20160902
児島由紀子「パンク勃発から40周年ということで、セックス・ピストルズの76年の伝説的なライブを収録したボックスセットがでるんですよ。」
渋谷陽一「セックス・ピストルズといえば児島さんですからね。」
児島「でも私はこのボックスセットに収録されている4つのライブのどれにも行ってないですよ。この時期はまだロンドンにいなかったので。」
渋谷「でもそういう歴史的なライブが今出て、それが話題になるっていうことは、セックス・ピストルズは今は存在しないバンドだけれども、でもその伝説は生き続けているっていうことなんですね。」
児島「特にこのディスク1に収録されているマンチェスターでのライブは、最近の統計でも最もその後のロックに影響を与えたライブということで、ランクインしてたんですよ。というのも、このライブには45人くらいしか客がいなかったんですけれども、その中にモリッシー(Morrissey)とかバズコックス(Buzzcocks)とかジョイ・ディヴィジョン (Joy Division)のメンバーとかUKインディーズの礎を作ったトニー・ウィルソン(Tony Wilson)がいたりとか、その後のUKロックの流れを作ったライブだったということで。」
渋谷「セックス・ピストルズのライブにバーナード・サムナー(Bernard Sumner)がいるって面白い感じがしますけれどもね。」
児島「面白いですよね。フッキーもいたんですけれども。モリッシーもいて、この当時17歳だったらしんですけれども、そのライブ評を音楽メディアに投稿したと数年前主張していたんですよ。まさに非常に辛口のレビューで。読んでいて笑ってしまったんですけれども。私も。」
渋谷「数十人の中にそれだけの人間がいたってことはすごいですよね。奇跡に近いですよね。」
児島「そう。だからUKロックにとっては、この後の流れをまるっきり変えたライブっていうことですよね。」
渋谷「今聞いても児島さんはいろいろこみ上げるものがあるんじゃないですか。」
児島「ありますよ。私は渡英したのは77年で、その当時のセックス・ピストルズはあまりUK内ではライブできなかったんですよ。ライブを組むたびにあちこちで反対運動が起きたりしてですね。だから私はオランダとかスウェーデンまで見に行っていたんですよ。」
渋谷「すごいエネルギーですね。おっかけのレベルがインタナショナルだ。」
児島「UK内では見れないんですもの。」
渋谷「でもそういうバンドが今やイギリスの歴史と伝統を代表するバンドになったんですからね。」
児島「あの頃のジョン・ライドン先生はかっこよくて、今のジョン・ライドン先生を見ると、これが同じ人かと思ってしまうんですけれども。昔の面影を投影してみることにしています。」