ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

KRS-Oneに学ぶヒットチャートから落ちてゆくとどうなるのか

world rock now 20021108

 KRS-Oneはネリー(Nelly)と対立しています。ネリーといっても日本ではあんまり知られていませんが、アメリカではとにかく売れ倒しているというナンバーワンヒップホップアーティストであります。KRS-Oneというのはブギーダウン・プロダクションズの創始でございまして説教グセがあります。KRS-One「ヒップホップっていうのはやっぱり黒人の魂の・・・。」ネリー「うるせんだよ。親父はよ。もっと楽しくやろうぜ。」KRS-One「許さん!!」みたいな感じでKRS-Oneは怒っております。ネリーを叩き潰すという意味でこのThe Mix Tapeという作品をつくったわけであります。この作品のなかでDown The Charts、つまりチャートを落ちていくっていう曲で歌詞が最高なんでちょっと紹介したいと思います。

 チャートのポジションを気にしている奴ら

 お前らに欠けているのはハートそしてアートなんだ

 そんなお前らに救いとなるような何かを知らせてやる

 1位の時はみんなが群がり

 2位になってもまだみんなは一緒にいてくれる

 3位に落ちても人はまだお前を見たがり

 4位でいても人はお前を好きでいてくれるだろう

 5位になれば周りはお前を助けようとし

 6位でもお前はいろいろなミックスに引っ張りだこ

 7位になれば人は疑いだす

 8位になるとためらいだす

 9位になればお前も気づくだろう

 10位になれば友達が離れてゆくことに

 11位レコードが売れなくなる

 12位お前は他の奴らと差がつかなくなり

 13位になればお前は仕事をしたくなくなる

 14位自分の価値を見出せなくなり

 15位お前の最盛期は過ぎ

 16位お前は過去の人物

 17位見えなかったものが見えてくる

 18位になればその意味がわかるだろう

 19位で女を失い

 20位になれば金も失うプレイボーイのウサギちゃんと一緒さ

 21位もう何も楽しいことはない

 22位何をしていいのかわからなくなる

 23位になれば心の安定を求め

 24位になればお前はもう耐えられなくなる

 25位お前はどん底を味わう

 26位お前の作品はオールドスクールミックスに入る

 27位人はお前に何かしろといい

 28位お前はじっくり考え始める

 29位心にゆとりがうまれ

 30位すべてがダーティーで大切なのはスキルとアートに対する愛情だったことに気づく

 チャートの上下に誰がいるということではなくて心の中を見るんだ

 そしてそこからすべてが始まるのさ

 オレは永遠にヒップホップを行き続けるのさ

 マジで




リチャード・アシュクロフト(Richard Ashcroft)はセクシーである説

world rock now 20021101

渋谷「リチャード・アシュクロフトはイギリスではベッカムと張り合うくらいの人気があるという。」

児島「そんなんです。特に女性に人気があるんですよ。」

渋谷「日本じゃそういうイメージまったくないですよ。」

児島「こちらの女性にとってはあんなセクシーな男はいないって。もう取材にいくものなら私も連れてって、サイン貰ってきてって大変な騒ぎですよ。

渋谷「やっぱり顔が長いのがポイントなんですかね。

児島「日本人の感性からみるとその程度なんでしょうけど、こっちの人にとってみればセクシーみたいですね。

渋谷「そして全イギリス女性憧れの的リチャード・アシュクロフトと交際したという話を聞いたんですが。」

児島「自宅インタビューだったんですよ。」

渋谷「すごいですねぇ。」

児島「住んでるところすごいんですよね。グロッサーっていう南西部にある非常に大きなマナーハウスなんですよ。昔のお城を改造したやつですね。大庭園に噴水は出てるは、孔雀は遊んでるはって想像できますか。あちこちに石の彫刻がたってるはで。ドラキュラ城みたいな感じですね。」

渋谷「ご本人はフェロモンでプンプンですごい盛り上がって、児島さんもセクシーなオーラに圧倒されてしまいましたか。」

児島「ていうか、自分が言ったことは何も覚えてなかったです。」

渋谷「キース・リチャーズ(Keith Richards)の前でも全くビビることのない児島さんがリチャード・アシュクロフトの前だと。」

児島「この人の前だと何にも頭の中が空っぽになってしまうんです。やっぱり私もこっちの感性になってますからね。」

渋谷「イギリス人化が進んでますね。」

児島「こっちではカリスマですから。」




フー・ファイターズ(Foo Fighters)は産業グランジである説

world rock now 20021018

 フー・ファイターズでLow。



 かっこいいですね。こういうオーソドックスなロックらしいロックは久方ぶりに聞いたなぁという。本当に今市場が求めロックファンが求めている音がここで鳴っているという感じがします。その余りにも明解なツボの圧し方が気持ちよすぎる感がしなくもないですが、先行シングルのAll My Lifeというのがこれもまた掴みのはっきりした曲で、いろいろなところでかかってたりするんであえて今回は外したんですけれども、これもビデオクリップも所謂ロックバンドはこういうものであるというイメージ通りの佇まいのライブをそのまま納めたようなビデオクリップで、フー・ファイターズはメンバーチェンジなんかをしたりして新生フー・ファイターズとなりましたけれども、いい作品を作ってくれていると思います。元ニルヴァーナのドラマーという表現もほとんどしなくなってきているデイブ・グロール(Dave Grohl)率いるフー・ファイターズ。宅録デビューアルバムからいろいろな形で基本的にはハードロックがやりたいんだろうなぁというイメージはあったんですが、その後いろいろなことをやってようやく彼ら自身のフォーカスが定まってきたきたことが非常に強く感じられる作品になっています。こういうロックらしいロックが出てくると私としてもうれしいなというか安心するなというかそういう感じがします。Have It All。



