音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

デヴィッド・ボウイ(David Bowie)ヒストリー 14th「Let's Dance 」から16th「Never Let Me Down」、そしてtin machine活動期まで

20170109  「今日は一日“デヴィッド・ボウイ”三昧」より解説は小野島大氏です。

 アルバム「Scary Monsters」でデヴィッド・ボウイはやりたいことをやり尽くしたんじゃないのかというのが私の説ですけれども、実際にここから「Let's Dance 」を出すまではデヴィッド・ボウイの音楽活動はほとんどなくて、映画俳優としての仕事が多かったんですね。音楽活動は主だったものは2つしかやっていなくて、一つ目は映画「キャット・ピープル(Cat People)」の主題歌、そしてもう一つがクイーン (Queen)とのコラボ。Under Pressureという曲なんですけれども、これはちょうどクイーンが「Hot Space」というアルバムをスイスモントレーのスタジオで作っていて、そこにデヴィッド・ボウイが遊びに行って客演することになったと。2曲参加したらしいんですけれども、発表されたのはこのUnder Pressureだけということできいてください。



 クイーンとのコラボの後に「Let's Dance 」というアルバムを作ります。この頃は、大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」の撮影が終わってから「Let's Dance 」の制作に入ったらしいんですけれども、ちょうど「Let's Dance 」が出ると同時に「戦場のメリークリスマス」も公開になって、「Let's Dance 」は大ヒット、「戦場のメリークリスマス」も日本ではカルト的な人気を獲得して、この辺りでデヴィッド・ボウイは別格的なスーパースターになっていったんですけれども、この中からいろいろいい曲はあるんですけれども、China Girlというイギー・ポップ(Iggy Pop)との共作になった曲を聞いてください。



 イギー・ポップが「The Idiot」というアルバムでやったオリジナルバージョンのChina Girlです。全然アレンジは違いますが、どちらもいい曲です。



 この「Let's Dance 」というアルバムはシック(Chic)というバンドのナイル・ロジャース(Nile Rodgers)がプロデュースをして話題になったんですけれども、正直当時の感覚でいうと、なんで今時シックなの、というのがあったんです。聞いてみたら非常によくできたポップでコマーシャルな作品で、デヴィッド・ボウイは売れたかったんだなというのが良くわかりました。実際このアルバムは非常に売れて、イギリスで2位、アメリカで3位と、デヴィッド・ボウイにとって最大のヒットとなって、当然Let's Danceというシングル曲も大ヒットして、スーパースターの座についたんですね。China Girlという曲をデヴィッド・ボウイが「Let's Dance 」でなぜやったのかというと、この当時イギー・ポップは財政的に苦しくて、その救済のために、要するに彼に印税をあげるためにこの曲をやったんじゃないのかと言われています。その後、シリアス・ムーンライト・ツアー(Serious Moonlight Tour)というデヴィッド・ボウイ史上最大規模と言われたツアーを行って、この時も日本にきていますけれども、そこからわずか1年ちょっとで次のアルバムを発表します。これが「Tonight」というアルバムで、この作品はちょっとした問題作でありまして、デヴィッド・ボウイ1人で作った新曲は全9曲中2曲しかないと。イギー・ポップとのコラボが3曲で、カバーが4曲。要するに自分が作ったオリジナルよりもカバーの方が多いというそういう作品です。つまりは、「Let's Dance 」が大ヒットして、ツアーも世界中あちこちまわって、時間がない中で無理やりつくったのがこのアルバムだったんですね。先ほどAbsolute Beginnersとかかけましたけれども、この時代のデヴィッド・ボウイもいい曲をたくさん書いているんですよ。でも、アルバムになると契約なのかレコード会社の要請なのかは知りませんが、拙速に作ってしまってアルバムとしてのクオリティーが落ちてしまったんじゃないのかなという印象があって、次にかけるのはBlue Jeanという曲なんですけれども、この曲も非常にポップでいい曲なんですが、残念ながらほかにいい曲がいまいちなくて、「Tonight」というアルバムはちょっとイマイチかなという感じが否めないかなという所なんですけれども、Blue Jeanという曲はとてもいい曲なので、この曲を聞いてください。



