音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

    

ザ・ヴァクシーンズ(The Vaccines)に学ぶ、インターネット時代に入って誰もが公平な条件で勝負できるようになった説

20180415

 ザ・ヴァクシーンズでI Can't Quit。



 ザ・ヴァクシーンズの3年ぶり4枚目になります新しいアルバム「Combat Sports」からのナンバーでございました。この3年の間にザ・ヴァクシーンズの激動の時間が過ぎたわけでございまして、ドラマーのピート・ロバートソン (Pete Robertson) が脱退し、新しいメンバー二人が入り、その間に3年間の時間があり、前作「English Graffiti」が時代の音を取り入れた作品だったんですけれども、そこからもう一度ザ・ヴァクシーンズの本来的な魅力である、このようなストレートなロックンロールにまた回帰したと、そういう作品が発表されました。非常にエネルギーに満ちたすばらしい作品だと思います。Out on the Street。



 彼らの魅力が爆発というか、彼らのファンは「これだよこれ」という思いが沸き上がるナンバーだと思います。今言いましたように、前作「English Graffiti」がまさに時代の音をたくさん取り入れて、時代のリアルの中でロックバンドはどうあるべきかという方向性と格闘したすばらしい作品だったと思います。ただ、メンバー自身これを作っているうちに、俺たちの本当の核って何だったんだっけという所が見えなくなってしまって、そういう所に陥ってしまったようです。例えば、この音を聞くとロックをはなから信じて、時代とちゃんと向き合っていない、先週ジャック・ホワイト(Jack White)が批判したロックバンドになってしまう、そんな危険性を感じるかもしれませんけれども、彼らは全然そういう所にはいなくて、まさに「English Graffiti」でいろいろな事に挑戦して、時代の音であろうとしながら、でも俺たちって本来的に何なんだろうってことをもういっぺん向き合って、ここにきたという、彼らなりの時代との向き合い方をしっかりやっている、そういうバンドだと思います。その証拠にインタビューで、今のインターネット時代において、楽曲ごとにいろいろな曲が消費されている、そういう時代ってロックバンドって不利ですよねって、実際そうだと思いますが、その状況について彼らが何て言っているのかというと、そういう状況ってあなたたちは生きていくのが難しいですかっていう質問に対して、

  ある意味すごく難しいよね。ストリーミングってポップス系のアーティストが恩恵を受けやすいサービスだと思うしさ。でも一つ思うのは、インターネットやストリーミングによって間違えなく誰もが公平な条件で勝負できるようになったということで、誰もがいつでも誰からでも自分の音楽を聞いてもらえる可能性がある。誰が作った音楽でもネットで発見される可能性があるからさ。

 すごいなぁと思います。まさにそういう時代なんだよねっていう。その中で自分たちが何をやるのかというと、やっぱりいい曲をしっかり作って、そしてツアーをやるんだと。彼らなりのすごく正しい時代との向き合い方というのを設定したからこそ、このサウンドができた、決して過去に向かっている回帰的なものではないんだと、そんなシーンに対する真面目な姿勢がこのサウンドを生んだんだなぁとそんな感じがします。Take It Easy。


ブロッサムズ(Blossoms)、プロ意識がない

20180323

児島由紀子「2年前にUKシーンに登場したブロッサムズという新人バンドについてです。デビューアルバムでいきなり二週連続全英1位になったり、アデル(Adele)のアルバムを蹴落としたり、マーキュリー賞にノミネートされたり、すごいんですよ。彼らはあの後、リアム・ギャラガー(Liam Gallagher)さんに俺のソロ用の曲を書いてくれと頼まれたり、そのすぐ後に今度はノエル・ギャラガー(Noel Gallagher)兄貴に会った時に、お前は俺とリアムのどっちにつくんだってせめられたり、もう引っ張りだこなんですよ。」

渋谷陽一「迷惑な兄弟ですね。」

児島「今年の7月からノエル・ギャラガーのバンドのサポートとして欧州ツアーに出るんですけれども、さすがノエル兄貴手が早い。弟のリアムが手を出す前に俺が取り込むんだと思ったんでしょうね。」

渋谷「そうですね。ノエルに続くグッドメロディーを書く若者ですからね。」

児島「というわけで、90年代UKシーンでナンバーワンソングライターと言われているノエル兄貴にも非常に気に入られている新人なんです。で、ついに新作が出るんですね。待望のセカンドアルバム。新曲が出たんですけれども、必殺のメロディーラインですよね。あの若さでどうやってこんなメロディーを書いているんでしょうね。」

渋谷「より一層ポップになっている感じですよね。」

児島「そう。なんか80年代のメジャーポップバンドみたいな曲。」

渋谷「そうですね。でもやっぱりモダンですよね。」

児島「そう。基本的には彼らはギターバンドなんですけれども、キーボードの比重がすごく高くなりましたね。」

渋谷「やっぱり時代を見ているんだと思いますよ。」

児島「そういうところがすごく賢いと思うんですね。この子たちは。」

渋谷「普通に若者だっていう感じがしますよね。」

児島「彼らはそういう賢い所がある半面、いい意味で、悪い意味かな、プロ意識がないんですよ。インタビューするために5人一緒に来るんですよ。それで、宴会のノリになってまともな話を聞けないんですね。それを分かっていたから、取材の前にマネージャーに1人か2人にしてくれって言ったんですよ。メインソングライターを入れて。なのに結局5人でくるんですよ。マネージャーもメンバーと同じくらいの年で、友達のノリだからコントロールできないんですね。だから私後で、あなたちもっとちゃんとしたマネージャーを雇ったほうがいいよって言ってやろうと思ったんですけれども。ほんと、これからバンドがビックになっていくにつれて、あんなマネージャーだとほんと仕切り切れないと思います。なんて余計な心配をしてしまったんですけれども。」

