音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

レッド・ツェッペリン再結成録(3) ライブレポート

world rock now 20080118

 ツェッペリンの再結成に関しては、ツェッペリン極東広報担当部長渋谷陽一としてはいつも複雑な心境で語っていたわけですよ。過去も本当にろくなことがなかったという、もう何度期待して何度裏切られたことかというそういう過去があります。彼ら自身もレーベル40周年記念の再結成コンサートも、ライブエイドも失敗であった、あんな再結成をやってしまってどうなんだろう僕達という、そういう反省は明らかにもっていて、誰が見てもあれはないだろうというようなそういうものだったわけです。でもさすがにあれをもう一回繰り返すのはもうやめてもらいたいと。しかし、あの当時からもう十数年たっていて、それはポテンシャルが上がっているわけもないわけですよ。メンバーの。どんなものだろうというのが、私の嘘偽りのない不安だったわけでございます。海外に取材に行くなんてことはこういう職業をやっていながら十年ぶりくらいでどうなんだろうというところで出かけていったわけでございます。それこそ、オークションで1枚1000万円くらいの値段がついたという大変なものでございますけれども、お客さんの年齢は高く、私の横に伊藤政則、隣の隣に沢尻エリカというよくわからないシチュエーションのもとにツェッペリンの登場を待ったわけでございます。結構出る前にアトランティック・レコードの創始者、アーメット・アーティガンの追悼コンサートだったわけでありますけれども、時間があったわけですよ。その間に伊藤政則と果たして一曲目は何かというオープニングナンバー当てっこゲームをやってそれぞれ予想をたてていたんですけれども、二人の予想はすべて外れこの曲ではじまりました。Good Times Bad Times。

 

 ちょっとビックリしましたね。このナンバーで始めるんだという感じだったんですけれども、とりあえずは本当にレッド・ツェッペリンはステージに出てきてレッド・ツェッペリンの曲をやっているんだということに驚き、興奮し、最初はPAのバランスがよくなくて、特にギターの音が聞こえなかったんですね。だからいいんだか悪いんだか分からないけどガンガン鳴っているぞみたいな、でもあんまり悪い感じはしないなぁというような薄ぼんやりとした印象の中、とにかく始まってしまった本当にと思いながらいろいろなことを考えていたんですけれども、ステージからは悪くないぞというオーラは伝わってくるわけですね。そしてGood Times Bad Timesを選んだ異様な真剣感みたいなものが選曲の中にもあらわれておりましてですね、これはすごいんじゃないかみたいなのがチラッと頭をよぎりつつ、でも過去いろいろなことがあったことだし簡単にいいと思ってはいけないぞみたいなものが頭をよぎっているときに二曲目Ramble onが始まるわけですよ。だんだんPAバランスもよくなってきて、いよいよこれは本当にいいのかなぁみたいな期待感が高まってきて、そして三曲目がBlack Dogだったわけですね。この三連発というのはかなりなもので、初期代表曲を続けざまにやってしまうというその押し倒し感がすごかったわけですけれども、このBlack Dogの中でだんだんPAバランスがよくなって、会場の全員が思ったんです。「これは奇跡が起こるかも」と。Black Dog。

 

 この頃からこれはすごいことが起きそうだ、もしくは起こっているぞという雰囲気が会場全体を覆っていて、今考えてみるとGood Times Bad Times、Ramble on、Black Dogでツェッペリンは客をつかんでやろうという戦略的な選曲であったことがよく分かりますね。また本気度が一層クリアになるのがその後のIn My Time of Dyingというあんまりよく知られていないし難しい曲を持ってくるわけですよね。そして五曲目にFor Your Lifeという、これは今回のライブの挑戦で過去にライブではやったことがないナンバーなんですけれども、これも非常にすばらしい曲ですけれども、アルバムPresenceの中の非常にツェッペリンらしいナンバーが五曲目に演奏される。「これは、とんでもないものを見ることができたんじゃないのか」という思いが確信に変わったナンバーでございます。

 
 
 すばらしいナンバーですが、ボーカルパートの少なさ、ボーカルメロはほとんどないに等しいというすごい曲です。この辺からはお客さんの様子も歴史的な重要な局面に立ち会えたというそういう喜びと興奮に満ち溢れておりまして、私の隣の隣の関係者席だったんですけれどもおっさんは、前の方にいるイギリス人だったんですけれども、ライブの途中から立ち上がって、ただひたすら「あー」って叫んでいるんですよ。やめてほしくて、お前興奮の仕方はもう少しいろいろあるんじゃないかという感じだったんですが、アリーナの後ろの方では叫びながら走ってるおっさんが何人もいたり、この会場は何なんだみたいな興奮に包まれて、すばらしいライブだったと思います。Since I've Been Loving Youもやりましたし、Dazed And Confusedもやりましたし、Stairway to Heavenもやりましたし、The Song Remains the Sameもやりましたし、そしてコンサートの本編はこの曲で終わったわけであります。このKashmirが鳴り響いているときは、本当にツェッペリンの奇跡というものはもう一度実現することが可能だったんだと感慨にひたっておりました。

 

 非常にいいライブだったと思います。自分にとってのツェッペリンが何かではなく、、メンバー自身にとってのツェッペリンが問題ではなく、ツェッペリンにとってのジミー・ペイジ、ロバート・プラント、ジョン・ポール・ジョーンズ、ジェイソン・ボーナム(ジョン・ボーナムの息子)が何であるのかという、まさにツェッペリンというバンドそのもののニーズにそれぞれのメンバーがどう答えるのかという一番重要な問題設定がされたという、それによってツェッペリンがまたよみがえることができたというそういう感じがしました。楽曲も楽曲自身が選ばれたのではなくて、メンバーがこの楽曲とこの楽曲とこの楽曲をやるというのではなくて、楽曲自身が我々はここで鳴ることを要求しているというそういう楽曲がそろったことによって、ああいうすばらしい再結成ライブができたんだなぁという感想を持ちます。

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