音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

トラディショナルフォークやカントリーは「死」「犯罪」「殺人」などの歌が多い説

20131206

1、「foreverly」

 ビリー・ジョー (Billie Joe)とノラ・ジョーンズ(Norah Jones) という普通ではちょっと考えられないコラボ作品なんですけれども、「foreverly」という作品を紹介したいと思います。ビリー・ジョーは言うまでもなくあのグリーン・デイの中心メンバーであり、今もっとも優れたソングライターだと言ってよいのではないでしょうか。そしてノラ・ジョーンズもコンポーザーとして、シンガーとして、ミュージシャンとして大変評価の高い女性ソロシンガー。どちらかというと活動している場所が全然違う二人なんですけれども、でもその音楽的なクオリティーと洗練性と文学性とそういうようなところにおいては非常に共通するところがあると思うんですけれども、その二人が一緒になって作った非常にユニークな作品です。じつはこれは、1958年にエヴァリー・ブラザース(The Everly Brothers) が出したアメリカのトラディショナルフォークやカントリーをカバーしたアルバムである「Songs Our Daddy Taught Us」のそのまたカバーという、不思議な作品です。ビリー・ジョーは最近この作品をものすごく聞いていて、本当に好きで好きでしょうがなくて、この作品をカバーしたいということでノラ・ジョーンズに声をかけ、ノラ・ジョーンズに手伝ってもらいながらカバー作品をつくったのがこの作品になります。エヴァリー・ブラザースは日本ではそんなに有名ではないですけれども、インターナショナルな意味ではビートルズが出てくる前のポップミュージックシーンにおいて、すごく人気があった兄弟でやっていたコーラスグループで、ビートルズもエヴァリー・ブラザースが大好きで、ジョンとポールの両方ともリードボーカルでメインのメロディーを歌ってやるという方法も、もともとはこのエヴァリー・ブラザースのスタイルで、このエヴァリー・ブラザースのスタイルを真似たということは当初誰もが指摘したことなんです。そのエヴァリー・ブラザースがフォークソングをすごく愛して、自分たちのルーツとしてそういう曲をカバーするという作品を出したんですが、当時は評価されていなかったようです。時間がたってこの作品の評価ができてきた中でビリー・ジョー自身がもういっぺんこの作品と向き合ってカバーしようと思ったわけであります。

2、トラディショナルフォークやカントリーは「死」「犯罪」「殺人」などの歌が多い説

 ブルース・スプリングスティーンがトラディショナルフォークやカントリーをとりあげた時にも言いましたけれども、非常にこういう曲は「死」だとか、「犯罪」だとか、「殺人」だとかそういうような非常にディープで伝説的なことが一つの物語として歌われているという、カントリーなトラディショナルフォークの形があって、エヴァリー・ブラザースが取り上げた楽曲群もみんなそんな曲ばっかりなんですよね。歌詞がすごいんですよ。紹介しながら聞いていこうと思います。まず最初に紹介するのはLightning Expressという曲です。

  大きなLightning Expressが駅から出発していった
  乗り込んだ乗客は誰もが幸せで楽しそうだった
  でも一人で座った少年が手紙をじっと読んでいた
  その子の顔をみればわかる
  悲しい内容の手紙だと
  厳しい顔の車掌が検札をはじめて一人ひとりの切符を手に取っていった
  そしてとうとう少年のところにやってきて切符を見せるようにぶっきらぼうに言った
  「切符はないんです」と少年は答えた
  「でもいつか必ず払いますから」
  「それなら次の駅で降りてもらわないと」
  でもそこで口をつぐんだ少年がこういうのを聞いた
  「お願いです車掌さん、僕を降ろさないでください
   僕にとって世界一の親友が辛い思いで僕を待っているのです
   いつ死んでもおかしくない状態で
   明日までもたないかもしれません
   僕はどうしても家へ帰って母にお別れのキスをしたいのです
   神様が母を連れていく前に。」
  すると近くに座った少女が叫んだ
  「彼を降ろしてしまうなんでそんなのひどいわ」
  彼の手をとって彼女はお金を集めて回った
  そして彼の切符代はまかなわれた
  「あなたのご親切に心から感謝いたいします」
  「どういたしまして」
  と彼女は言った
  心配しないで
  これから車両の中を通るたびに車掌の耳には少年の言葉が響くだろう
  「お願いです車掌さん、僕を降ろさないでください
   僕にとって世界一の親友が辛い思いで僕を待っているのです
   いつ死んでもおかしくない状態で
   明日までもたないかもしれません
   僕はどうしても家へ帰って母にお別れのキスをしたいのです
   神様が母を連れていく前に」

 

 グリーン・デイもそうですし、ブルース・スプリングスティーンもそうですし、やっぱり彼らが持つロックンロールのストーリーテイラーとしてのスタイルというものは言うまでもなくここにルーツがあるというか、この物語性、歌詞、この世界観が彼らにとって幼い頃から自分の中に刷り込まれていて、それが自分のロックンロールのスタイルとなって現在の音になっているということがこういう作品を聞くと本当によくわかりますね。ほとんどが悲しい曲ばかりで、父と息子あるいは母と息子、そういう物語がすごく多い。そしてそこには常に「死」のにおいがあり、「犯罪」のにおいがあり、息子が恋人を殺し殺人犯人になりそれを父親に申し訳ないと訴えるとかいろいろな作品がたくさんあって、ビリー・ジョーが一時期この世界観にはまったというのは非常によく分かるなぁという気がします。続いてはI'm Here To Get My Baby Out Of Jailという曲です。

  「この街に長くいるつもりはありません」
  ひとりの年老いた女性が言った
  刑務所の看守に向かってこう言った
  「この街に長くいるつもりはありません
   すぐに出ていきますから
   ただ息子を刑務所から出したくて
   看守さん、かわいい息子を刑務所から出したくて来たんです
   息子をちゃんと育てようとしました
   昼も夜も祈ってきました
   息子が父親と同じ道を歩まないように
   ずいぶん遠くまで探してきました
   もう死んだのではないのかと心配しました
   でもやっとこの刑務所にいると分かったのです
   看守さん、やっと息子がこの刑務所にいると分かったのです
   今日からちょうど五年前でした
   あの子の父親が亡くなったのは
   雪の下で冷たくなってみつかりました
   私は屈んで彼の指輪と金時計と鎖を取りました
   それから埋葬されたのです
   そうです看守さん、あの子の父親は埋葬されたのです
   彼の時計を差し出します
   彼の鎖を差し出します
   私のダイヤモンドの結婚指輪でも差し出します
   あなたの服を洗濯します
   あなたの家の床だって磨きます
   それで息子が出られるなら
   そうです看守さん、それで息子が刑務所を出られるのなら」
  すると看守の声がしてその年老いた女性にこう言った
  「息子さんをお連れしましょう」
  鉄の門が大きく開いて彼女は息子を抱きしめた
  彼女は息子にキスをしてそれから息途絶えた
  それでも顔は笑っていた
  彼女は息子にキスをしてそれから息途絶えた
  「この街に長くいるつもりはありません」
  ひとりの年老いた女性が言った
  「ただ息子を刑務所から出したくて
   そうです看守さん、かわいい息子を刑務所から出したくてきたのです」

 

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