲良くするかっていう話ではなくて、いかに相手をイライラさせ木っ端微塵にするにはこういう事を言えばいいんだって、そういう指南をリアムにしたそうで、実にレイ・デイヴィス的なエピソードだなぁと、児島さんから話を聞いて思いました。それで、レイ・デイヴィスの最新のソロナンバーを聞いてください。Poetry。」



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