ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

ボブ・ディラン&ザ・バンド(Bob Dylan and the Band)「The Bootleg Series Vol. 11: The Basement Tapes Complete」

20141212

中村明美「ボブ・ディラン(Bob Dylan)の「The Basement Tapes Complete」。ブートレッグシリーズの第11弾についてご紹介したいと思います。」

渋谷陽一「すばらしい。」

中村「これはファンにとってみれば長年の夢がかなった作品でして、発表されてから批評家も大絶賛の作品なんですけれども、ボブ・ディランのファンならこのブートレッグシリーズの中でもベースメント・テープは知っているじゃないかというくらい有名なんですけれども、これはディランが1967年にニューヨークのウッドストック周辺で約半年くらいかけて、ベースメントでデモテープを作っていたという、その時のテープが今回全部ここに収録されて発表されました。これまではボーカルだけがアルバムで正式に発表されていたり、ブートレッグで少しづつ漏れていたりしたんですが、今回は1967年から50年くらいたってようやく全貌が見えました。138曲もここに収録されていて、ファンにはたまらない作品になっています。」

渋谷「すごいですね。」

中村「この作品がより興味深いのは収録された時期でして、バンドは1965年から66年に精力的にツアーをして、「Highway 61 Revisited」とか「Blonde on Blonde」を発表した直後のツアーだったので、キャリアの中でも最もすばらしいツアーをしていて頂点をむかえたのではという時期だったのですが、ご存じのように1966年にボブ・ディランがバイク事故を起こしてしまって、そこからどうしようというところで、1967年にニューヨークのウッドストックにこもって、本人が後からインタビューに答えたところによりますと、リラックスしてピースフルな演奏がしたいということでこれを作ったんですが、内容はリラックスしてピースフルで作ったというにはあまりにもすばらしい作品で、ジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)とかジョン・リー・フッカー (John Lee Hooker)とかハンク・ウィリアムズ(Hank Williams)とか、彼が影響を受けた曲のカバーから、アメリカのトラディショナルな曲のカバーが入っているとともに、この後発表される彼の代表曲となるようなI Shall Be ReleasedとかThis Wheel's On Fireみたいな曲のデモテープがここに収録されているということで、すごく幅広い内容で、50年たった今聞いてみるとそれでも普遍的なのがすごい所ですが、それでも同時にちょと奇怪な所もあって、全体の幅がすばらしいです。実はボブ・ディランはこの発売時期と同時期にニューヨークでライブを行ったんですけれども、その内容を見てみたらここで発表された60年代の収録された曲をやったのかなと思ったら、全くやっていなくて、90年代以降の曲ばかりをやっていて60年代の曲は二曲しかやっていなかったという、そこらへんもボブ・ディランらしくてすばらしいなぁと思います。」

渋谷「このベースメントテープスというのは当初出た当時からなんでこんなとんでもないものを出さなかったんだという、そういう話題があって、それの完全版ということはファンがとても待っていたものですし、なんで発表しなかったかという理由もすごい重い理由があったりして、そんな意味でファンにとってはすごく感慨深い作品ですよね。」

渋谷「というわけでボブ・ディランのベースメントテープス。これは歴史的なとんでもないものが出てきたという。あるあるとは言われてきたんですけれども、テープはなかなか見つからなかったんですけれども、それがつい最近発見されて、それをいろいろな形で音源復旧をしてこういう形で発表されているという。話せば何時間にもなりますが、その中で自分自身の曲ではないけれども、誰かにカバーしてもらってヒットするといいなぁみたいな、そういう提案性の楽曲があって、その中で一番有名なのがQuinn the Eskimoという曲なんですけれども、これなんかはいろいろな人のカバーによって世界的なヒットになった曲ですけれども、その曲を聞いていただきたいと思います。Quinn the Eskimo。」

 渋谷「今回のアルバムにはいろいろな聞きどころと見どころがあるんですけれども、いまのも復元バージョンなんですけれども、復元バージョンというのはいっぺん、このベースメントテープスというのは1975年にいっぺん24曲が出ているんですけれども、その時にはいろいろエコーをかけたり後処理をして原曲の状態をかえているんですけれども、今回はいろいろな音源をしっかりと揃えて、録音した当時の生々しい状態を再現しているというそういう音作りになっておりまして、そこでこのアルバムの中からもっともカバーバージョンが生まれたナンバーが復元バージョンで蘇りました。I Shall Be Released 。」

 渋谷「ボブ・ディラン26歳の時の歌声です。復元バージョンはいろいろあるんですけれども、続いては未発表バージョン。これがなかったら世の中に出なかったという恐ろしい曲があってですね、900 Miles from My Homeというトラディショナルを彼がバンドと一緒にやった曲なんですけれども、自分のオリジナルのように歌っているんですけれども、これがなかったら世に出なかった凄まじいパフォーマンスを聞いてください。900 Miles from My Home。」

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