ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

ボブ・ディラン(Bob Dylan)、ジョンレノン(John Lennon)を歌う

20121012

1、常に次回作が最高傑作かも知れないミュージシャン、ボブ・ディラン

 デビュー50周年、オリジナルアルバムとしては35作目になります。ボブ・ディランは現存するポップミュージックのアーティストとしては最高峰だと言ってよいと思います。そして何よりもすごいのは、もはや伝説を越える伝説というポジションを獲得しながら、現役としていまだに新しい領域を開拓し続けているという前衛性が本当にすごいと思います。ボブ・ディランのアルバムを紹介するときに毎回言っていることですけれども、ドン・ウォズ(Don Was)がボブ・ディランの作品をプロデュースするときにみんなに「なぜボブ・ディランをプロデュースするのか?」と聞かれた時に彼がいった言葉が、「だって次のアルバムがボブ・ディランの最高傑作になるかもしれないじゃないか。」って。本当にそういうアーティストです。もう史上にのこる数々の傑作を作りながら、そしてデビューから50周年を迎えながら、でも次のアルバムがボブ・ディランの最高峰になるのではないかと誰もが期待してしまう、そういうアーティストは他にはいないと思います。今回もすごいです。アルバムタイトルナンバーのTempestというのは14分間、タイタニック号の悲劇を描く、45番まである、ある意味Aメロだけで45番まで押し倒してしまうというそういう作品がおさめられております。



2、Duquesne Whistle

 アルバムのオープニングナンバーを聞いていただこうと思います。Duquesne Whistleというナンバーなんですけれども、

 鳴り響くあのデューケインの汽笛を聞いてみな
 まるではじめてのように鳴り響く
 青い光が点滅し赤い光が輝く
 その激しい光り方はまるで俺の寝室の前のドアにいるようなもの
 柵の向こうから俺に微笑みかけるお前
 まるで前はいつでも微笑んでいたかのように

 鳴り響くあのデューケインの汽笛を聞いてみな
 俺が最後かというように鳴り響く
 鳴り響くあのデューケインの汽笛が聞こえないのかい
 まるで空がバラバラに吹き飛ばされるかのように鳴り響く
 
 生きているものの中で俺を生かせ続けるのはお前だけ
 お前はまるで俺の心臓の中の時限爆弾



3、ボブ・ディラン、ジョン・レノンを歌う

 ボブ・ディランはもはや新たにとりに行くものは何もないというか、名声も評価も、賞という賞はすべて彼は手にしているわけですので。そのボブ・ディランが自分が何か新しく挑戦するならば、作品活動を行うならば自分の中でモチベーション設定が必要で、それはもうより新たな領域への挑戦しかないんだろうなぁという気がします。14分で45番まであるTempestという曲で、やはり彼はそこで全く新しいことを自分の中でやってみたいという欲があったんだろうと思います。続いては今はオープニングナンバーを聞いたんですが、アルバムのラストナンバーRoll on Johnという曲を聞きます。これはジョン・レノンに捧げられた曲です。これも7分もある大曲なんですけれども、今回のアルバムはボブ・ディランにとって、あるいはフォークやブルースの伝統に基づく物語をもういっぺん歌の中で再現するということに挑戦したアルバムなのではないのであろうかと。ある意味ボブ・ディランの新古典派的な作品であるといえます。今、死後30年たったジョン・レノンを歌うというある意味唐突なテーマに挑戦したのはそういうことなのかなぁと僕は思いました。非常にオーソドックスな詞で歌われております。ボブ・ディランがジョン・レノンを何がしか批評的にとらえるというよりは、本当に一つの伝説としてジョン・レノンを歌っていて、まるでビリー・ザ・キッドのような伝説の犯罪者や、伝説の英雄を歌うかのようにボブ・ディランは歌ってみせて、30年たってジョン・レノンを歌うということはこういうことなんだ、こういうことによってジョン・レノンという人を永久化していくんだとそんな感じがします。

 ドクター、ドクター、今の時刻を教えてください
 またボトルが空になりまたお金を使ってしまった
 彼は向きを変えてゆっくりと歩き去っていった
 彼らは背後から彼を撃って彼は倒れこんだ

 あなたの光を輝かせて先に進み行け
 あなたはとても眩しく輝いていた
 転がり続けるジョン

 リバプールの波止場からハンブルグの赤線通りへ
 石切り場で石切工のクオリーメン達と一緒に大観衆を前に演奏し
 安い席の客達の前で演奏する
 あなたの旅路の終わりへと向かう人生の中でもう一日

 あなたの光を輝かせて前に進み行け
 あなたはとても眩しく輝いていた
 進み行けジョン




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