ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

シーア(Sia)、アートに逃げずポップで戦う

20150109

1、シーアが絶対に顔を出さない理由

 シーアの6枚目のアルバムです。彼女は40歳くらいのベテランの女性シンガーなんですけれども、ソングライターとして、リアーナ(Rihanna)、ビヨンセ(Beyonce)、ブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)、ケイティ・ペリー(Katy Perry)、エミネム(Eminem)、デヴィッド・ゲッタ(David Guetta)、ベック(Beck)など、これでも一部なんですかれども、とんでもないヒットソングライターとして、ありとあらゆる人に信頼されて曲を書き、それが全部大ヒットしてという、そういう話題のアーティストであります。もともと彼女はシンガーソングライターとしてデビューして、苦労しながらヒット曲を出して成功をおさめたんですが、その成功を踏まえてツアーをやったり音楽活動をやっていくうちに、彼女自身はそういう活動にある意味適正がなかったのでしょう、だんだん体調を壊し精神的にも病み、実際に音楽活動もできなくなり、アルコールやドラッグへの依存を強め、躁うつ病を患い、一時期は自殺まで考えたっていうどん底まで落ちるんですね。そして、彼女自身がこれは自分自身としてはやっていけないとなった時に考えたのが、自分が歌わないで人に曲を書くということが自分の資質的に合ったことではないかということで、人に曲を書くようになったんですね。どんどん人に曲を書くようになったらソングライターとしてのものすごいキャリアを積むようになり、大成功をおさめてシーンのトップに立つ存在になったわけです。ところが、そのうちに彼女自身は自分自身が歌わなければいけない曲を書くようになって、できるようになり、もう久方ぶりに自分自身が歌を歌うという形で曲を作り、続いてChandelierという曲をかけるんですけれども、こういう大ヒットシングルが出るようになるんですけれども、ただ彼女の中には自分自身がシンガーとしてやっていくときに非常に辛い思いをしたというトラウマがあって、大ヒットしてテレビからオファーがあったら、彼女がどうやって歌ったのかというと、茶色の紙袋をかぶって後ろを向いて歌ったわけですね。そのパフォーマンスがものすごく話題になって、過去にいっぱい顔が出ているのでいまさら顔を隠してもという所もあるんですけれども、あるいは二段ベットの上でうつ伏せになったままで絶対顔を出さないという、なかなかその佇まいもインパクトがありました。で、いろいろな曲を人に歌ってもらったけど、このChandelierという曲は自分で歌わなければいけないといって、彼女が歌った曲を聞こうと思います。Chandelier。

 

2、シーナ、アートに逃げない

 続いての曲はCellophane。

 

 実はこんな暗い曲はこれ一曲で、あんまりフェアな選曲ではないんですよ。どの曲もポップで、もともとこのシーアというアーティストはソングライターとして爆発的な才能を持っているということが証明できる、非常にポップな楽曲ばかりです。続いて聞くのがその彼女の才能が爆発しているような楽曲なんですけれども、2分53秒の短い曲なんですが、もし僕が新人の女の子をこれから売り出そうとしているプロダクションの社長なら、この曲を貰えるならいくらでもお金を払いたいと、これ一曲で新人これから十年食えるぞ、みたいなそんなポテンシャルを持った曲であります。Hostage。

 

 選曲してつくづく思ったんですけれども、これほどシリアスで才能が高く、そして文学性の高いアーティストなんですが、絶対にアートに転ばないんですよね。とにかくアートな曲を探そうと下心がある僕は探したんですけれども、全然ない。とにかくひたすらポップで突き走る。それはもうテイラー・スイフトなんかと同じなんですけれども、とにかくアートに逃げない。絶対にポップな所で正面からガチンコ勝負をする。その胆力というかシーンに対する向き合い方というか、すごいなぁと思います。


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