音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

ゼム・クルックド・ヴァルチャーズ (Them Crooked Vultures) に学ぶ、21世紀のレッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)とはいかなるものか?

20091211

 デイヴ・グロール、ジョン・ポール・ジョーンズ、ジョシュ・オムが結成したスーパー・バンド、ゼム・クルックド・ヴァルチャーズ。そのナンバーを聞いてください。Mind Eraser, No Chaser。

 

 実際のライブはこのCDよりももっともっとグルービーでやたらインスト的な要素の強いライブを展開しているようですけれども、この音を聞くと、これは私の偏見ではないと思いますが、ツェッペリンをやりたかったんだなぁ、デイヴ・グロールはと、そんな感じですよね。もうまんまじゃないかよと、そんな感じが正直いたします。いろいろな資料をみるとこの三人でセッションで曲を作っていて、その中から生まれるメロディー、リフ、グルーブをCD化したもののようですけれども、イメージされているのは明らかにツェッペリンだろうと思います。デイヴ・グロールのツェッペリン好きというのは大変有名で、ツェッペリン再結成の時は、ジェイソン・ボーナムのかわりに彼がドラムを叩くという話もあったわけですけれども、まさにこのゼム・クルックド・ヴァルチャーズは、そのレッド・ツェッペリンをまんまやるんじゃなくて、21世紀におけるレッド・ツェッペリンはいかなるものかということを、レッド・ツェッペリンにおける屋台骨を支える非常に重要なジョン・ポール・ジョーンズを迎えてデイヴ・グロール自身がやってみたという、そういうバンドではなかろうかと。そして、それはかなり成功していると言っていいのではないのでしょうか。No One Loves Me & Neither Do。 

 

 デイヴ・グロールは完全にジョン・ボーナムが憑依しておりましたけれども、これやりたかったんだろうなぁ、やるユニットが欲しかったんだろうなぁという。私は本当にデイヴ・グロールの願望のみがこのユニットからは伝わってくるんですけれども、果たして実際のところはどうなのか興味があるところでございます。

ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)、失恋してひとときの恋人に犬を選ぶ

20091204  

 ノラ・ジョーンズの新作を聞いていただきたいと思います。これまで三枚のアルバム合計でなんと3600万枚のセールスを記録しているんですね。注目の女性アーティストノラ・ジョーンズの新作からまずは聞いてください。Chasing Pirates。

 

 このアルバムはすごく特殊なアルバムです。彼女は最近、音楽的にもプライベートでもパートナーであった彼と別れて、その失恋のことばかりが歌われてるすごいアルバムです。

 五曲目 I Wouldn't Need You

  あなたが私にくれたものを取り替えることができるなら
  自分の顔を見るときに悲劇的にならずにすむのなら
  あなたなんかいらない
  私を愛するためにあなたなんか必要ない
  でもあなたが必要
  だから帰ってきて
  ひとりぼっちでいる私をあなたが見ることができたなら
  私のかすれた声をあなたが電話できけたら
  分かるはず
  あなたが必要だっていうことが
  私を愛するためにあなたが必要だっていうことが

 六曲目 Waiting 

  ねえ静かに
  防火壁に落ちていく星を見て
  私はここであなたの帰りを待っている
  わずかに残った燃えさしが輝き凍てつく雪を溶かす
  私はここであなたの帰りを待っている

 八曲目 You've Ruined Me

  あなたのせいで私は台無し
  それでもよかったけれども私は無茶苦茶
  何かたくらんでいるの
  私はあなたの手の中にいるのよ

 十曲目 Stuck

  一人で家に帰るわ 
  沈む石
  電源を切った電話
  私は自由になるわ
  凍えるような風
  倒壊した工場
  でもまだ揺れている
  あなたが見える
  そしてあなたの声は聞こえない

 十一曲目 December

  12月よ私のもとに来て
  夢の中だけではない
  あなたに会いたい
  あなたにいて欲しい
  どうか信じて
  あなたがどんなに大切か

 十三曲目 Man Of The Hour 

  あいつを選ぶか俺を選ぶかだ
  元彼にそういわれたわ
  でも菜食主義やマリファナ中毒なんて選びたくない
  だからあなたにしたの
  素敵だし
  私をとっても愛してくれるし
  それに肉を食べるし
  そんなわけであなたが私の今彼になったの
  言い争いもしないし
  そもそも何もはなさないし
  外を一緒に歩くとき私がついてきてくれるのはうれしいわ

 曲の最後に「ワン」って犬が鳴くんですけれども、要するに犬の歌なんですね。今私を支えてくれるのは肉を食べて何にもしゃべらない犬だけ。そしてジャケットを見ると犬とノラ・ジョーンズの写真で、裏ジャケットを見ると犬が五匹並んでいる。かなりヤバイですね。ノラ・ジョーンズ。失恋のショックの中で、もうそのことしか考えられないという追い込まれた状態にいるようであります。そんな人生の中でこういうアルバムもあるのかなぁという作品なんですが、そんな中で唯一グルーブがあってアッパーなナンバーを選ばせていただきました。Young Blood。

 

文化系ハードコア、コンヴァージ (Converge)

20091120 

 コンヴァージでDark Horse。

 

