ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

セックス・ピストルズ(Sex Pistols)の「Never Mind the Bollocks」について

world rock now 20000908

 セックス・ピストルズは解散後に二枚組みのアルバムとか出たりしましたけれども、実質的な一枚だけのアルバム、「勝手にしやがれ」という作品を聞いていただこうと思います。1977年に発表された作品で、セックス・ピストルズはいまさらどういうバンドであったかということを説明するまでもないですけれども、パンクミュージックシーンにおいて代表的なバンドであり、ジョン・ライドン(John Lydon)というかジョニー・ロットン(Johnny Rotten)というか天才的なボーカリストを擁して、本当に風のようにあらわれて風のように消えてしまったバンドであります。我々もこういう言い方をしますし、世間もパンクロックの代表的なアーティストという言い方をするのですが、正確にいうとそうでもないんですよね。パンクロックシーンでこのセックス・ピストルズはいろいろな意味で異色なバンドでありました。まずは代表的なナンバーのAnarchy In the U.K.を聞いていただくんですが、我々がイメージするパンクロックはすごくラフでエネルギッシュなナントカという音ではなくて、非常に彼らの音はウエルメイドなんですよね。クリス・トーマス(Chris Thomas)という当時の敏腕プロデューサーが手がけた作品なんですけれども、いわば「日本でものすごいパンクバンドがでるぞ!!プロデューサーは小林武史?大沢伸一?」そういう世界なんですよね。だからすごく音楽的にも完成されていて、パンクというよりもハードロックな佇まいのバンドであります。そんなことを頭の片隅においていただいて、まずは聞いていただきましょう。Anarchy In the U.K.。



 セックス・ピストルズを取り上げようと思ったのは、つい最近NO FUTUREというセックス・ピストルズのドキュメンタリーを見まして、非常によくできていたんですね。これを見るとですね、セックス・ピストルズはクラッシュ(The Clash)とかジャム(The Jam)とかああいう自発性の強いパンクロックバンドとは違って非常に芸能界的な構造の中ででっち上げられた、そういうバンドだったことがわかるんでるよね。それだからインチキであるというのではなくて、それにもかかわらず、あるいはそれだからこそ時代の欲望、あるいは聞く側の欲望をものすごく正確に反映して、その中でどんどん追い込まれていく。彼ら自身が才能があり優れたミュージシャンである、すぐれたカリスマ性を持っていた人間だからこそ、追い込まれてあんなことになってしまったということがリアルに伝わってくる、すごくセックス・ピストルズのことがよくわかる優れた映画だったんだけれども、見た後すごく苦い、のど越しの悪い感じが残る、だからこそ優れたドキュメンタリー映画だと思うし、セックス・ピストルズってそういうバンドだったんだなぁと改めて思いました。まさにこのタイトル通り、美しい空虚だった。そういう感じがします。Pretty Vacant 。



 セックス・ピストルズは解散してからかなりたってから、金儲けを目的とするんだとして再結成しましたけれども、このバンドの場合は確かにありだなぁとドキュメンタリーをみて思ったりしました。


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