20180923
イギリスはブリストル出身のアイドルズ。非常にロックなバンドです。アルバムタイトルが「Joy as an Act of Resistance」というすごいタイトルでございまして、ギターで、肉体で、そしてエネルギーでロックを表現する、そういう表現の仕方こそロックだという、今どきあまり流行らないかもしれませんが、そういう姿勢が徹底しているバンドです。全体の佇まいはパンクな音で、歌っている内容はそれこそ社会の不正であるとか、階級社会に対する怒りであるとか、移民問題であるとか、ナショナリズムに対する反対の意思であるとか、そういうロックの持っている反体制的なメッセージ性を叩きつけるという、まさにロックがもともと持っていたアティチュードというものを2018年という時代にもういっぺんしっかり再現していこうというそういうバンドです。来日コンサートをやって、まさにそのエネルギーを叩きつけるようなライブが注目されたんですけれども、まずはDanny Nedelkoという曲を聞いていただきます。この曲は移民問題を正面から取り上げたナンバーです。
血を分けた俺の兄弟は移民
美しき移民
血を分けた俺の兄弟はフレディ・マーキュリー
三人の子を持つナイジェリア人の母
あいつは骨でできている
あいつは血でできている
あいつは肉でできている
あいつは愛でできている
あいつはお前でできている
あいつは俺でできている
結束だ
恐怖が狼狽を惹き起こす
狼狽が苦痛を惹き起こす
苦痛が怒りを惹き起こす
怒りが憎悪を惹き起こす
Danny Nedelko俺の親友は異邦人
血を分けた俺の兄弟は市民
あいつは強くてひたむきで無邪気な男
Danny Nedelko同一性なんて糞くらい
Danny Nedelko Danny Nedelko
聞いていただいてこう思われた方も多いと思いますが、21世紀型のセックス・ピストルズみたいなそういう言われ方もしています。非常にパンキッシュな音作りと、反権力性の歌のテーマみたいな所が注目されているんですけれども、なによりもポップですよね。とにかくこのバンドを聞いていつも思うんですけれども、本当にメロディーがポップだなぁと。これはセックス・ピストルズなんかにも言えるんですけれども、すごくキャッチーなんですよ。パンクロックは、すごくノイジーでメロディーもへったくれもないぜみたいなイメージがありますけれども、実際には二大パンクロックバンド、セックス・ピストルズとザ・クラッシュ(The Clash)を例にあげるまでもなく、みんなポップなメロディーを持っています。パンクロックは、ロックンロールのサウンドとともに、全体は爆発するギターサウンドではありますけれども、ポップなメロディーが最終的には耳に残るという構造があります。そして、アイドルズは、この構造を受け継いでいます。それではもう一曲聞いてください。Never Fight a Man with a Perm。