ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)に学ぶロックと政治活動の関係

world rock now 19991105

  レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの最新アルバム「The Battle Of Los Angeles」からGuerrilla Radio。



 全編こういうハイテンションで攻撃的なナンバーがそろっていて、僕らの期待に100%こたえてくれているという感じなんですが、Guerrilla Radioというタイトルからもわかりますように、歌詞も前以上に直接的なものとなっておりまして、最近のザックのインタビューなんかを読んでもですね、自分の政治的なプロパガンダと政治的なメッセージ性と政治活動みたいなものと、自分達のバンド活動というのを非常にリンクさせていて、その中で彼自身の全体の活動の中でバンドの活動も位置づけているというそういう活動になっていますね。現実に対して直接的に関与していって、そこをどうやって変えていくのかという武器の一つとして自分達の音楽をとらえ、自分達の活動の全体をとらえているという、より一層ザックがザックらしくなっていったというそんな感じがします。しかし、非常に王道なロックのテイストも一貫して持ち続けておりまして、そうした意味でのロックらしいロックアルバム、今までのヒップホップのテイストよりもよりロックらしいアルバムというのも強まっているという感じがします。Born Of A Broken Man 。



 ザックは自分の政治活動の中でバンドもその武器として考え、そして政治も音楽も統一して一つの表現にしているというそういうノリがあるようです。それがこの作品のエネルギーを生んでいるといったのですが、だからいいのかというとそうじゃないんですよね。例えば、Guerrilla Radioという曲は今こそゲリララジオをはじめるべきだというメッセージといかにもレイジらしい歌詞の内容を持っているんですが、ではこれが女とやりたいぜとか、アイツとキメたいぜとかそういう歌詞だと全然意味がないのかというと、そんなことは全然ないと僕は思うんですよね。それでもGuerrilla Radioのグルーブとテンションがでれば、曲のテーマがラブソングであろうが政治的なメッセージであろうが違うものであろうがなんだっていいんですよ。レイジがラジカルな政治的なメッセージを持っているからすばらしいのでは全然ないんですよね。ロックのグルーブと楽曲のテンションと歌詞のリアリティーというものが保障されているのならば、そこでの政治的スタンスというのは表現にとっては二の次なわけなんです。これはいつも言っているんですけど、ロックというのは現実と表現者が擦れ合ったときに生じる摩擦のノイズだと思っているんですよね。その摩擦のノイズがどれだけ高いかによって、その音楽のテンションが決まってくると思うんですけれども、今僕らが前向きで高い摩擦係数のノイズを出すには、現実をちゃんと見据えていってそこで現実に対して何か前向きな言葉をきっちり吐いてそこで戦うという姿勢がない限り、ヒップホップとかああいうシリアスな表現がガンガン出ているときにロックが自分達の立ち居地をしっかり確保するためには最終的に必要となってゆく局面、そうじゃなくてもそれでけのものを出せればすばらしいんですけれども、それはなかなか難しいと思うんですよね。だからこそナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)とかレイジとかそういうメッセージ性の高いロックバンドの音がどんどん現実性を高めていって、逆に言えばロックという表現を守っていって「イカしたギターだぜ」とかいってる奴らの音楽がどんどん間抜けになっていってしまうというのも、90年代のロックのシリアスな現実だと思うんですよね。つまり、政治的なメッセージを歌ってるからいいとか、彼ら自身が左翼的な思想を持ってるからいいとかそういうことではなくて、しかしそういうところに彼ら自身がいるからグルーブやテンションが出ているというのも事実であるという、逆に言えば、彼らが政治的なプロパガンダだけで音楽をつくっていくと彼ら自身の音楽は絶対につまらなくなってしまうと思うんですよね。彼ら自身がそういう状態に陥る危険性は多少あるんですけれども、今現在は彼らはちゃんと単なる政治的なプロパガンダではなくてあくまでも非常にテンションの高いロックンロールをやっているところがすばらしいというわけであります。Testify 。




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