ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

渋谷陽一、ジミー・ペイジ(Jimmy Page)に嫌がられる

world rock now 20031219

 (レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)のライブDVD発売にあわせて)ジミー・ペイジにインタビューをやったんですよ。そしたら嫌がられてねぇ。また重箱の隅をつつくような質問をと。そしたら、おつきのおばさんが来て、1時間を予定してたインタビューを45分くらいで終わらせようとして、頭きて1時間インタビューをやってやったんですけど。


2003年で気に入った曲

Johnny Marr + The Healers - Caught Up
The Exies - Can't Relate
All-American rejects- One more sad song
Minuteman - 5000 Minutes Of Pain
Mew - Am I Wry? No
Longwave - Wake Me When It's Over
Fountains of Wayne - Mexican wine
Fountains of Wayne - Valley Winter Song
Rocket Summer - Mean Thoughts And Cheap Shots
The Coral - Pass It On
Rancid - Memphis
The Distillers - Hall of Mirrors
OutKast - Hey Ya!
Limp Bizkit - Almost Over
Dido - Life For Rent
Matthew Sweet - I Don't Want to Know
Longview - Nowhere
Mew - Snow Brigade
Anathema - Violence

日本のバンドは日本語でフランスのバンドはフランス語で歌うべきである説

world rock now 20031121


 プレイモ (Pleymo)でZorro。




 フランスのリンプ・ビズキット(Limp Bizkit)という形で世間的には認知されているプレイモの3rdアルバム。しかし、これまでのリンプ色が薄まりまして、まさにプレイモ以外の何者でもないという佇まいにだんだんなってきております。すごく手ごたえのあるアルバムだと思います。アルバムタイトルの「Rock」も彼ら自身のこのアルバムにかける思いがすごくストレートに出てるアルバムであります。実はこのアルバムはロックという目が見えない少年が主人公なんですね。この少年が世界とかかわり、自分自身が世界をどう認識してゆくのかという、かつてはThe Whoがやったみたいな、ロックによる世界と自分とのかかわりあいと自我形成という、まさにロックという表現がずっと向き合っていたテーマをプレイモ自身が正面から取り上げた作品になっています。こういう気持ちが音にも反映されておりまして、これまでのありがちがヘビーロックサウンドから彼ら自身の匂いがすごく出てきた作品になっております。続いて、この主人公のロックを歌ったナンバーを聞いていただこうと思います。Rock。




 今回のアルバムで何がすばらしいって、フランス語で歌われていることがすばらしいと思います。僕は日本で英語で歌うバンドにインタビューするときは、執拗に、何度嫌がられようとも日本語で歌うべきだということを言い続けておりまして、最近もLOVE PSYCHEDELICOの皆さんにそういう話をして嫌がられましたけれども、絶対母国語で歌うべきだと思うんですよね。そうじゃなければ基本的にコミュニケーションのあり方をクリアできないんじゃないかと。自分自身が英語ができないというそういう部分もあるのかもしれませんが、やっぱり日本のバンドは日本語で歌うべきだと思うし、フランスのバンドはフランス語で歌うべきではなかろうかというのが私の姿勢であります。前作は英語で歌われていたんですけれども、今回はフランス語になったということは、これはフランス語にしようと思ってなったのではなくて、ロックというテーマを設定しそこでシリアスに自分と向き合い、その表現をきっちり音楽にして歌詞にしてゆこうとするときに、僕は必然的にフランス語になったのではなかろうかと思うんですよね。そういう時には絶対自分の母国語がでてくるという、その辺が一番重要なのではないかと思います。1977。




ザ・ダークネス(The Darkness)、悪のはびこるロック界を正すためにやってくる

world rock now 20031024

 レコード会社がつけたこのバンドのキャッピコピーが「全身タイツに身を包み悪のはびこるロック界を正すためにやってきた闇の帝王ザ・ダークネス」。悪がはびこってたんだロック界って。知らなかったなぁとそういう風な気がしますけれども気持ちは伝わってきます。そして、なんといってもこのザ・ダークネスを全面的に推しているのが伊藤政則でございまして、伊藤のライナーが笑えるんですけれども、「とてもとてもアメリカが生み出せるようなバンドではない。英国の歴史と伝統が複雑に絡み合ってそれがザ・ダークネスというバンドの生命を紡ぎだしているのだ。笑あば笑え。俺たちには自由がある。」。「笑あば笑え」ってすごいですよね。強気なのかひがんでるのかよくわからないですけれども。このザ・ダークネスはイギリスにおいて評価と人気が高まり、なんと話題のこ「のPermission To Land」というデビューアルバムは初登場2位、その次ぎの週には1位にあがってしまったという、最近の新人バンドとしては異例ともいえる大ヒットを遂げているわけでございます。向こうでは脅威の新人として大変な話題となっているザ・ダークネス。まずはI Believe In A Thing Called Love。



