20141121
児島由紀子「20年ぶりの最新作、しかもバンドのラスト作である「The Endless River」を発表するピンク・フロイド(Pink Floyd)の新作発表イベントに行ってきました。」
渋谷陽一「ピンク・フロイド20年ぶり、すごいですねぇ。」
児島「今回はツアーはないそうですね。」
渋谷「最近は、ロジャー・ウォーターズとデヴィッド・ギルモア(David Gilmour)も仲がいいみたいな話もありますけれども、やっぱり駄目なんですね。」
児島「話すくらいにはなっているようですよ。でも最近もニック・メイスンがイギリスでのインタビューで、ロジャー・ウォーターズのことをスターリンと比較しておりましたので。といいながらも、今もいい友達だからこれは軽い冗談なんだよねっていいながら、しれっとスターリンと比較していましたので、相当独裁者だったんでしょうね。やっぱり。」
渋谷「やっぱり再結成ツアーはなさそうですね。」
児島「ロジャー・ウォーターズが参加するのはないでしょうね。多分。聞けばピンク・フロイドのツアーに使う豚のコピーライトもロジャー・ウォーターズが持っているそうです。だからあれをピンク・フロイドのツアーで使おうとしたら、ロジャー・ウォーターズから許可を得なければいけないわけですよ。」
渋谷「大変だ。で、そのパーティーはどうだったんですか?」
児島「デヴィッド・ギルモアもニック・メイスンもちゃんと出席して、アルバムリスニングパーティー、それからその後に行われたジャーナリストが談笑するパーティーにも出てくれまして、四時間もしっかりお仕事してましたよ。」
渋谷「それだけ気合いが入っているんでしょうけれども、今回のアルバムはものすごくイギリスで話題になって、記録的な予約枚数を記録したといことで。」
児島「そうなんですよ。」
渋谷「いまだにすごい人気があるんですね。」
児島「ビヨンセ(Beyonce)よりもワン・ダイレクション(One Direction)よりもすごいっていんだからすごいと思いません?」
渋谷「すごいですね。」
児島「ロックバンドのアルバムがこんなに大反響になったことって、過去10年くらいなかったじゃないですか。」
渋谷「イギリス本国でのピンク・フロイド人気はすごいし、全世界的にもすごいですね。」
児島「そうですよ。デヴィッド・ギルモアもBBCのラジオに出演して、この反応はどう思いますかっていう質問に、いや僕も正直驚いているんだよねって。」
渋谷「でしょうね。本人も予想してなかったでしょうね。やっぱり、イギリス本土におけるピンク・フロイドは別格的なものなのですね。」
児島「でもこれは世界的なものでしょう。アメリカでもたぶん一位か二位になると思いますよ。ヨーロッパはすべて一位になると思いますし。」
渋谷「実際に音を聞いての反応は、イギリス国内ではどうなんですか?」
児島「「The Division Bell」の姉妹作みたいなものですよね。で、今作のテーマはバンド内のコミュニケーション不全をテーマにしていることが分かりました。デヴィッド・ギルモアのボーカルが入っている一曲があるんですね。その中でもそのことを歌っていましたので。常に悪口を言い合いながら続けてきた、やっとこれで終われる、みたいな。」
渋谷「なんだかなぁみたいな。」
児島「デヴィッド・ギルモアは絶対にツアーはしたくないそうで。ニック・メイソンは乗り気なんですね。やりたがっているんですけれども、デヴィッド・ギルモアは絶対嫌だそうで。考えただけで冷や汗が出るそうです。デヴィッド・ギルモアは来年ソロ作をリリースしますし、この辺でピンク・フロイドと決着つけたいんでしょう。多分。」
渋谷「それでは誰もが待っていたピンク・フロイドの最新作から一曲聞いてください。Anisina。」
渋谷「児島さんも言っておりましたけれども、このアルバムの中で一曲だけ歌詞がある曲があります。それをこれから聞こうと思います。
嫌っても大切に育んでも愛でてもいい
欲求に挫かれ家を離れず暖炉に火をくべてみるのもいい
けれども僕たちはこうして集まった
僕たちのこの行為は言葉以上のものを伝える
大きく広がり言葉以上のものを伝える
僕たちがみな一つになれば言葉以上のものが伝えられる
僕たちの胸の鼓動は言葉以上のものを伝える
言葉にできないものを
という曲です。Louder than Words。」
渋谷「全世界的にすごいセールスを記録するでしょうね。日本でもものすごく待っているファンがたくさんいると思います。その膨大な数のピンク・フロイドファンを敵にまわすようなことを言うとですね、この曲だけなんですよ。ボーカルが入っているのは。他は全部インストなんですけれども、このインストはピンク・フロイドのピンク・フロイドな音が入っているんですけれども、ピンク・フロイドの曲って間奏が長いじゃないですか。間奏があって歌メロが入って、そこでボーンと盛り上がって、また間奏に行くっていう感じなんですけれども、このアルバムを聞いていると、間奏から間奏、また間奏にいって、また間奏になるっていう。間奏が終わるとまた次の間奏に行くという、そんな事を言うのは世界中で私くらいかもしれませんけれども、でもピンク・フロイド的な世界の心地よさというのは当然デヴィッド・ギルモアのあの切ないギターに象徴される世界観はキープされていて、これが本当に最後の最後になるっていう話なので、ピンク・フロイドファンとしてはこれをピンク・フロイドのピリオドとしてしっかり聞くということがすごく大切なことなのかなぁと思います。」