音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

アメリカン・ミュージックの系譜(1) ブルースとは

アメリカン・ミュージックの系譜第二回 講師は大和田俊之氏です。
 
1、ブルース研究の現在

 ・アメリカのブルース研究は、音楽学、民俗学、歴史学、地理学、文化人類学と、いろいろな人がいろいろなアプローチでブルースについて調べ、日進月歩で新しい史料が発見されたり、新しい解釈が提示されて、音楽ジャンルそのものは進歩しているとは言えないと思いますけれども、研究そのものは非常に進んでいます。

2、ブルースとは何か?

 (1)、狭義のブルースの定義

  ・ブルースの基本的な構造は、12小節A・A・B形式といいます。つまり、上から4小節、4小節、4小節で、上の2行はAもしくはA´。歌詞が同じような内容で、Bで違う事をいいます。ロックの人たちはブルースというとA(ラ)かE(ミ)で始める人が多く、ジャズの人たちはブルースというとF(ファ)かB♭(シの♭)で始める人が多いが、一番わかりやすくC(ド)で始めると、CCCCと4小節あって、FFCCとあって、GFCCと和音三つですね。この和音の進行も決まっています。これがもっとも狭い限定的な意味でのブルースです。

 (2)、ラルフ・エリソン(Ralph Ellison)の定義

  ①、ラルフ・エリソン(Ralph Ellison)の定義

   「ブルースとは、残酷な経験の痛ましい細微やエピソードを、ズキズキとうずく意識の中で覚醒させてゆこうとする衝動であって、達観することに慰めを得るのではなく、そこから悲劇的でも喜劇的でもあるような抒情を絞り出すことで、そのとげとげしいきめをもてあそび、かつそれを超越しようとすることである。」

  ②、解説

   ・重要なことは、悲劇的でも喜劇的でもあるということです。つまり、悲劇だけではないということですね。ブルースを聞いて、これは明るいのか暗いのかどちらか分からない、つまり左手では明るいはずなんだけれども、右手では暗いという、コミカルな部分もあるし、かつ悲劇的な部分もあるとどっちつかずですね。解決しないまま、12小節がグルグルと周ります。物語が始まり完結するのではなくて、悲劇なのか喜劇なのか分からないまま、宙づり状態が保たれたまま12小節が延々と反復されていく、ブルースとはこういう音楽ではないのかなと思います。

3、ブルースの起源

 ・ブルースの起源は決定的なことはまだ何もわかっていません。分かっていることは、1880年代か90年代にかけて、アメリカ南部とりわけデルタ地帯と呼ばれるところで、12小節A・A・B形式で、西洋音楽の譜面に落とすと三つの和音で和音の進行もだいたい似ている音楽が生まれたということです。

4、ブルースの革新性

 (1)、12小節ひとまとまりの音楽

  ①、従来の音楽
 
   ・これまでの音楽はどんなものだったのかというと、普通のフォークソング的なものは8小節ひとまとまりか16小節ひとまとまりの曲が圧倒的に多かったのです。同じ時代にニューヨークを中心にティン・パン・アレー(Tin Pan Alley)という音楽産業が生まれてきますが、このティン・パン・アレーの音楽は32小節A・A・B・Aの形式にだんだん固まっていきます。

  ②、12小節ひとまとまりの音楽
 
   ・これまでに存在していた音楽とブルースは何が違っていたのかというと、まずは12小節ひとまとまりの音楽が珍しかったんです。だからみんな注目して、黒人コミュニティーでも1910年代くらいまで、新聞の投稿欄に「最近流行っている12小節ひとまとまりの音楽って何?」っていう投稿があったりします。つまり、黒人コミュニティーの中でも12小節ひとまとまりの音楽は割と珍しかったんです。ブルースは1880年代から90年代にかけて生まれたと言われていますが、黒人コミュニティーでは1910年代においてもまだ、12小節ひとまとまりの音楽は、あまり浸透していなかったということもあったようです。

 (2)、ひたすら反復していく音楽

  ・ブルースは、12小節が永遠に繰り返されます。AメロがあってBメロがあってサビがあってまたAメロに戻るという、楽曲の中に起承転結があるというよりは、ひたすら反復していくんです、始まりも終わりもないというイメージの曲ですね。12小節というのは、最後の4小節が頭に戻ってしまったのだと、つまり自動的に繰り返しをするように、16小節の最後の4小節が最初の4小節になっているということなのではないのかと思います。つまり、楽曲の中に物語性があるというよりは、どこまでも反復というものを原理としている音楽であると言えるのではないのかということですね。

 (3)、具体例

  ・簡単に言うと、16小節曲がフォークミュージックの基本であったとすると、ちょっと短い、中途半端にひとまとまりでまた最初に戻ってしまうというのが、ブルースのイメージです。このブルースの典型的なナンバーとして、B.B. KingでEveryday I have the Bluesがあります。



  このように歌であろうとギターソロになろうと、ひたすら12小節をグルグルと回しているという曲です。別のコード進行に展開するということは全くなくて、ひたすら同じ和音を繰り返していきます。

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