ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)は何がすごいのか?

20200301
 
中村明美「ビリー・アイリッシュがジェームズ・ボンド (James Bond) のテーマ曲を作ったという話題を紹介したいと思います。ビリー・アイリッシュは先日発表されたグラミー賞で、アルバム賞、レコード賞、楽曲賞、新人賞という主要4部門を受賞した、18歳にして史上最年少というすばらしい記録を獲得したばかりなのですが、今度はなんとジェームズ・ボンド。25作目にしてダニエル・クレイグ(Daniel Craig)5作目の最後の作品となる「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」で、今度は史上最年少でジェームズ・ボンドのテーマ曲を作ってしまったという、記録ばかり作っている少女なんです。彼女は昔からジェームズ・ボンドの曲を歌いたいと思っていたらしくて、頼まれていないときからお兄ちゃんとジェームズ・ボンドのテーマ曲っぽい曲を書いていたらしいです。なので、ジェームズ・ボンドの曲が書けるならよろしくお願いしますって頼んでいたらしいのですが、その夢が実現してしまったということです。彼らとしては、サム・スミス(Sam Smith)とレディオヘッド(Radiohead)が一緒に曲を提出して、レディオヘッドの曲が使われないでサム・スミスの曲が起用されたみたいなことがあることを知っていたので、頼まれた限りはそれがいかに重要なことかが分かってるみたいな、その歴史の重さは分かっていますって言ってました。彼ららしいのが最初のオープニングのシーンに関して脚本をもらって、それを読んだ瞬間に浮かんできて、三日で作ってしまったということで、テキサスのツアー中にツアーバスの中で作ったらしいんですけれども、もともとは頼まれてからSkyfallとかGoldfingerのような曲はちゃんと知っていたのですが、全部聞き直したということで、そこらへんが偉いなと思います。もちろん真似するのではなくて、どういったことをやってはいけないのかをちゃんと勉強したと言っていました。彼らに決まった当初は、映画のファンからは、若すぎるしアメリカ人だしみたいな苦情もあったらしいのですが、できてみたらジェームズ・ボンドのテーマ曲らしい曲でも、ビリー・アイリッシュっぽい曲でもあると、落としどころのいい曲が完成して、さすがだなぁという感じです。歌詞の方も読んでみれば、ジェームズ・ボンドの恋愛関係と裏切りみたいなものがしっかり描かれていて、そこらへんもすばらしいなぁと思いました。さっそく、ブリット・アワーズ(Brit Awards)でパフォーマンスを見せたんですけれども、ハンス・ジマー(Hans Zimmer)とジョニー・マー(Johnny Marr)というすばらしい大先生達を従えて、彼女が堂々と歌いきるという感じで、始まる前は今まで歌ったこともないような高音を歌わなきゃならないんですごくナーヴァスと言っていたのですが、終わってみれば堂々としたパフォーマンスでさすが破格の新人だなという感じでした。映画の方は、「ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)」でオスカーをとったばかりの、フレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)を演じたラミ・マレック(Rami Malek)が今回は悪役で出ているということで、ビリー・アイリッシュのテーマ曲もそうですが、今回も見どころがたくさんということで楽しみにしています。」

渋谷陽一「曲を聴いたんですけれども、あまりの完成度とすばらしさに言葉を失うというか、シャレにならなないなこの子って感じで、すごいですよね。」

中村「何を任せてもしっかりこなしてしまうバランス感覚といいますか、何をすべきなのかちゃんと分かっているという所が破格すぎます。」

渋谷「勝手に自分の世界観じゃなくて、明らかにジェームズ・ボンドワールドを作ることを楽しんでいる、寄せていくんじゃなくて、こういうの面白いねみたいな空気が伝わってくる所がすごいですね。」

中村「それでいて自分らしさを失ってないというところが、すごい才能だと思います。」




渋谷「この作品には2つすごいところがあって、1つは007ってすごいなと思いますね。要するに、007はもう何十年もやっているシリーズじゃないですか。それで世界観があるという。映画そのものの世界観もさることながら、テーマソングにひとつの世界観があって、アレンジもテイストがあって、これをビリー・アイリッシュからポール・マッカートニー(Paul McCartney)まで、世界の最も有名なアーティスト達が、その世界観に準じて曲を作っていって、それをみんな楽しんでいる。それがことごとくヒットしていくという、その007のテーマというひとつのお題がここまで機能しているのはすごいなぁと思います。2つめはビリー・アイリッシュです。ビリー・アイリッシュがすごいのは、職業であるということを理解しているなぁという気がするわけです。以前ロンドンレポートで児島さんが、自己言及的なシンガーソングライターが多くて困るみたいなことを言っていたんですけれども、ビリー・アイリッシュはそうじゃないわけですね。当然18歳の自我をすごくストレートに表現する歌をやりつつ、やっぱりプロである。プロがある程度のちゃんとテーマを持って、そこにエンターテイメントとしてのひとつの作品をつくる、そういう仕事なんだよポップアーティストは、という意識があり、しかもそれを楽しんで、高いクオリティーで実現する才能、スキルと持っているところがすごいなぁと思いました。」

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