音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

レディオヘッド(Radiohead)に学ぶロックが終わった後の「ロック」とは?

world rock now 20001006

 レディオヘッドでThe National Anthem。 


 

「みんなここにいる。みんなもうちょっとのところで踏ん張っている。みんなここにいる。みんな何かが恐い。みんな踏ん張っている。踏ん張っているんだ。」という非常にシンプルな歌詞のナンバーですけど、しかし非常にかっこいいですよね。私はこの作品傑作だと思いますね。本当に事前に「すげえぞ」とか「ロックは終わった」とかいいながらつくった作品だとかね、テクノがガンガン入ってるとか事前情報がすごく一杯来ていて、うちのスタッフもわざわざイギリスに行って聞いてきたり、インタビューしてきてまさに伝聞形式の情報が入って、私の中では勝手にレディオヘッドのKidAはすでに鳴っていたんですけど、ぜんぜん実際は違う音でビックリしちゃいました。私が想像できるようなものであれあば傑作ではなかったのでありますけれども、私の想像といい方にズレるすばらしい作品でした。U2なんて事前の情報どおり、私が想像したもの×0.8みたいな作品がきちゃったんですけれども、レディオヘッドは僕が想像したものとまったく違っていました。僕が想像したのは、U2のポップみたいな非常にコンテンポラリーな方法論が多様され、テクノの方法論、ヒップホップの方法論を大胆に導入した、今のロックに対するある意味でのあきらめと挑戦的なそういう作品になったのかなぁと思っていたら、徹底してロックですよね。これはすばらしい。今、トムヨークはロックはつまらないとか言ってますけれども、誰よりもロックに真剣に向かい合い、誰よりもロックを愛して、誰よりもちゃんとロックのイノベーションを成し遂げているのがトムヨークでありレディオヘッドであるというそういう作品になっていると思います。本当にメッセージの直接性、そういうことから含めて私は今回しっかりと原稿を書こうと思っているんですけれども、そういう正面から向かい合ってロック論を書きたいなぁと、そういう気にさせるすばらしい作品になっていると思います。もう一曲聞くんですけれども、このOptimisticというタイトル自身が実に今ロックが言うべき非常に象徴的なタイトルだと思います。歌詞はいろいろなことがメッセージのなかに含まれているんですけれども、基本的に「出来る限りのことをすればいい。出来る限りのことをすればいいんだよ。君に出来る限りのことをすればいい。恐竜が地球を徘徊している。恐竜が地球を徘徊している。」という、なんか何度僕らはこういうロックの詞を聞いてきたんだろう、そしてそれにどれだけ感情移入してきたんだろう、そしてそれがコンテンポラリーなロックのメロディーとビートにのって歌われることを何度快感として体験してきたんだろう、それは2000年にもこうしてあったというそういうナンバーでございます。Optimistic。


 最初にも言いましたけれどもロックがロックであることでOKな時代はかなり前に終わっておりまして、意識的なミュージシャンはすでにギターロックは退屈だとか、ロックは終わったとか言う人が多いです。それが何をさしているのかは非常に明白ですし、そういう問題意識がなければロックもやっている意味がないという気がします。ただ、ナインインチの時も言いましたし、パールジャムの時も言いましたし、だけどロックから逃げたところでしょうがないわけであって、「つまらないならやめろよ」といわれたらそれっきりなわけなんです。そういうことを言っている非常に優れたミュージシャンはだけれどもなんとかしなきゃという、自分たちが表現できるのはきっとロックだけなんだろうなぁという、そういう確信を持ちつつそういう発言をしていると思うんですよね。そういうミュージシャンだからこそ「いえーい、ロックだぜぇ」みたいなギターをジャンと鳴らしてドラムがエイトビートを鳴らしてそういうことで一件落着しているヤツらにたいしてすごい腹立だしいんだと思うし、「お前らそれでいいのか」とそういう気持ちが「ロックはつまらない」とか「ロックは終わった」とかそういう発言で出てくると思うんですけど、そこからどう一歩先に踏み出すかというところで、もっとも安易なというか考えがちなのは、ヒップホップみたいな音楽に対して「これすごいじゃん」みたいな、ここから大いに学んでそこから何かやろうよという、それはそれで僕は正しいと思うし、そういうことで成功しているロックバンドもたくさんいますけれども、ただそうじゃない、今までのロックの文脈の中でどうやって行くのかという努力、それをパールジャムやナインインチもやっているし、今回のレディオヘッドはその中でもかなり先にいった仕事をきっちりやってくれたなぁという感じがします。あえて難点といえば、ちょっと高級すぎるというか、アート寄りにいってポップミュージックとしてはのど越しの悪さの限界まできてるのかなぁという気もするんですけれども、僕は当初危惧していたアートな到達点よりかなりポップミュージックとして踏みとどまってくれているなぁと、これならいいんじゃないかなぁという、今すぐの市場性というと結構きついと思うんですけれども、それでもすごいんじゃないかなぁと、頭下がるなぁというかよくやってくれたなぁという気がします。トムヨークは過去の自分の作品に対して感情移入ができない、要するに過去のロック的な文脈に対してつくった自分の作品に対して感情移入ができなくて結構きつかったと。で、新しい自分にとっての全面的に信頼しえるスタイルと努力が相当な時間をかけてこの作品の中ではつぎ込まれていると思うんですよね。で、すごい達成感があってうれしかったと。しかし、もう終わったんだというような発言をしていますけれども、非常によくわかるし、ここで成し遂げたレディオヘッドの仕事というのは、この後のロックミュージシャンが引き継いでいける種類の仕事だと思います。もう一曲きいてください。Idioteque 。


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