world rock now19981016
渋谷陽一「ビューティフル・サウス(The Beautiful South)、最近はチャートの常連っていう感じですけど。」
児島由紀子「そうですよね。アルバム出して一千万枚くらい売れますからね。」
渋谷「なにそれ。カーペンターズ(Carpenters)じゃないんだから。」
児島「すごいと思いません?もう、完全に大衆AOR路線なんですよ。かつて、ハウスマーティンズ(The Housemartins)にいた人とは思えないんですけど。」
渋谷「そうだよねぇ。かたやファットボーイ・スリム(Fatboy Slim)。かたやビューティフル・サウス。わけがわからにことになっているんですけど。」
児島「ノーマン・クック(Norman Cook)とものすごく対照的ですね。でも、こちらはオーソドックスに金儲け路線を選んだということでしょうがないですね。」
渋谷「みもふたもない言い方を。そんなベタベタなものじゃないじゃない。これはこれで上等なものじゃないですか。」
児島「そう思いますか?」
渋谷「まだましじゃないの。」
児島「でも、ハウスマーティンズの頃を知ってる者としては・・・。スミス(The Smith)よりも政治的なバンドでしたからね。スミスとならぶくらい重要なバンドだったんですから。」
渋谷「そうですね。だから、パンクを踏まえてどうやるかということで、ビューティフル・サウルとノーマン・クック。」
児島「よりラディカルに過激にいったノーマン・クックとものすごく対照的ですね。」
渋谷「そちらでの評価はどういう感じなんですか?」
児島「昔ながらのファンと、大ヒットしてちょっと入ったファンが半々って感じですね。でも、どこのパブのデュークボックスにも必ずありますから。」
渋谷「だけど、それだけの枚数が売れるってことはもう一家に一枚って感じじゃないですか。」
児島「そうですよ。だけど、音楽通には尊敬されてないですね。やっぱり金をとったんだっていうイメージがあるからでしょうね。その反面ノーマン・クックは非常に尊敬されてますね。」
渋谷「まあ、がんばってラディカルなこと続けてますからね。」
児島「チャートアクションもすごくいいじゃないですか。理想的なパターンですよね。」
渋谷「そうですね。ちゃんと新しいトレンドを自分自身で作っている感じがしますけれど、このビューティフル・サウスの場合は限りなく迎合的というか。」
児島「そうですね。おかげでどんどん太っていくみたいですけどね。ポール・ヒートンも。」
渋谷「その太っていくっていうのも・・・。」
児島「オーソドックス路線に行く人って一般的に太るみたいですよね。」
渋谷「そういう因果関係がある?」
児島「スミス解散後のジョニー・マー(Johnny Marr)、ストーン・ローゼズ(The Stone Roses)解散後のジョン・スクワイヤー(John Squire)って一時的にみんな太ってますからね。」
渋谷「なるほどねぇ。」
児島「腹の緩んだポール・ヒートンという感じで。」
渋谷「なるほど。今日は健康にも留意するという。」
児島「ガバガバ儲けているという。」
渋谷「わかりました。どうもありがとうございました。」
児島さんが尊敬していたハウスマーティンズです。
児島さんがボロクソに叩いてたビューティフル・サウスです。