 「Tonight」を出した後で、2年半くらい間があいて、その間に例えばライヴエイド(LIVE AID)に出てミック・ジャガー(Mick Jagger)とDancing In The Streetという共演曲を出したりとか、Absolute Beginnersとかいろいろな映画関係の仕事をやって、デヴィッド・ボウイの関心はそちらの方に向いていたんだなという感じなんですけれども、1987年になって「Never Let Me Down」というアルバムを出します。これも実はイマイチかなという感じのアルバムになってしまったんですけれども、やはり「Tonight」の時に慌てて出してしまったのがデヴィッド・ボウイのペースを狂わせてしまったのだと思います。後に、90年代になってからデヴィッド・ボウイのインタビューで、やっぱりあの時代の自分の作品というのはイマイチだったとはっきりと認めているので、デヴィッド・ボウイにとっては厳しい時期だったんですが、その中でもいい曲はありますので、Never Let Me Down。



 「Never Let Me Down」が1987年の4月に出て、このアルバムはあまり売れなかったんですけれども、その後にデヴィッド・ボウイにとって重要な出来事があって、それは何かというと1987年6月にベルリンの壁の前でライブをやったんですね。これはNHKのドキュメンタリー「新・映像の世紀」の第5集・激動の1960年代・若者の反乱が世界に連鎖したという回があって、そこでも取り上げられていたんですけれども、要するにベルリンの壁の前でデヴィッド・ボウイが演奏をして、PAのスピーカーを3分の1くらい東ドイツに向けて演奏をしたと。それがきっかけとなって、2年半後のことですけれども、崩壊したんじゃないのかと、そういうのがドイツ国内では定説になっているらしくて、今度のデヴィッド・ボウイの展覧会でも「新・映像の世紀」の映像が展示されてたりして、ある意味アルバムを出すよりも重要なことをこの時期のデヴィッド・ボウイはやっていたということですね。

 デヴィッド・ボウイにとっても1980年代というのはイマイチテンションが上がらなかった時代だと、デヴィッド・ボウイ自身が言っているという話をしましたけれども、このままではイカンと。自分も音楽に対する熱意が薄れてきているから、なんとかそれを立て直すために初心に戻ろうということで、ティン・マシーン (Tin Machine)というバンドを組むんですね。組んだ相手というのは、リーヴス・ガブレルス(Reeves Gabrels)、トニー・セイルス(Tony Fox Sales)とハント・セイルス(Hunt Sales)のセイルス兄弟、これはイギー・ポップのバンドなんかでやっていた人たちなんですけれども、この3人と四人組のバンド・ティン・マシーンを組んで、デヴィッド・ボウイは完全に一人のメンバーとして、その中でやっていくと。要するに、発言権も4人平等だし、曲も4人平等に作るし、デヴィッド・ボウイとそのバックバンドではなくて、ティン・マシーンというバンドとしてこれからはやっていくという風に宣言をして、「Tin Machine」という同名のアルバムを出すんですが、その中からUnder the Godという曲を聞いてください。



 ティン・マシーンというバンドは、デヴィッド・ボウイにとって音楽への情熱を取り戻すために必要だったという話をしましたけれども、同時にソロとして売れる前のバンドをやっていた頃に全然売れなかった。その復讐というかリベンジというのもおそらくあったと思うんですね。ただ、残念だったのは、本人達の意気込みと、周りがデヴィッド・ボウイに対して求めるものが全然すれ違っていたというところで、ティン・マシーンがファーストアルバムを出した後に、デヴィッド・ボウイはソロでサウンド&ビジョンツアー(Sound+Vision Tour)をやったんですよ。これが何かというと、デヴィッド・ボウイの旧譜がボーナストラック付で再発になるので、世界的な大ツアーをやって、その時に昔の曲もやって、その後は昔の曲を全部封印すると言ってツアーをやったんですよ。ところがサウンド&ビジョンツアーをやったことによって、ティン・マシーンの影がますます薄くなってしまったというかわいそうな状況になってしまいました。ティン・マシーンはセカンドアルバムを2年後に出しています。ティン・マシーンの時期は、デヴィッド・ボウイ自身にとってみれば、リハビリというか、失いかけていた音楽への情熱を取り戻したという意味で、非常にティン・マシーンの活動は大きかったとデヴィッド・ボウイ自身が言っていることを最後に付け加えておきます。

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