音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

スレイヤー(SLAYER)とメガデス(Megadeth)は本当に仲が悪いのか?

20091106

 スレイヤーでHate Worldwide。

 

 スレイヤーはいまやメタルシーンというかエクストリームシーンの頂点に輝く大変人気の高いアーティストで、グラミーの常連であり、アルバムを出せばトップテンのみならずトップファイブヒットになるという、確固たる地位を築いてるバンドの10作目でございますけれども、今回は新しいグレッグ・フィデルマンというプロデューサーを迎えまして、彼の新しいアイディアによって、これまでスレイヤーというのはレコーディングするときはすべての曲ができあがり、それでライブである程度ためし、そしてレコーディングに向かうという作り方が多かったようですけれども、もうスタジオ内のジャムによって新しい曲をつくり、それをそのままレコーディングするという方法論がとられたようでございまして、その結果このアルバムはものすごくエネルギーに満ち溢れたものになったようであります。このアルバムいいです。結構聞いてて面白かったです。ガンガン行きたいと思います。Public Display of Dismemberment。

 

 速い。続いてのナンバーはアルバムタイトルナンバーで血塗ラレタ世界。なんという邦題だろうという気もしますけれども、実は直訳でございます。World Painted Blood。

 

 これは結構いいアルバムですね。すごくタイトにできているし、このプロデューサーの新しい方法論というのは、成功しているという手ごたえのあるスレイヤー10作目のアルバムでございました。ライナーノーツを読みますと、ヘビーメタルシーンにありがちなストーリーが書かれていて、2009年6月にはわずか四公演であったもののメガデスとダブルヘッドラインということでスレイヤーはツアーをやったんですが、これがなかなか因縁のツアーでございまして、もともとメガデスとスレイヤーは仲が悪い。ケリー・キングというスレイヤーのギタリストはメガデスのギターとボーカルのデイヴ・ムステインのことがあんまり好きではなくて、最高のギタリストだが嫌な奴だと前々から言っていたと。ですから二人の関係が微妙なのではないのかとファンの間では盛り上がり、この因縁がどうなるのかについてヒヤヒヤしていたんですけれども、わずか四公演であったけれども両者はぶつかることなく大成功をおさめ、再び両者が組んでニュージーランドとオーストラリアの公演も実現して、その足でスレイヤーはラウドパークに登場したわけですね。そして、なんと来年も両者が組んでアメリカツアーを行うという話もあるようで、メチャメチャ仲がいいんじゃないんですかね。バカバカしくて聞いてられないよという感じですけれども、仲が悪い因縁の対決というと盛り上がるんですよね。

グライム(grime)シーンの第一人者、ディジー・ラスカル(Dizzee Rascal)

20091030

児島由紀子「今のUKシーンで最もいきのいいジャンル、グライムについてです。UK版のヒップホップで日本では通っているようですが。アメリカのヒップホップよりはもうちょっとドラムンベースだとかエレクトロニカが入ってる感じです。で、その草分け的存在がディジー・ラスカルなわけです。」

渋谷陽一「あんまり日本では知られていないですけど、そっちではすごいみたいですね。」

児島「もうこちらではグライムシーンの第一人者として広い層から尊敬されています。まだ24歳なんですけれども。」

渋谷「最新作も非常にいいチャートアクションで、初登場三位。でも上にいたのがマドンナとミューズという。それと全うに戦っていて。」

児島「でも今週のチャートで二位に入っているChipmunkも19歳のラッパーで、ディジー・ラスカルの弟子でTinchy Stryderというのもいるんですね。この人のアルバムも先月一位になったと思うんですけれども、この人の弟子なんですよ。Chipmunkは。」

渋谷「グライムシーンはそちらではエライ盛り上がってるということですね。」

児島「こっちの新人ではこのシーンが一番もりあがってるんですね。」

渋谷「で、その中心にいるのがディジー・ラスカルという人みたいですけれども、24歳のわりにはしっかりとキャリアもあって。」

児島「今度のアルバムは四枚目ですもん。この人も17か18でデビューして、昔は出身地の東ロンドンで海賊ラジオのDJをやってたんですよ。そこで非常にアンダーグラウンドな動きだったんですけれども、だんだんメジャー浮上してきたんですよ。ここ一二年。」

