音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

ニール・ヤング(Neil Young)に学ぶ、地球環境をどのように考えるのか?

20160902
 
 Neil Young & Promise of the Realの最新作「EARTH」という作品を紹介したいと思います。二枚組のライブアルバムで、Promise of the Realというのはウィリー・ネルソン(Willie Nelson)の子ども達によって作られたユニットで、彼らと一緒にニール・ヤングは大規模なツアーをやっておりまして、その大規模なツアーのテーマがこのアルバムタイトルにもありますように「EARTH」、つまり地球環境をどう考えるかという大きなテーマと向かい合っているツアーです。ニールヤングが2015年に出した「The Monsanto Years」というのは、遺伝子組み換えをやっているバイオ企業に対してものすごく正面かた対決を挑んだ問題作でありました。その問題意識をそのままもって、地球環境を守る、自然を守る、この地球に生きていく自分達とは何なのかということをテーマとして、すごく長いツアーを今もやっています。そのツアーのドキュメントともいえる、そういう作品でございまして、ライブアルバムであると同時に一つのトータルな世界観を提示するような作品になっております。まずこのアルバムの一曲目から聞くんですけれども、ライブ的な音作りではなくSEから何から全部を入れて、このアルバムが何であるのか、そしてこのツアーがどういうメッセージのツアーであるのかということを訴えている、そういう曲からアルバムははじまっております。Mother Earth。

 

  自由なる地をこのまま捨てておけるのか
  通りに至るまで数ばかりが増え
  母なる大地を救いたまえ
  この慈しみの心を
  さもなくば売り払うがいい
  子どもらの日々を
  さもなくば売り払うがいい
  子どもらの日々を

 母なる大地を我々は守って生きていかなければならない、それを売り払うということは子ども達の日々を売り払うということに等しいんだという、すごくメッセージの強い曲でこのアルバムは始まるんですけれども、ニールヤングはいまこのツアーを命がけでやっていて、彼自身が音楽をやるリアル、それは今自分が歌う歌が現実とどのようにかかわり、その中で自分のメッセージがどう伝わり、その中で自分の歌が現実に対してどれだけ刺さっていくのかっていうことを感じる、それが彼の音楽活動を支えている。だから彼の歌にはいつもメッセージがあり、彼の歌は現実と軋轢を生みながら進んでいっている。でもそこに彼は音楽のリアルを感じて、ポップミュージックのリアルを感じて歌っている。まさに彼の音楽的な象徴というものがすごくこのアルバムに反映されているし、それは何においても現在のツアーというものがそういうものであるという証左だと思うんですけれども、このツアーというものは一曲目がAfter the Gold Rushで始まるようですけれども、過去の歌も今のリアルの中でどれだけ機能するのか、どれだけ突き刺さるのかということが大きなテーマとなっていております。

 
 
  鎧兜を着た騎士達があらわれて女王の話をしている
  そんな夢を僕は見たんだ
  お百姓さん達は歌を歌っていたし
  鼓手たちは太鼓を叩いていた
  夢の騎士は木を真っ二つに割っていたんだ
  太陽に向けてファンファーレが奏でられ
  その調べはそよ風に運ばれていった
  1970年代を駆け足で進む
  母なる自然を見てごらん

 っていう歌詞なんですけれども、「1970年代を駆け足で進む」っていう所を「21世紀を駆け足で進む」。まさに彼自身の問題意識は今現在にあるという、言い換えによってもう一回After the Gold Rushを現在に突き刺しているというそういうライブテイクを聞いていただきたいと思います。After the Gold Rush。

  太陽の黄色い霞の中で銀色の宇宙船が何隻も浮かんでいる
  そんな夢を僕は見たんだ
  子ども達は泣いていたしいろいろな色が飛び交っていた
  神の選民たちの周りをね
  すべては夢の中
  夢の中
  乗船が始まった
  母なる自然の銀の種は
  飛びながら太陽の新たな故郷へ向かう
  母なる自然の銀の種は
  飛び散って新たな故郷へ向かう

 まさに彼がいま向き合っている自然環境、そして人間がこの自然とどう向き合うのかというテーマを昔の彼の代表曲であるAfter the Gold Rushを、その時の問題意識とはまた違うのかもしれませんけれども、普遍的なテーマとして未だに歌い続けているわけです。そうした意味でも今回のツアーは、ニール・ヤングのアーティストとしてのテーマの一貫性がよく表れていると思うんですが、全体で100分以上の大作のライブアルバムです。その中で面白いなぁと思った曲は、People Want to Hear About Love、人々は愛について聞きたいんだというそういう曲です。これは、Rockin' in the Free Worldという彼の代表的な曲、つまり自由な世界でロックをやろうぜと言いながらも自由な世界なんか無いという、そういうアイロニカルな歌詞とよく似ていて、面白いなぁと思います。

 

  皆が聞きたいのは愛の歌
  愛の話を聞きたがっている
  美しい魚の話などするな
  深い青い海の中でどんどん死んでいるけれども
  皆が聞きたいのは愛の話なんだね
  人は今愛の歌を聞きたがっている
  安心させてくれるから
  企業の話などするな
  あらゆる権利を奪おうとしているけれども
  皆が聞きたいのは愛の話なんだね
  地球規模の飢餓の話などするな
  地球規模の愛について語れ
  皆が聞きたいのは愛の話なんだから
  人は皆愛の話を聞きたがっている
  安心させてくれるから
  皆聞きたがっている
  皆聞きたがっている

 ニール・ヤング自身のアーティストとしての有り様、あえて言ってしまえば思想家としての有り様、そうしたものがすごく先鋭的にこのライブアルバムには凝縮されたすばらしい作品だと思います。
  
 

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