 気持ちいいですね。このバンドの良さというのはメロディーのはっきりとしたところですね。よく言いますけれども、今日的なモダンロックはおおむねメロディーがあるかどうかよくわからない状態になりつつありますけれども、そういう中でグルーブがあってメロディーがはっきりしたバンドを聞くと、ここにロックの明解な市場性が存在しているとそういう手ごたえを感じるんですが、と同時にこの非常によくできたアルバム全体を聞いていると僕はちょっとずつ不安が頭をよぎるんですよね。非常に危険な言葉なんで誤解を招くとまずいんで使うか使わないか迷ったんですが、「産業グランジか、これは」みたいな。クイーン・オブ・ストーン・エイジ(Queens of the Stone Age)が非常に正しいポストグランジだとすると、やはりフー・ファイターズはどこか「産業グランジ」みたいなノリがありまして、これも危険な言葉なんですけど、「これジャーニー(Journey)か」みたいなそういうようなギターのフレーズが時々垣間見えて、しかしそれと同時に非常にグランジでノイジーですばらしいというリフが出てきたり、すごくいろいろなものがはいってるんですよね。それがデイブ・グロールな所なんでしょうけど、このバランスが崩れるとちょっと怖いかも、でもとりあえずこのアルバムは気持ちいいぞ、というのが私のこのアルバムに対する感想であります。そんな思いが皆さんに伝わるナンバーを聞いていただきたいと思います。Overdrive。



2002年で気に入った曲

Simple Plan - I'd Do Anything
David Bowie - Everyone Says "Hi"
the flaming lips -Yoshimi Battles the Pink Robots
Idlewild - A Modern Way of Letting Go、Stay the Same
Murderdolls - Love At First Fright
J Mascis and the Fog - Everybody Let Me Down
Underworld - Two Months Off
Ben Kweller - Wasted & Ready
Nas - Thugz Mansion (N.Y.) ft. 2Pac & J. Phoenix
Flogging Molly - Drunken Lullabies
Tori Amos - mrs. jesus
The Coral - Dreaming Of You (Director's Cut)
Porcupine Tree - Blackest Eyes
The Vines - Highly Evolved
Supergrass - Grace
Mum - Green Grass Of Tunnel
Doves - Pounding

Pet Shop Boys - I Get Along
Pet Shop Boys - London


ジュラシック5 (Jurassic 5)に学ぶ、ヒップホップはオタクの音楽である説

world rock now 20021011

 ジェラシック5でBreak。



 ジェラシック5は西海岸出身のヒップホップバンドで、ジェラシック5って言うんですけれども実際には6人います。4人のMCと2人のDJによって構成されました6人組のバンドで、なぜかアメリカ本国よりも日本やイギリスあたりで紹介されて盛り上がっているという構造を持ったグループでございまして、今きいていただきますとよくわかるとおもうんですよね。ある意味で今の先端的なコアでディープでハードなそういうヒップホップと比べるとなんかのどかだなぁ、平和だなぁというのどかさと、非常に音楽的に楽しいしすごく洗練されているし、ある意味でバックトラック重視型のそして音楽的なメロディーラインやハーモニー重視型のヒップホップという感じで、僕らにとっては非常に馴染みやすいスタイルなんですけれども、アメリカにおけるヒップホップの主流、そして先進国であるアメリカでのヒップホップの聞かれ方とちょっとズレてるのかなぁという気がしますけれども、こういう佇まいというのは日本のヒップヒップファンというか音楽ファンにとってはすごくリスナーフレンドリーな感じがしますよね。After School Special。



 ジェラシック5のポリシーはサンプリングするときに絶対オリジナルのファーストプレスしか使わないというこだわりがあるらしくて、オタクだなぁみたいな感じがするんですけれども、ヒップホップというのは非常にシンプルでメッセージ性があって言葉によるコミュニケーションをすごくダイレクトに表現している音楽スタイルといえますが、逆に言うとサンプリングというスタイルを考えると限りなく音楽オタクな表現スタイルでもあるんですよね。いろいろな音楽のリズムトラックだけとかギターのフレーズだけをもってきてそれをバックにループさせたりして自分達のトラックを作っていくわけですけれども、そのネタをどこまで知っているのか、あるいはこの曲のここだけ使うのはカッコいいみたいなそういうオタクな競い合いという要素がすごくあって、まさにこのジェラシック5はそのへんの情報とスキルを誰よりももっていて、それを競い合いたいという、まあロックオタク、ファンクオタク、音楽オタク、レコードオタクというような人たちの集団でもあるんですよね。その辺の非常に巧妙なトラックのつくり方と全体の音作りみたいなものがわりと日本人の洋楽ファンなんかには通じるものがあるんじゃないかなぁと。そういう人たちが作る音楽というのは、僕らは言葉がわかりませんから、ヒップホップのシリアスなメッセージよりも彼らの音楽的なメッセージの方がダイレクトに伝わってくるんじゃないかなぁと。そういった意味でジェラシック5は日本で人気が高く、アメリカと社会状況が違うイギリスあたりでも人気がある原因ではなかろうかという感じがいたします。Hey。



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