ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

ベック(Beck)、ポップになる

20171020

 ベックでSquare One。


 ポップですね。先行してWowとかDreamsというすごくキャッチーなナンバーがリリースされて、アルバムになったらポップになるだろうという予想通りの作品となりました。タイトルが「Colors」っていうくらいで、すごくカラフルでポップな作品になりました。それを代表する一曲としてSquare Oneを聞いていただきましたが、ベックはいろいろな所で発言しておりますけれども、とにかく今回のアルバムは曲をがんばったと。ポップソングをポップソングとして成立させる、そういうものにしたかったんだと。今までの自分の作品というのは、アレンジであったり、世界観であったり、空気感であったり、そういうようなことを重視した作品作りが多かったんだけれども、まさにポップミュージックがポップミュージックとして成立している究極のシンプルさ、でもそこにどこまでも深い奥行きがあるというか、そういう作品を作りたかったというその言葉どおりの作品になっております。続いては、この作品のリリースと同時のリードナンバーとなっているUp All Nightというナンバーを聞くんですけれども、インタビューで彼は、この曲は15回コーラスを書き直して、とにかく詰めて詰めてUp All Nightという楽曲はどこに向かおうとしているのかというのを詰めて詰めて、そして完成した作品で、最初と全然違う曲になっちゃったって言っているんですけれども、まさにそんなものすごく集中して、でも出来上がったのはこんなシンプルなナンバーでした。Up All Night。



 今回のベックはすごくポップでシンプルで力強く、多くの人に届くサウンドになっております。続いての曲はNo Distractionという曲であります。この歌詞は、

  今必要なものは目の前にある
  今必要なものはここにある
  君と僕にある

 というすごくシンプルなメッセージが歌われております。なんでこの曲を作ったのかというと、ちょと面白いエピソードがあって、それは曲を作った直接の動機ではないんですけれども、エレベーターに乗ってふと周りと見たら、自分以外のほとんどの人間がスマートフォンを見ていて、行先の階を見ているのは自分一人だけであったと。ここにある何もみんな見ていなくて、どこを見ているんだろうって。君と僕をつなぐいろいろな回路があるけれども、まさにNo Distraction。今必要なものは目の前にある、今必要なものはここにある。そんなメッセージが歌われているナンバーでございます。No Distraction。



 今回のベックの新作は、全部で10曲です。割とタイトに作られていて、ベック自身が、それこそ「スリラー」にせよ「レッツダンス」にせよ名作アルバムは10曲以内の作品が多いよねと言っているんですけれども、すごくタイトであっという間に終わってしまうんですけれども、何度でも聞きたくなるという作品を彼は狙って作ったんだろうと思います。続いて聞く曲は、その10曲目のナンバーです。Fix Meという、まさにアルバムがこの曲によって終わるという、アルバムの物語性を象徴しているような楽曲です。

  君が欲しい
  君が欲しい
  おお君が欲しい
  今夜街が海に飲まれてもかまわない
  今夜
  地面はからっぽで暗い空がついてくる
  君は自分がどこに行くのかわかっていない  
  木の枝には腕があって月が誤報
  自分以外君に危害を加えるものは何もない
  君が欲しいんだ
  君が欲しい
  君が欲しい
  今夜街が海に飲まれてもかまわない
  今夜
  僕は解放される
  僕は解放される



 いかにもアルバムの最後のナンバーという感じで、だんだんアルバムの概念が薄れてきているという時代がありましたけれども、今再びアルバムの物語性みたいなものが、ヒップホップのアーティストを主体に、新たにまた復活している、そんな感じがしますけれども、この作品もそんな感じがしました。

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