 結成20年にして産み落とされた通算8作目にしてバンド史上最強のブルータル作という宣伝コピーがついていますけれども、結成20周年。長い歴史を持つバンドでありますけれども、ハードコアシーンにおいて高く知られているバンドなだけに、一般的にロックファン全員がこのコンヴァージに対してフォーカスの絞られたイメージを持っているのかというとそうではないと思います。ライナーノーツに的確に表現されていますが、「コンヴァージは本来、この種のハードコアの属性のように語られがちなマチズモとは無縁の、いわば文化系のバンドだ。タツゥーの入りまくった筋骨隆々の力任せの方向ではなく、ヒョロリとしたタイプのどこにでもいそうな青年が耐え難いほどの孤独や不安や恐れや悲しみに苛まれ、止むに止まれずに発する絶望にも似た情念の爆発こそがコンヴァージの衝撃の源だ。」ということなんですよね。文化系バンドという表現は非常に面白いなぁと思ったわけで、今の一曲目はどちらかというと新しいコンヴァージの形でありますが、本来的にはコンヴァージのハードコアな歪んだ音世界というのは、体にくるというよりは頭にくるというか、感覚にくる感じがあるんですよね。そこが独特であるし面白いと僕なんかは思うんですけれども、そんなコンヴァージのもっとも新しい肉体ではなく頭にくるハードコアを聞いていただこうと思います。ただ逆にいうと、こういうのを聞くとなかなか体力がいるぞという感じもしますけれども、彼らのある意味トリッキーな音楽世界、そしてそこの中に込められた前衛性や文学性みたいなものも感じられるナンバーではないでしょうか。Damages。

 

ブレット・アンダーソン(Brett Anderson)に学ぶ、日本人女性が好きなイギリス人男性の顔とは?

20091113

児島由紀子「三枚目のアルバムを出したブレット・アンダーソンについてです。」

渋谷陽一「ブレット・アンダーソンは地味ながらもソロ活動を続けて。」

児島「そうですよね。ついにサードアルバムに至ったという。すごいですよね。」

渋谷「どうなんでしょうか。そちらの評判は。」

児島「うーんと。地味ですよね。やっぱりこっちのファンは、日本でもそうだと思うんですけれども、この人にはもっとロックンロールをやってもらいたいと思ってるわけですよ。グラマラスな。非常に今回の作品もいいんですけれども、もうちょっと暴れて欲しいなとは思いますよね。」

渋谷「チラッと聞いたんですけれども、もはやロックという体裁でもなくなってきちゃってる感じですよね。」

児島「そう。つい最近ショーケースライブは見ていたんですけれども、ジャック・ブレルのディナーショーみたいですね。」

渋谷「ディナーショーにしては暗すぎないかという感じもしますけれども。」

児島「けどシャンソンシンガーって暗い曲が多いじゃないですか。本当にそういうノリだったんですね。それでいちおうギターバンド編成でやっていたので、曲によってはロックンロールのエッジのある曲もあったんですよ。やっぱり、そういう曲が一番盛り上がるんですよね。」

渋谷「当然そうですね。」

児島「ファンとしてはああいうノリでやってほしいわけですよ。」

渋谷「やはりスウェード時代からのファンがやってくるわけですよね。」

児島「本当に多いと思います。見たことあるなぁっていう顔がたくさんいました。お互い様でしょうけれども。」

渋谷「また来てる、この女みたいな。」

児島「やっぱり日本人の女性が多かったですよ。」

渋谷「あれ日本女性のツボなんでしょうね。この手のルックスは。」

児島「典型的なイギリスの美しい男性のタイプですよね。こっちの女性にとってもそうですけれども。」

渋谷「本人的には相方が盛り上がっているんだから俺も盛り上がらなくちゃみたいな気迫というかプレッシャーはないんですかね。」

児島「うーん。今は自分のアートを追及したいモードなんだと思うんですけれども、でも巷で近いうちにスウェード再結成する気があるんじゃないかという噂になっているんですよ。」

渋谷「まあ、ブラーもああいうことになりましたからね。」

児島「最近のインタビューで、ソロはずっと僕がスタジオで一人でピアノを弾きながら作ったような曲が続いたので、今度はバンド編成でやりたいと。今でもサイモンやマットやバーナードとはよく会って話をしていると。みんな大人になったから昔のわだかまりはないって言っているんですね。」

渋谷「もうやった方がいいよね。」

児島「いまはこういうブームで盛り上がってるし。だから来年あたりやって欲しいなと思っているんですけれども。」

渋谷「分かりました。結局ソロの話題がスウェードの話題で終わるという。お約束の展開で。」

 

 児島さんの願望どおり、2010年にスウェードは再結成しました。

 

ジュリアン・カサブランカス(Julian Casablancas)に学ぶ、バンドが解散する指標とは?

20091113

 ザ・ストロークスのフロントマンのジュリアン・カサブランカスがソロアルバムを発表しました。これはいろいろな意味で注目される作品といえるのではないのでしょうか。11th Dimension。

 

 ちょっとビックリですね。このユーロポップみたいな打ち込みサウンドと一番最初の安いシンセでビックリしますけれども、このキッチュな感じがユニークで、本当にどの曲もポップで聞きやすい作品になっております。こういうバンドの中心メンバーがソロを出す時に私はこれはバンドの解散につながるソロなのか、そうでないのかという所が音楽評論家としての注目のポイントでありまして、解散につながるソロアルバムというのは、①やたら気合が入っている、②バンドの音とよく似ているというアルバムを出すとヤバイですね。この作品を聞く限り、ストロークスは解散の気配が全然ありませんね。このアルバムを聞いていると全然違うところでやっているという。ジュリアン・カサブランカスがストロークスといは違うアウトプットで自分自身の音楽的な才能と音楽的な興味を発揮したいというのびのびとした感じが出ていて、ある意味非常に健全な作品という感じがします。私は前々からストロークスの基本的な魅力はロックンロールテイストというよりはキャッチーなメロディーにあると、そういうようなところに本当はみんな魅かれているのにロックンロールみたいな雰囲気というところに注目してしまうことが、私がぐつぐつ言うところなんですけれども、そういう意味ではこの作品はストレートというかまっすぐな作品と言えるかもしれません。次の曲も意外性が楽しい曲です。4 Chords of the Apocalypse。

 

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