ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

結局ツアーでお金を稼げるのはベテランミュージシャンである

world rock now 20060120 

 結局ツアーでお金を稼げるのはベテラン勢だけだったという。アメリカのある雑誌が行った統計によると去年(2005年)に一番稼いだのはローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)で日本円で約180億ですね。2位がU2で150億くらいですね。3位がセリーヌ・ディオン(Celine Dion)、4位がポール・マッカートニー(Paul McCartney)、5位がイーグルス(The Eagles)で全部ベテランばっかりですよね。新人バンドでここまでいくのは大変なんでしょうね。

ポップミュージック界最大の才能、スティービー・ワンダー(Stevie Wonder)

world rock now 20051104

 スティービー・ワンダーの10年ぶりのオリジナルアルバム「A Time to Love」よりSo What the Fuss。


 

 スティービー・ワンダーを知らない人はいないでしょうし、スティービー・ワンダーといって何曲か実際のヒットソングを連想することは容易であると思います。しかし、スティービー・ワンダーってなんだろうというと今の若い人にはぼんやりしてしまうのかもしれません。僕にとってはビートルズを超えるポップミュージック界の最大の才能というのはスティービー・ワンダーだと思っています。「Talking Book」から「Songs in the Key of Life」にいたる伝説的な四部作というのがあるんですけれども、そのクオリティーはいまだにポップミュージック史上の高みにあってそれを超えるものはないと私は思っています。しかし、それから何年もたち、スティービー・ワンダーは自分自身あまりにも高い故に到達することができなくなってしまいまして、あれほどの天才でもこれほど苦労しなくてはならないのかという期間を長くすごすことになってしまいました。そして、それは残念ながらいまだに続いています。今回10年間のインターバルがあいてしまった。それは彼自身最高のクオリティーを義務付け、最高の四部作を超えるものを作ろうとした結果であろうと思います。その気迫は感じるんですけれどもまだその高みにはまだ到達していない感じです。しかし、彼は本当によくやってくれたし、今の中で彼が出せる限りの力を出してくれたんだろうなぁという感じはします。ただし、一曲。これはすごいぞというメロディーがありまして、これはあの時代のなにがしかを感じることができるなぁと思い涙してしまいます。Shelter in the Rain。



マーズ・ボルタ(The Mars Volta)に学ぶ新しいライブアルバムの作り方

world rock now 20051104

 マーズ・ボルタのライブアルバム「Scabdates」からConcertina。




 彼らの圧倒的なライブパフォーマンスをそのままパッケージ化されたそういう作品になっています。そして、それだけではなく、マーズ・ボルタ、ライブアルバム史上初の発明といってもいいとおもうんですけれども、ライブ音源のリミックスというほどのものではないんですけれども、あっちゃこっちゃライブ音源を曲の間でひっつけたり離したり、一種の素材として使ってるんですよね。こういう発想でライブアルバムを作った奴っていままでいなかったなぁと。ライブアルバムという概念を抜本的にかえてしまうというアプローチで作られています。これ以後こういうことをやるアーティストが増えてくるんじゃないかなぁという気がします。ロックってなんでもやりつくされているような感じがするけれども、こんな基本となるような発明がまだ残っていたんだと。A. Gust of Mutts、そしてB. And Ghosted Pouts。