渋谷「音をチラッと聞かせてもらうと、グライムシーンというのはヨーロッパの打ち込み、ドラムンベース、四つ打ちものと全く相容れないヒップホップを合体して・・・。」

児島「でもその変な組み合わせが馴れると気持ちがいいという。」

渋谷「面白いと思うね。アメリカ人にはなかなか理解できないかもしれないけど。」

児島「でもジャスティン・ティンバーレイクと一緒にツアーをしたり、BECKのリミックスをしたりしているんですよ。」

渋谷「でもやっぱりヨーロッパ、イギリスあたりでは絶対うけるだろうなぁという。」

児島「もう一つの特徴は、こちらのインディーギター系のアークティック・モンキーズとコラボしたり、リリー・アレンとコラボしたり。私がはじめてこの人のライブを見たのが、ベイビー・シャンブルズのツアーで前座をやっていたんですよ。3、4年前に。」

渋谷「ええ。全く合わなさそう。」

児島「だからそういう層からも支持されているんですよ。」

渋谷「ライブはどうでしたか。」

児島「グライムに私が馴れてなかったせいだと思うんですけれども、とにかくMCが長いのにカチンときまして、はやく曲をやらんかとヤジを飛ばしてしまいましたけれども。歌を聞きにきたのよ私はって。」

渋谷「ヒップホップの場合は、MCのメッセージも重要なんだから。説教もカルチャーの一つですから。」

児島「そうなんですね。」

渋谷「本当にディジー・ラスカルは勢いを増してますし。」

児島「そうですね。マーキュリーアワードとかいろいろな賞もとってますし。」

渋谷「これからもグライムシーンに注目したいと思います。」

 

ザ・フレーミング・リップス(The Flaming Lips)の病は文学性である説

20091023 

 フレーミング・リップスはサマーソニックですごいライブを展開してくれて、すごいバンドもいい感じなんだなぁと思いましたけれども、アルバムはそのライブをはるかに凌駕するというか、かなり問題作でございます。もともとは二枚組み全18曲という構成なんですが、バンドの意向によって日本盤は一枚になっています。今時二枚組みってかなり珍しいですが、とにかく18曲。非常にアバンギャルドでサイケデリックで、簡単に言ってしまうと非常に聞きにくいアルバムに仕上がっているんですけれども、その中で数少ないオンエアーできる曲をピックアップしてそのアルバムの非常に広大な世界のいったんをみなさんにお届けしたいと思います。まずは、普通に選曲すると誰もがこの一曲だけはオンエアーできるかなという曲を聞いていただきたいと思います。バンド以外にゲストミュージシャンとしてYeah Yeah YeahsのカレンOが叫び声で参加しております。I Can Be a Frog。

 

 このアルバムは非常にサイケデリックで前衛的な作品でございます。短いゴチャゴチャしたナンバーが混沌としてアルバムの中におさめられております。2006年に出ました前作は本当にキャッチーでポップで、みんなが大好きなアルバムでグラミー賞まで受賞し、基本的には彼らのライブというのはお祭りみたいに祝祭的な、世界に対する肯定的な意識が溢れているようなライブですけれども、そういうような彼ら自身の世界観と、それから基本的に持っているポップロックバンドとしてのメロディーを作ったりアレンジを作ったりする高い能力、そんなものがいい形で凝縮した大作だったわけでありますけれども、それをやった後に彼ら自身の中にあるアバンギャルドであり、インディー魂であり、文学性であり、そういうものを爆発したくてしょうがなくなったんではないだろうかと、僕の勝手な想像ですけれどもそんな感じがします。それをとりあえず作らないと自分達の中ではバランスが保てないというそういう所に立って、このような大胆な作品を作ったのではないでしょうか。Silver Trembling Hands。

 

 このアルバムには中心メンバーであるウェイン・コインのライナーノーツがついておりますが、それを読みながらこのアルバムを聞くと、フレミング・リップスの基本的な病というのは文学性なんだなと強く感じました。病というのは逆に言えば強みでもあります。そしてこの手のインディーバンドが持つ時代的な背景の大きな要素が、時代性、意味性みたいなものなんだなぁと。そこにとらわれて自分達が表現していく根拠を求めているとその中のバランスで、すごいポップなものを作ると、自分の文学性や暗黒に向き合わざるを得ないんだろうなぁという、だからこそこの作品は必要だったんだろうなぁとすごく感じました。続いてはアルバムの最後のナンバーを聞くんですけれども、Watching the Planetsというナンバーを聞いていただきたいと思います。

 

ヒップホップ界の「Smile」、 キューティップ (Q-Tip) の3rd「Kamaal the Abstract」

20091016

 Q-Tipの新しい作品。実はこれは新作ではありません。2002年に発売が決定された作品なんですが、そしてプロモーションも行われたんですけれども、そしてテスト盤も各地でばら撒かれたわけですけれども、あまりにも過激で先進的すぎるということで発売が中止になってしまった非常に伝説的なアルバムです。ある意味、ヒップホップ界の「Smile」みたいなそういう存在なのかもしれません。その作品が2009年の今となって発表されました。非常に注目すべき作品だと思います。Feelin。

