ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

デヴィッド・ボウイ(David Bowie)ヒストリー 17th「Black Tie White Noise」から23th「Reality」まで

20170109  「今日は一日“デヴィッド・ボウイ”三昧」より解説は小野島大氏です。

 1993年から10年くらいの足跡をおいます。「Let's Dance」以降、「Tonight」、「Never Let Me Down」、そしてティン・マシーン(tin machine)と、どちらかというとデヴィッド・ボウイにとっての低迷期というか、元気がなかった頃なんですけれども、この頃からだんだん調子がもとに戻ってくるんですね。まず、「Black Tie White Noise」というアルバムを出します。このアルバムはティン・マシーンが解散してソロに戻っての第一弾アルバムということで、この時に大事なことはイマン(Iman)さんと結婚されたということ。それからちょうどLAにいる頃で、ロス暴動にデヴィッド・ボウイ達は直面したんですね。その経験がこのアルバムにも反映されていると。アルバムのプロデューサーもナイル・ロジャース(Nile Rodgers)を再び起用して、ミック・ロンソン(Mick Ronson)とか昔の人も呼び寄せて、アルバムを作ろうということで作ったのが今作になります。この中からJump They Sayという曲を聞いてください。



 「Black Tie White Noise」のあとに、「The Buddha Of Suburbia」というアルバムを出します。これは何かというと、BBCのテレビドラマ用に曲を書いてくれとデヴィッド・ボウイが言われたら、いきなり40曲も書いてしまったと。結局テレビで使用されたのは1曲だけなんですけれども、もったいないからということでフルアルバムにしたしまったと。これが後に重要な意味を持ってくるんですけれども、その中からタイトル曲のThe Buddha Of Suburbiaを聞いてください。



 この「The Buddha Of Suburbia」はデヴィッド・ボウイの自宅で宅録みたいな形で作ったそうなんですけれども、今の曲はそうでもないんですけれども、全体の曲調がわりと「Low」とか「"Heroes"」とかあの頃に近い感じがあって、これを聞いたブライアン・イーノ(Brian Eno)がデヴィッド・ボウイに連絡をしてきて、また一緒にやらないかと聞いてきて、それで作られたのが次の「1.Outside」というアルバムなんですね。ブライアン・イーノとデヴィッド・ボウイは何度もやってますけれども、実はプロデューサーをつとめたのはこのアルバムが最初で最後となんです。その中からHallo Spaceboy。



 「1.Outside」の次に出したアルバムが「Earthling」。このアルバムからDead Man Walking。


 「1.Outside」の頃はナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)とかインダストリアルな方向にデヴィッド・ボウイが傾倒して、実際にトレント・レズナー(Trent Reznor)と付き合いがあったりして、そういうような中で作られたアルバムであって、今聞いていただいても分かりますように、デヴィッド・ボウイ史上もっともハードな曲だと思います。ペット・ショップ・ボーイズ(Pet Shop Boys)のリミックスバージョンもあって、それもすばらしい出来なんですけれども、今回はあえてオリジナルバージョンにしました。ただこの辺はまだデヴィッド・ボウイも復調途上かなという感じがしていたんですけれども、「Earthling」は僕はすごくいいアルバムだと思いました。なぜかというと、なんでこのタイミングでドラムンベース(Drum and bass)をやるのって、その変わり方が唐突で、これって70年代のデヴィッド・ボウイと同じじゃんと、何をやりだすかわからないデヴィッド・ボウイが戻ってきたなと。しかも「1.Outside」は暗いアルバムだったんですけれども、「Earthling」は非常に明るいし、今聞いていただいても分かるように非常にアッパーな感じで、疾走感もあって、美しいところもあるし、だんだんデヴィッド・ボウイは調子が出て来たなというのが、その当時の私の率直な感想です。これは第二の黄金期がくるのかなと思ったんですけれども、それから2年半くらいの沈黙があって、それから出したアルバムが「 'hours...'」。これはゲーム音楽ということで作ったアルバムなんですけれども、聞いていただくとわかるんですけれども、非常に回顧的な保守的な内容であって、デヴィッド・ボウイはこんな後ろ向きな音楽をやっていいのかなと当時はおもったんですけれども、曲は非常にいい曲ばかりで、じっくり聞ける、非常に味わい深いアルバムになっています。この中からThursday's Child。



 次のアルバム「heathen」はISOという自分のレーベルを作ってその第一弾です。これは「Scary Monsters」以来の22年ぶりにトニー・ヴィスコンティ(Tony Visconti)がプロデュースしたということで話題になったアルバムですが、その中からSlip Away。



 「heathen」というアルバムを出した時に、私は初めてデヴィッド・ボウイさんにお会いしまして、ニューヨークまで行って取材をしたんですけれども、いい人なんですよ。人間ができていて、穏やかだし、気を遣うし、お茶でも飲むかいっていう感じでお茶を入れてくれたり、非常に優しい人で、この「heathen」の時と次の「Reality」の時と二回続けて取材させてもらったんですけれども、非常にいい思い出です。この「'hours...'」と「heathen」とわりとじっくり聞かせるアルバムが続いて、こんな感じで落ち着いていくのかなとおもったら、「heathen」のツアー中にデヴィッド・ボウイはのっちゃったらしくて、ツアーが終わったらすぐにスタジオにはいって次のアルバムを作ろうということで、ツアーバンドと一緒に作ったのが次に出す「Reality」です。非常にアグレッシブでバイタリティーのある作品で、これは本格的にいい感じになるかなと思ったのがこの作品です。タイトルナンバーのReality。



 このRealityツアーは、バンドもいいし、演奏もいいし、歌もいいし、デヴィッド・ボウイにとっても過去何回もないような一番いい時期だったと思います。しかし、残念ながらこのツアーの途中に倒れて、手術を受けて、そこから10年間沈黙をしてしまいます。


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