 このバンドの原型はクイーンであることはいまさら説明するまでもないわけであります。クイーン(Queen)が出てきたときはザ・ダークネスが出てきたときよりもはるかに異端でありまして、デビューしたときのクイーンというのは単なるキワモノで、あえてバッシングされるであろうことを引受ながら登場した非常に挑戦的なグループで、全世界が白い目で見た偉大なるロックバンドに対して、正しい評価かどうかわわかりませんが、諸手をあげて熱狂をしたのは日本だけで、そうした意味で彼らは日本をずっと愛し続けてくれてたわけでありますが、このザ・ダークネスにしろクイーンにしろロックの中にメロディーというのがいかに重要であるのかを改めて再認識させたのは、これらのバンドの方向性は非常に似ていると思います。ただし、このザ・ダークネスは私にとっては何のイノベーティブなものも感じられないわけでありますけれども、クイーンはすべての上において革命的でメロディーの復権から、サウンドアンサンブルから、ビジュアルから、クイーンというバンド名から、世界観から、ボーカルスタイルからすべて画期的なもので、あのときは本当にキワモノとして扱われていたけどその後何十年たってイギリスが選ぶロックバンドベスト10で、1位がビートルズ(The Beatles)であるのは置いといて、3位のストーンズ(The Rolling Stones)をおさえて2位にクイーンが入っているという事実は、あの当時を知る私としては本当に信じがたい180度評価の転換という感じがします。しかし、このザ・ダークネスはポップであるということ、そしてメロディーが非常にロックにとって重要であるということをアピールするという役割が非常に強く果たしていると思います。まさに、悪のはびこるロック界を正すためにやってきたとコピーをつけたレコード会社のディレクターの思っている「悪のはびこる」とは、メロディーのはっきりしない、すごくヒップホップの影響であったり、ヘビーロックの影響であったり、一つのリフであったり、サウンドの全体像をゴリゴリ押していくような音楽にたいして、なんかついて行けないなぁと思っている人たちがたくさんいると思うんですよね。それはそれでどうなのかなぁと私は思うんですけれども、ただその気持ちはわからないでもなく、メロディー自身がもう一辺ロックの中に復権してほしいという気持ちがどっかにあるというのは、それはそれで正しい生理反応だと思います。そこに火をつけたのがこのザ・ダークネスということなのでしょう。Givin' Up。



 ライナーノーツにいみじくも書いてあるんですけれども、「グランジ、オルタナティブの台頭した90年代以降、いつしかミュージシャンとシーンの関係から柔軟性が欠如してしまった。その結果形骸化したフォーマットの中での類型化が肥大化し、シーン全体を硬直させていった。アメリカ発のこの病根は世界中に蔓延し、ある種の個性の横並び現象を生み出していったのである」と。このように位置づけておりまして、これはないだろうと。90年代のロックイノベーションをこういう風に位置づけちゃイカンだろうと僕なんかの立場からするとなるんですけれども、僕から言わせればヘビーロックファンというかハードロックファンの古典的な形態に固執して柔軟性を欠如した感性の持ち主たちは、最近の音楽についていけないなぁという孤独感を感じていたのかもしれません。そこに出てきたこのザ・ダークネスというのはすごくうれしいなぁという感じを抱かせたのかもしれないですけれども、そういう風にうけとめちゃ間違っちゃうんじゃないかなぁと私なんかは思うわけでありまして、これは笑ってあげなきゃいけないでしょと。彼らに対する健全な態度は笑うということだと思います。Friday Night。




ジョー・ストラマー(Joe Strummer)はクラッシュ(The Clash)にどう向き合ったのか?

world rock now 20031017

 ジョー・ストラマー&ザ・メスカレロスでComa Girl。



 ジョー・ストラマーの遺作ストリートコアは非常にいい作品となっております。これまでどこか歯がゆさがのこるジョー・ストラマーの作品が続いていましたが、この作品はラストアルバムになったということをおいといても、非常に感動的な作品となっております。曲もすばらしいですけど、すばらしい歌詞、ジョー・ストラマーの詩人としての能力は誰もが認めるところなんですけれども、すばらしい歌詞が次から次ぎへと出てきて、なんとなく感動もするけどせつない気持ちにもなります。Arms Aloft。



 ジョー・ストラマーが一番すばらしかったのはクラッシュを再結成しなかったことだと思います。それに対して彼は執拗に拒否をし続けました。彼自身インタビューで「俺にとってクラッシュを再結成することはすなわちアーティスティックな活動の敗北を意味してるんだ」というすごく正しいことを言い続け、常に彼自身はクラッシュと対決し、クラッシュではない自分というのをどう作り、どう前に進むのかについて戦い続けてきたアーティストだと思います。若いバンドとは別の形で自分自身が作り上げたロックの古典と正面から向き合い、それと戦い続け、再結成という形で自分の落とし所を安易に決めることなく、本当に戦い続けて、だからこそみんなからの支持もすごく大きかったと思います。では、それが大きな勝利を収めたのかというと、偉大なアーティストではありますけれども、クラッシュ後の彼はそんなに大きな成果を残していないと思います。このアルバムはその中でもすばらしいと思うんですけれども、それくら自分自身の古典であるクラッシュとの対決、これだけ執拗に再結成を拒みながらもクラッシュとの戦い続けたジョー・ストラマーは、ロックが過去の古典とどう向き合えばよいのかの困難さを象徴していたアーティストだなぁという気がします。ただ、彼の向かっていった姿勢は非常に正しかったし、その果敢な姿勢は多くのロックファンのエモーションを集めていたなぁと思います。彼自身も自分自身がリスペクトする古典への思いというのがすごくあってですね、自分自身のライナーノーツで「ストリートコアという俺のアルバムは、レゲエ、ダブ、ファンク、ジャズ、ブルース、フォーク、ヒップホップ俺たちの知る限りの幅広い音を集めて作り上げた、もっともサイケデリックミュージックなんだ」という発言もしているんですが、彼自身が尊敬するボブ・マリー(Bob Marley)のナンバーをこのようにストレートのカバーしているというのも、感慨深いものがあります。Redemption Song。



 結局ジョー・ストラマーって何だったのかなと考えると、旗を掲げて絶対それをおろさなかった人だなという気がしますね。かなりヨロヨロはしていたんですけどそれでも自分自身絶対旗はおろさなかったし、それを掲げることをやめなかった、そこが一番かっこよかったと思います。All in a Day。




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