 

 すごいですよね。メチャメチャかっこいい。これを発売中止にしたらアーティストとしては泣くしかないというか、ふざけるなという感じですけど、アルバムタイトルが「Kamaal the Abstract」で、このアルバムを発表時にQ-Tipは俺の名前はKamaal the Abstractにかえると真剣に思っていて、ただヒップホップシーンの中でこれはあまりにも革命的過ぎるということで、これは実質的にはQ-Tipのセカンドアルバムになるはずだったんですが、アーティストイメージとして危険すぎるということで、資本の論理としては分からないでもないですけれども、でも今聞いてもこの時代を超えた革命性はすごいです。むしろヒップホップファンというよりはロックファンに刺さるんじゃないかなぁと思ってゆっくり聞いていこうと思います。Barely in Love。

 

 すごいですよね。もう一曲聞いてもらいたいと思います。Heels。

 

イアン・ブラウン (Ian Brown)がソロキャリアを構築できた理由とは?

20091016

 イアン・ブラウンでJust Like You。

 
 
 すごくいいですよね。最近のイアン・ブラウンのソロアルバムは充実していて、彼自身がソロキャリアを自分の中でしっかり方向性を見出して自信を持ってやっているという手ごたえがあります。もともと黒人音楽に傾倒しているアーティストですけれども、黒人音楽のみならずいろいろな音楽に対する興味、そしていろいろな文化に対しての興味、そのようなものがあって、一時期ソロをはじめたころにはいろいろなものがとっちらかって、アレもやりたいコレもやりたい、また自分自身のソロとしてのキャラクター設定に悩み、何をやりたいんだこの人は、面白いけどそれだけかみたいな状態がちょっと続いていたんですけれども、6枚目ですけれども、もう自分自身の音楽的な設定をきっちりとして、その中で新しい音楽を、今のナンバーなんかはヒップホップのトラックメイカーとしてのセンスも感じられて、やっぱり面白いなぁと思います。そんなイアン・ブラウンの充実のソロアルバムからもう一曲聴いてください。Stellify。

 

 このようにイアン・ブラウンが自分のソロキャリアをしっかりと作ることができたというのは、僕はストーン・ローゼズとしっかり向き合えたからだと思います。今回のアルバムも、ストーン・ローゼズをテーマとした曲が何曲かあって、これをちゃんとやれるようになった、そしてストーン・ローゼズに対してニュートラルにいろいろなことを発言できるようになってということは、まさにイアン・ブラウンがソロとしての自分に自信を持ち、そしてストーン・ローゼズに対して正面から向き合えるようになった証拠だと思うんですよね。Always Remember Meという曲があるんですが、これはオレンジレンジと一緒に共作したことが話題となった曲なんですけれども、これはストーン・ローゼズそのものをテーマとしたナンバーであります。そして、ジョン・スクワイアに対する思いも非常にストレートに、それこそ16の頃に別れた恋人みたいだよね、でもあれから11年。僕には13歳の息子がいるんだ。ジョンは僕の息子に会ったことがない。例えば、高校生のときに家族と食べた夕食。記憶にはあるけれども、単なるそれだけのもの。そういう感じだねと、非常に素直に言えて、でもストーン・ローゼズについていろいろ聞かれることはあんまりうれしくないよね、ということも非常に素直に言えています。続いての曲はLaugh Nowという曲なんですが、これもやっぱりストーン・ローゼズについてのナンバーなんですが、こういうことを曲目解説で素直に言えて、こういうことを歌えているのはすごいと思います。こういう風にこの曲について彼はコメントをしております。「この曲はつまり、俺のことを笑えばいいのさ、そんなことを言っている。長い間ソロとしてやってきてきた。これでアルバム六枚目だし、ツアーも二日間でソールドアウトした。にもかかわらず世界中の人がそんな僕を見て笑っている。そんなダークさがいりまじった歌詞なんだ。他の収録曲の歌詞はどれも太陽の光がどうのこうのっていっているけれども、この曲はまさにビタースイートだね。ローゼズのこともほのめかしてほの苦い感じ。口づけと裏切りが同時発生しているような、ちょっとダークな内容の曲だな。僕を貶めようとした奴らについて。お前らのことや許す。だけどもう消えてくれ、とそんな意味も込めている。」そんなナンバーです。Laugh Now。

 

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