ワープド・ツアー(Warped Tour)、エアジャム(AIR JAM)の功績

world rock now 20051021

 今はメロコアというのは一つのジャンルとして確立して産業的にも強固なものになっているんですけれども、こうしたシーンを作った大きな要素として、こういうバンドがいっぱい集まってやるワープド・ツアーというものがあるんですね。新人からベテランまでメロコア的なバンドがいっぱい集まってものすごく安い値段で全米をまわって、子ども達を集めてこうしたバンドの情宣活動を行うというワープド・ツアーの働きはすごく大きいし、日本においてもフェスというのは定着して、コンサートとは違う新しいライブの形態というのは日常化してきているわけですけれども、もし次になにがしかの動きがあるとしたらこういうワープド・ツアーのようなものなのかもしれません。新人バンドもワープド・ツアーに出ると何万人という観客の前で演奏できるし、しかもある程度音楽的な傾向性が絞り込まれているわけですから自分達の音をちゃんと聞いてくれる人がそこにいるという、そこにチャンスが与えられるというのはすばらしいことで、そこから大きくなると今度はワープド・ツアーを支えるバンドになっていくという、いい新陳代謝が起こっているメディアとしてフェスが機能しているなぁという感じがします。日本においても、エアジャムというものが同じような効果をだしていますけれども、ワープド・ツアーの功績も大きいと思います。

ギャング・オブ・フォー(Gang of Four)、昔の名前で出ています

world rock now 20051007

 ギャング・オブ・フォーというのは私はすごい好きなバンドだったんですが、1979年にファーストアルバムをだして、そこからポストパンク・ニューウェーブの旗手として非常に注目されたバンドであります。その後伝説とかしてギャング・オブ・フォーに影響をうけたという若手バンドがたくさんでてきました。このギャング・オブ・フォーが若手バンドの熱い支持のもとで、俺達ももう一回がんばるかということで、オリジナルメンバーで再結成をして音楽活動を再開したわけですね。全世界ツアーに出たり、フジロックでひさかたのライブパフォーマンスをやってくれたりして、実質的に私ははじめて彼らのライブを見るという体験で感動したりしたんですけれども、二枚組みのCDが発売されました。これが非常にユニークな作品で、一枚目は自分達の過去の作品を自分達がもう一回カバーをするという作品で、もう一枚は自分達の過去の作品を今の若手の注目バンドやアーティストがリミックスをするという、その二枚組み。はっきり言えば、昔の名前で食ってやろうという明快なコンセプトのもとに、その辺の開き直りが逆に気持ちいいということで、まずはセルフカバーパートから聞いていただきます。私が彼らの作品の中で一番好きな曲ですがDamaged Goods。



 これはセルフカバーなんですがオリジナルを知っている人はなんだものまねじゃないか、ほとんど芸がないじゃないかと私は思いましたし、知っている人はおもうのではないかという気がします。今のテクノロジーと今の自分達のスキルでもう一度作品を演奏したいという非常にシンプルな気持ちで、しかし原型そのものを破壊することはないようにという、昔のファンを裏切りたくはないというか。ただもうちょっと何かあってもいいんじゃないのと言うくらいまんまであります。フジロックで見たとき、僕はこのバンドは下手というイメージがあったんですが、すごく上手かったです。そういう風にして自分達のスキルも上がっていったんじゃないんですかね。二番目に好きな曲ですがNot Great Men。




 フジロックで彼らをはじめて見た時、何にビックリしたってボーカルの人が四つんばいになってステージを走り回っていて私は腰を抜かしたんですけれども、それまでは音を聞いていただければ分かりますように、非常に硬質な音作りでその辺のすかした感じがカッコいいなぁと、私の中では日本で言うところのミッシェルガンエレファントのようなイメージで固定されていたんですけれども、いざライブを見たらボーカルのチバが四つんばいになっていきなり走ったみたいなそれくらいのカルチャーショックがありましてゲゲッとおもったんですけれども、よくよく考えてみるとそれぐらいのことができているからこそこれだけのソリッドな音とニューウェーブサウンドができたのかなぁと、開き直ったユーモア感覚というのがあるのかなぁと思ったりしたんですが、続いて紹介するのはヤー・ヤー・ヤーズ(Yeah Yeah Yeahs)のリミックスです。I Love A Man In Uniform。




 ギャング・オブ・フォーはこのアルバムによって過去の遺産を食い潰したわけでありますので、今度は新しい伝説の創造に手をだしてもらいたいなぁと思います。

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