ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

キャレキシコ(Calexico)に学ぶ、ロックに可能性はあるのか?

20180216

 キャレキシコでDead in the Water。



 キャレキシコの最新作「The Thread That Keeps Us」。なんと彼らは9枚目なんですよね。アリゾナ出身の、アメリカを代表するというか、非常に有名なインディーバンドであるキャレキシコ。キャリアの中で、まさにオルタナティブでインディーなサウンドを作り続けている彼らなんですけれども、今回のアルバムは本当に素晴らしく、とってもグルーヴィーで、ファンキーで、そしてすごく力強いロックでいいんですよ。最近ロックってなかなか地味じゃないですか。ヒップホップだとか、ポップミュージックだとか、エレクトロニックミュージックのものすごい勢いを前にして、なんとなくロックというと、オールドスクールで、おじさんの音楽で、チャートを見てもほとんど入っていないしみたいな、そういう逆風の中にあって、頑張ってほしいなぁと思うんですけれども、その中で時代とイノベーションとを共に実現しながらポップであるというのはなかなか難しいんですけれども、このキャレキシコの新しいアルバムを聴いていると、すごくその可能性を感じます。じゃあこの作品が売れると思うのかというと、それは難しいかもしれませんが、でもすごくいいよね、ここに何か可能性があるよねっていう気がして、今回は、普通このバンドをここまで力を入れてここまで何曲もかける番組はないと思いますが、いっぱいかけてしまいます。ということで、まずはアルバムのオープニングナンバーから聞いてください。End of the World with You。




 いいですよね。ロックならではの長いギターソロもあるんですけれども、でもそれが古めかしいものではなくて、今の時代にギターソロってどういう形で成立するのかというと、こういう形だよねという形になっているし、ものすごくオーソドックスなエイトビートのドラムが鳴っているんですけれども、でもどう考えてもこれは2018年だよねという。例えば、アーケイド・ファイア(Arcade Fire)みたいなすごく先鋭的でポップで、でもあくまでもロック的なものの中にあるそういうものと非常に近いところにいるんですけれども、でもそれ以上のわかりやすさみたいなものがあって、面白いなぁ、ロックも可能性がすごくあるなぁというのを、僕はこの一曲目を聞いて思いました。そして、続けていったら、二曲目もいいぞ、三曲目もいいぞという感じになったんですけれども、そんな二曲目を今度は聞いていただこうと思います。Voices in the Field。




 気づいた方もいると思いますが、どの曲も短いんですよね。一曲目は2分38秒、二曲目も3分08秒ですし。なんと四曲もかけてしまうんですけれども、Bridge to Nowhereという曲なんですけれども、これも3分07秒。だから、ある意味すごくオルタナティブでインディーな音作りではあるんですけれども、ポップソングとしてきっちり通用する世界観とサイズ感が意識されていて、本当にロックというものがこの時代にどう有効であるのかということが、それはU2みたいに思わず力こぶしを振り上げて正面からやるというやり方もあるのかもしれませんけれども、また別の形での突破口をこのキャレキシコというのはきっちりと作っていると思います。3分07秒のこれもすばらしいポップソングだと思います。Bridge to Nowhere。




 本当に古典的にギターリフですけれども、それにポップなメロディーがあって、本当に音の肌触りの一つ一つの正確な作り上げ方が、2018年のリアル感をしっかり支えている、でも全体すごくオーソドックスなポップロックであるという感じが私的にはすごく気に入っていて、これを聞いているとロックいいなと思える、そんな手ごたえのある作品でございました。


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