渋谷「すべてのロックバンドのお母さんとしての児島さんが出てきますね。」

児島「まだそんなよく知らないうちからお説教めいたことは言いたくなかったので、次に会った時でも言ってやろうかと思います。」

渋谷「でも本人たちはいくら幼くても、楽曲はパワーがあるので、セカンドアルバムでより一層大きくなりそうですね。」

児島「すごいアルバムになると思いますよ。だいたい、新人のセカンドアルバムってかなり微妙なんですね。バンドにとっては。でも、これは軽くクリアーできると思います。」

渋谷「児島さんが言っていたようにセカンドアルバムはなかなか新人バンドにとって難しいハードルなんですけれども、ブロッサムズは軽く越えてきそうですね。I Can't Stand It。」


現在のザ・ビートルズ (The Beatles) 、ミーゴス(Migos)

20180323

 ミーゴズの最新アルバム「Culture II」を聞いていただこうと思います。これほど内外格差の大きいユニットはないですよね。今やヒップホップシーンを征服したといってもよい巨大な存在のミーゴス。しかし、そんな事を言ってもぜんぜんピンとこない日本の音楽事情。ゴールデングローブ賞でいろいろ賞をとったドナルド・グローヴァー(Donald Glover)、ヒップホップシーンではチャイルディッシュ・ガンビーノ (Childish Gambino)という名の方が通りがいいですけれども、彼がミーゴスについて、「まさに彼らはこの時代、俺たちのビートルズなんだ」と言ったわけですけれども、全然ピンとこないですよね。でもまさにそんな存在なんですよね。彼らが登場したことによって、ヒップホップは文体から構造から音の在り様からみんな変わってしまったという。ミーゴス以前とミーゴス以後ですっかり変わってしまったというとんでもな存在なんですけれども、その変わり方がなんとも説明しにくいという。当初出てきたときは、ユニークなスタイルと歌詞もある意味前衛的なわけですけれども、でも難しいことを言っているわけではなくて、ブランドの名前をただひたすら連発しているって、これちょっと頭悪すぎないかっていうシュールな歌詞でガンガンきているんですけれども、でも音楽の洗練度と彼らの存在とメッセージと在り様は本当に革命的な存在だと僕は思っています。こんなユニークなスタイルですと、おんなじワンフレーズを延々続けて、でもいっぺん聞き出したらやみつきになってしまうと、そういう感じのある彼らの音をまずは一曲聞いていただきたいと思います。Walk It Talk It。



 このスタイルが今やヒップホップシーンを席捲しています。最初にミーゴスを聞いた時のこのゆっくりさと音数の少なさ、そしてこの三連符連発の独特のヒップホップスタイルというのは非常にインパクトがあって、そしてビデオを見るととにかくどれだけゴールドのアクセサリーをいっぱいつけて、豪華な車にのって、裸のお姉さんをいっぱい侍らすのが一番偉いかみたいなこの世界観だったら頭痛いなぁという感じだったんですけれども、でもこの音はすごいですよね。そして、彼らが持っている一つのカルチャーみたいなものはものすごく強固なものとして確立されていて、ものすごい影響力を行使して、アルバムも当然のごとく全米ぶっちぎりのナンバーワンになり、セールス的にも文化的にも音楽的にも、あるとあらゆる人達のフィーチャリングアーティストとして登場していて、本当に今はミーゴスの時代だということで、どんどんいこうと思います。Gang Gang。



 ミーゴスファンからなんでこの曲を選ぶのかと言われるかもしれませんが、ヘヴィ・メタルバンドのバラードをかけているみたいなものかもしれませんが、ミーゴスのディープなナンバーはいろいろ大変で選曲には苦労したのです。なんとミーゴスが来日するという情報があって、「えー、ミーゴス来日。絶対来ないよな」と思いながらもすごく楽しみにしていたら、寸前になって「不測の事態でミーゴスは来日中止」って。「やっぱりなぁ、不測の事態ってよくわからないぞ」みたいな感じで、日本でライブを見ることはできなかったんですけれども、見たかったなぁという感じがします。さすがにこれだけポップミュージックシーンを席捲しているので、日本においてもだんだんミーゴスについてのいろいろな情報が入ってきて、みなさんも全体像をつかむことができるかもしれませんが、ここではもう一曲、これも普通のポップミュージックファンに届く、彼らの音楽的な広さを感じさせるナンバーを選ばせていただきました。Culture National Anthem。



 ミーゴスの中では特出してポップな曲だけ選んだので、よりディープな形はまた別の形でみなさんがチェックしていただきたいなと思います。
記事検索
スポンサーサイト
スポンサーサイト
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