音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

ザ・ダークネス(The Darkness)に学ぶメロディーの復権とは?

world rock now 20031024

 レコード会社がつけたこのバンドのキャッピコピーが「全身タイツに身を包み悪のはびこるロック界を正すためにやってきた闇の帝王ザ・ダークネス」。悪がはびこってたんだロック界って。知らなかったなぁとそういう風な気がしますけれども気持ちは伝わってきます。そして、なんといってもこのザ・ダークネスを全面的に推しているのが伊藤政則でございまして、伊藤のライナーが笑えるんですけれども、「とてもとてもアメリカが生み出せるようなバンドではない。英国の歴史と伝統が複雑に絡み合ってそれがザ・ダークネスというバンドの生命を紡ぎだしているのだ。笑あば笑え。俺たちには自由がある。」。「笑あば笑え」ってすごいですよね。強気なのかひがんでるのかよくわからないですけれども。このザ・ダークネスはイギリスにおいて評価と人気が高まり、なんと話題のこのPermission To Landというデビューアルバムは初登場2位、その次ぎの週には1位にあがってしまったという、最近の新人バンドとしては異例ともいえる大ヒットを遂げているわけでございます。向こうでは脅威の新人として大変な話題となっているザ・ダークネス。まずはI Believe In A Thing Called Love。


 このバンドの原型はクイーンであることはいまさら説明するまでもないわけであります。クイーンが出てきたときはザ・ダークネスが出てきたときよりもはるかに異端でありまして、デビューしたときのクイーンというのは単なるキワモノで、あえてバッシングされるであろうことを引受ながら登場した非常に挑戦的なグループで、全世界が白い目で見た偉大なるロックバンドに対して、正しい評価かどうかわわかりませんが、諸手をあげて熱狂をしたのは日本だけで、そうした意味で彼らは日本をずっと愛し続けてくれてたわけでありますが、このザ・ダークネスにしろクイーンにしろロックの中にメロディーというのがいかに重要であるのかを改めて再認識させたのは、これらのバンドの方向性は非常に似ていると思います。ただし、このザ・ダークネスは私にとっては何のイノベーティブなものも感じられないわけでありますけれども、クイーンはすべての上において革命的でメロディーの復権から、サウンドアンサンブルから、ビジュアルから、クイーンというバンド名から、世界観から、ボーカルスタイルからすべて画期的なもので、あのときは本当にキワモノとして扱われていたけどその後何十年たってイギリスが選ぶロックバンドベスト10で、1位がビートルズであるのは置いといて、3位のストーンズをおさえて2位にクイーンが入っているという事実は、あの当時を知る私としては本当に信じがたい180度評価の転換という感じがします。しかし、このザ・ダークネスはポップであるということ、そしてメロディーが非常にロックにとって重要であるということをアピールするという役割が非常に強く果たしていると思います。まさに、悪のはびこるロック界を正すためにやってきたとコピーをつけたレコード会社のディレクターの思っている「悪のはびこる」とは、メロディーのはっきりしない、すごくヒップホップの影響であったり、ヘビーロックの影響であったり、一つのリフであったり、サウンドの全体像をゴリゴリ押していくような音楽にたいして、なんかついて行けないなぁと思っている人たちがたくさんいると思うんですよね。それはそれでどうなのかなぁと私は思うんですけれども、ただその気持ちはわからないでもなく、メロディー自身がもう一辺ロックの中に復権してほしいという気持ちがどっかにあるというのは、それはそれで正しい生理反応だと思います。そこに火をつけたのがこのザ・ダークネスということなのでしょう。Givin' Up。



 ライナーノーツにいみじくも書いてあるんですけれども、「グランジ、オルタナティブの台頭した90年代以降、いつしかミュージシャンとシーンの関係から柔軟性が欠如してしまった。その結果形骸化したフォーマットの中での類型化が肥大化し、シーン全体を硬直させていった。アメリカ発のこの病根は世界中に蔓延し、ある種の個性の横並び現象を生み出していったのである」と。このように位置づけておりまして、これはないだろうと。90年代のロックイノベーションをこういう風に位置づけちゃイカンだろうと僕なんかの立場からするとなるんですけれども、僕から言わせればヘビーロックファンというかハードロックファンの古典的な形態に固執して柔軟性を欠如した感性の持ち主たちは、最近の音楽についていけないなぁという孤独感を感じていたのかもしれません。そこに出てきたこのザ・ダークネスというのはすごくうれしいなぁという感じを抱かせたのかもしれないですけれども、そういう風にうけとめちゃ間違っちゃうんじゃないかなぁと私なんかは思うわけでありまして、これは笑ってあげなきゃいけないでしょと。彼らに対する健全な態度は笑うということだと思います。Friday Night。

 

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