world rock now 20011116
ミックジャガーの4枚目のソロ作「Godess in the Doorway」からまずは一曲聞いてください。Lucky Day。
典型的なミック・ジャガー節というのかストーンズ節というのかが思いっきり堪能できるナンバーでしたけれども、これはアルバムにミック・ジャガー自身のコメントが付いていまして、このLucky Dayというナンバーは「ロサンゼルスに長くとどまりすぎたある人間について歌った曲。まあ、僕のことではないけど似たような経験もあるぜ。」というコメントがついていまして、どういう歌詞かといいますと、
ファンタジーの中で生きている
もう愛にやられてしまった僕を
こんなところから脱出するには
この街から離れるしかない
この街から離れる日 それがLucky Dayさ
という詞で、ミックジャガーにとってもロサンジェルスはファンタジーの世界でそこに長くすんでるとこの街の毒気にやられてしまうみたいですね。聞いていただいたように、本当にストーンズ節ミック・ジャガー節が爆発しているアルバムでございまして、当初ミック・ジャガーのソロというのは何かと物議をかもしたもので、本当にストーンズ解散してしまうんじゃないのかという話もあったのですが、今やある一定のペースで自分自身のソロ活動をストーンズとは別にやっていくという彼自身のタイムテーブルができているみたいですね。ですから今はストーンズがおやすみの時期でミックがこういうソロ作を出すというのはストーンズファンにとってもうれしいし、決して不安材料ではないと。そういう感じでペースができてくるにしたがってこのミック・ジャガーのソロの世界観もだんだん安定して出てきて、僕はジャケット見た時にあまりにもB級な展開にこれはひょっとするときついアルバムじゃないかなぁと思ったんですが音はすごくいいですよね。というか非常に音楽評論家っぽくない安直な表現を使うとストーンズっぽいアルバムになっています。もっと音楽評論家っぽくない安直なことを言いますと、この曲ならストーンズでやってくれよなぁという気も無きにしも非ずなんですが、そんなこと言うとミック・ジャガーに怒られてしまいますね。次ぎはロックミュージシャンがスーパースターであることをコミカルに歌ったナンバーで、実にまたハリウッド的な世界観で、こんなところにいるともうたまったもんじゃないっていう歌詞で、「ミック・ジャガーってそういう世界が好きだったんじゃないかなぁ」という気がしないでもないですが、そういう気分を歌ったナンバーであります。Everybody Getting High。
前にも言いましたけど最初にソロアルバムを作った時は結構、これストーンズやばくないかという時期のソロで、そしてツアーまでやってしまいまして日本にもやってきたんですけれども、そのときに思ったんですが、本当にバンドっていうのは不思議だなぁって。要するにミック・ジャガーはローリングストーンズのルーズなところがあんまり好きじゃなくて、基本的にはビジネスマンできっちり物事を進めるのが好きな人なんですよね。だからツアーメンバーも当然のこと超一流のバリバリのミュージシャンを集めてストーンズナンバーもやったんですが、どう考えても一人一人のスキルはストーンズの個々のメンバーよりもより上なんですが、ところが良くないんですよねぇ。やっぱりいくらうまくてもダメなんですね。歌っているのはミック・ジャガーだからいいだろうと思うんだけど、これが不思議なものでストーンズのグルーブというものは全くでないんですよね。そうすると何をやっても面白くないという不思議な体験を私はしたことがありまして、ロックの不思議ですね。このアルバムにはそういうフラストレーションはないというか、まあストーンズでなったらどういう感じかなぁという願望はあるんですが、これはこれで完成された作品になっております。バラードもあります。Too Far Gone。