ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

ポーキュパイン・ツリー(Porcupine Tree)に学ぶプログレの様式化とは?

world rock now 20060421

 もともとプログレッシブロックというのは1970年代に大変隆盛を誇った音楽のスタイルでありまして、キング・クリムゾン(King Crimson)、イエス(Yes)、ピンク・フロイド(Pink Floyd)といったバンドが全世界的な成功をおさめたわけであります。プログレッシブロックというのがどういう音楽かというと、それまでのロックンロールのスタイルを抜本的に変えて、例えばクラシックであるとか、ジャズであるとか、そういう音楽の要素を取り入れたり、あるいは従来型の3分というポップミュージックのスタイルにこだわらずに10分20分というように長大な曲をやってみたり、あるいはこれまでのラブソングや非常に分かりやすい歌詞から例えばキング・クリムゾンにconfusion will be my epitaph、混沌こそ我が墓碑銘という大変有名なすばらしい歌詞がありますけれども、従来のポップミュージックには存在しなかったような文学的な歌詞を取り込んで、まさに新しい時代のロックとしてすごく衝撃的に登場した音楽スタイルだったわけであります。ただし、プログレッシブロックも一時期の圧倒的な評価を得た時期から役割を終え、だんだんなくなってきたわけですね。しかし、そういうスタイルを好む一部のファンが古典的なロックのスタイルとしてそれを伝承し、愛し、プログレッシブロックの熱狂的なファンという人たちがずっとい続けていたわけでありますが、それでもメインストリームに登場することはなかったわけであります。そういう中でポーキュパイン・ツリーというプログレッシブロックのスタイルを持ちながらもある程度メジャーな音楽シーンでも通用するバンドが登場したわけですね。当然、ポーキュパイン・ツリーはピンク・フロイドの影響をうけつつ、しかしいまどきのヘビーロックやパンクロックの影響もうけつつ、その中でプログレッシブロックをつくっていこうという動きをやっているわけであります。Blackest Eyes。



 プログレッシブロックというのはまさに言葉通りに革新的な方法論をどんどん取り入れてゆく、そういうロックのことだったんですが、今やプログレッシブロックは様式のことになってしまっていて、まったく自己矛盾になっていて、プログレッシブロックが様式化したらそれはプログレッシブロックじゃないんですが、現在はこういう音のスタイルそのものがプログレッシブロックのスタイルとしてまるで古典落語をどんどん継承してゆく形になっていってしまっているのは非常に残念というか、だから本来の意味でのプログレッシブロックはある意味ではエミネム(Eminem)であったりレディオヘッド(Radiohead)であったりというようなことになる感じがします。


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