ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

リンプ・ビズキット(Limp Bizkit)に学ぶ日本のメタラーの生態

world rock now 19990709

 リンプビズキットでI'm Broke。



 コーン(Korn)の弟バンドとして知られるリンプ・ビズキットなんですけれども、今回はコーンの弟バンドという形容詞はいらない堂々たる作品を仕上げてきました。ファーストアルバムがじわりじわり売れていて、アメリカでは200万枚だとか売れてとそれが話題になっていますけれども、僕は彼らの出世シングルとなったジョージ・マイケル(George Michael)のFaithのカバーがあるんですけれども、それのビデオクリップを見て非常におバカな佇まいに「なんだこいつら。楽器の演奏とノリはいいけどちょっと頭の軽い連中がでてきちゃったなぁ」みたいなそういう印象を持ったんですけれど、このセカンドアルバムをきくとそのおバカな佇まいが功を奏してというか、例えばレイジ(Rage Against the Machine)とかコーンとか所謂こういう高性能モダンメタルロックは一種カタルシスだけを目的とするヘビメタとは全然違って、自らの暗黒というか自らの問題意識というかそういうものをちゃんと自分達の中にもっていてそういうものと正面から取り組みながらハードな音楽を作ってという、そういう佇まいですばらしい音楽を作っているんですよね。それが音楽のよさになっているし、それが一筋縄ではいかない、単純なカタルシスハードロックにならないよさをつくっているんですが、それはそれで私は大好きなんですが、このリンプ・ビズキットはもうちょっといい加減ですよね。そのいい加減な部分のフットワークのよさというかそういうのが、このセカンドアルバムをきくとよく出ていまして、そのへんのスピード感と気持ちよさがより若い世代にアピールするのではないかというそんな感じがします。Just Like This。



 毎回もいってますが、ハードロックとかヘビーメタルというのは一種カタルシスというか、自己解放を自己目的化しているそういう非常に機能的な音楽だと思うんです。だから、それはそれで様式化するというのもしょうがないですし、それはそれで面白いと思うんですよね。とにかくむしゃくしゃするからとりあえず一瞬気持ちよくなろうじゃないかという、そういう時にはこういう音でガッといきましょうみたいな、対処療法的な簡単なストレス発散法みたいな所があって、それをくだらないといえばくだらないんですけれども、それをくだらないといったらロックなんて音楽全体がくだらなくなってしまうようなジャンルですからそれはそれでいいんですよね。僕はそれで否定しないですし、そういう音にしがみついた十代二十代をすごしてきたので人のことはいえないんですけれども、ただこれも毎回言ってるんですけれども、60年代のむしゃくしゃと70年代のむしゃくしゃと80年代のむしゃくしゃと90年代のむしゃくしゃはそれぞれ違って、それぞれの発散方法があると思うんですよね。だからアメリカにおいてもこういう風にスタイルが変わっていって、今90年代後半の若者に対してはリンプ・ビズキットとかコーンとかの音がジャストだし、ああじゃなきゃスカッといかないと思うんですけれども、なぜ、なぜにして、日本のハードロックヘビーメタルファンはあの古典的な様式美に執着するのか。おかしい。論理的にそれだ発散できるわけはないと私は思うんですけれども。なぜそれでいいのかが不思議でしょうがなくて、リンプ・ビズキットとかコーンは日本の古典的なヘビメタファンには評判が悪い。なんか髪の毛が長くないし、ズボン短いのはいてたりしてるし、そうなっちゃうんですよね。今現在のストレスには今現在のカタルシスがないとうまく発散できないと思うんですけどね。今のヘビメタファンというのはストレスないんですかね。70年代のストレスを未だにもっているというしつこい人たちなんですかね。で、リンプ・ビズキットは新しい音にも対応してまして、ヒップホップなどにもすごく影響をうけたスタイルをとっているんですが、次ぎはウータン・クラン(Wu-Tang Clan)のメソッド・マン(Method Man)といっしょにつくったナンバーをきいていただこうと思います。N 2 Gether Now。





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