音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

ザ・ローリング・ストーンズ (The Rolling Stones) の唯一無比のグルーブ

20131025

 ザ・ローリング・ストーンズ、2013年のハイド・パークでの音源でJumpin' Jack Flash。

 

 唯一無比のグルーヴ。正確に叩くチャーリー・ワッズ。それをものともしない液状化するキース・リチャーズのギター。これはもう他にないですね。キースのギターはもう前衛の領域に達しているんじゃないかと。それでちゃんと歌っているミック・ジャガーもすごいぞと。チャーリー・ワッズのドラムが頼りだぞみたいな。このグルーブは本当に、ストーンズのストーンズたるところでございまして、これを実際に体験できるとすごいなぁという感じがしますよね。

マニック・ストリート・プリーチャーズ(Manic Street Preachers)、マムフォード・アンド・サンズ (Mumford & Sons)みたくなる

20131011

 今回のマニック・ストリート・プリーチャーズは「俺たちだってマムフォード・アンド・サンズくらいのことはできるんだぞ」という、そういうメッセージなんじゃないかなと。そこまで単純ではないのかもしれませんが、俺たちの方がひょっとするとメロディーもうまいかもしれないし、キャリアも長いんだぜ、みたいなそんな、俺たちだってフォーキーでオルタナなものもできちゃうんだよみたいな、そういうマニック・ストリート・プリーチャーズのアピールがすごくストレートに出ているような気がします。まず聞くのは(I Miss the) Tokyo Skylineという曲です。

  灼熱の太陽の下たった一人で迷子に
  東京の街を彷徨い歩き異邦人感はかなり楽しい
  ここが第二の故郷
  東京スカイラインを夢見て
  空虚さと静寂が懐かしい
  ノンコミュニケーションを求める
  すべてが楽しくlost in translation

 という歌詞のナンバーなんですけれども、果たしてマニック・ストリート・プリーチャーズ。マムフォード・アンド・サンズになっているかどうかみなさんチェックしていただきたいと思います。(I Miss the) Tokyo Skyline。

 

 マムフォード・アンド・サンズに結構なっていない気もしないでもないんですけれども、ただ、聞いた日本人は全員突っ込むと思いますけれども、その弦は日本じゃなくて中国だぞと言いたくなりますけれども、彼らにとってはこういうのが彼らなりの東京というかオリエンタリズムなのかもしれません。面白い曲ですし、いわゆるマニック・ストリート・プリーチャーズ的なるドッカンドッカンとして音高系のアレンジとメロディーが爆発したような曲はなく、この曲なんかはどちらかというとキャッチーでポップで派手な部類にはいるぐらいなそういうたたずまいです。でもマニック・ストリート・プリーチャーズのよさというのは歌謡ロック的なメロだと思いますしそのダイナミズムだと思うんですけれども、ただ彼ら自身としてはこういうことをやってみたいという気持ちが分かるんですけれども、そうした意味で彼らのやりたいことと求められているもの、それがうまい具合にやったのがこれぐらいなのかなぁというそういう曲を続いて聞いていただきたいと思います。30-Year War。

  歴史上で一番使い古されたジョーク
  自由の名のもとに労働者階級を殺すなんて
  
 っていう非常に重い歌詞から始まる、今の時代をマニック・ストリート・プリーチャーズがどう見ているのか分かる曲でございました。彼らのキャリアの中では異色なアルバムを紹介させてもらいました。

渋谷陽一はエリカ・バドゥ(Erykah Badu)とザ・ルーツ(The Roots)のトラックなら何でもよく聞こえてしまう説

20131004

 エルヴィス・コステロとザ・ルーツのコラボアルバム。ものすごくいいものとものすごくいいものが合体するなんていうことがあるんだろうかと。でもたいてい昔のスーパーセッションも含めていいものといいものが合体したら1+1が2になって3になって4になると、そう簡単なものではないという現実を我々は見てきたんですけれども、これは確実に1+1が2以上のものになっているすばらしいものです。ザ・ルーツがやっているテレビショーがあるんですけれども、そこにコステロがゲストに出て、そこから彼らの交友が始まり、ザ・ルーツも大コステロフリークだそうですけれども、そんな思いをコステロが受け止めて、アルバムが一枚作られてしまったようです。まずはその中から一曲聴いていただこうと思います。Come the Meantimes。

 

 最高ですよね。すばらしい。私の場合はザ・ルーツとエリカ・バドゥが作ったものは何でもよく聞こえてしまうというほとんど評論家失格みたいな奴なんですけれども、でもすばらしいですよね。でも正直言って全編すばらしいんですけれども、やっぱり誰もがわかるというよりも何がしかのポップミュージックリテラシーというか音楽のリテラシーが聞くのに要求される、そこまでいっちゃっている作品という言い方もできます。でも本人達が楽しんでる感じがします。それが聞く側にも伝わってくる作品なんですけれども、でもそんなにリテラシーなどいりません、ザ・ルーツの洗練されたアレンジ力とコステロの王道のメロディーのこれだけでいいでしょという楽曲もあります。それをこれから聞いていただこうと思います。Tripwire。

 

エミネム(Eminem)、カニエ・ウェスト(Kanye West)に続き神になる

20131101

中村明美「エミネムの最新アルバムが完成したことについてご紹介いたします。タイトルも「The Marshall Mathers LP 2」でして、「The Marshall Mathers LP」というのは彼の傑作アルバムなんですけれども、2とつけたところに彼的にもどれくらい気合いが入っているのかがうかがえるような内容なんですけれども、ジャケットもその「The Marshall Mathers LP」の時と同じジャケットと同じような感じで、子ども時代を彼が過ごしていた家が写し出されているんですけれども、デトロイトが今破産状態にあるということもあってか、そのジャケットも寒々しい感じで寂しいジャケットなんですけれども、このアルバムはプロデューサーは彼のいつものDr. Dreと、今回はリック・ルービンも参加しているということで強烈な内容になっているんですけれども、ゲストとしましてはRihannaとかKendrick Lamarとかが参加していて、そこらへんのコラボレーションも楽しみな所なんですけれども、エミネムは「Relapse」と「Recovery」と一度は引退したと思われた後にアルバムを二枚作って、俺はまだ終わっていないんだということをそこで証明した感じなんですけれども、このアルバムの見どころというか聞きどころというのは、この後にいったい彼は何を歌うことが残されているんだろうかという、証明しなきゃいけないことであるとか戦う敵だとかはもう彼には存在していないような気がするので、エミネムがいかにエミネム自身に勝っていくのかということがこのアルバムの見どころかなぁと思えるんです。「Relapse」にしろ「Recovery」にしろ二枚とも大成功をおさめてファンからも大絶賛された作品だったので、彼の人気というものはまだまだ衰えないんですけれども、まずBerzerkという曲が公開されていて、これはルービンがプロデュースした作品なんですけれども、ルービンもプロデュースしていたビースティ・ボーイズ(Beastie Boys)の曲がここにサンプリングされていて、Fight For Your Rightのサンプルなんかが使われてすごくパンチがあってギターのラインがかっこいいような昔のヒップホップみたいでそれはそれで評価が高いんですけれども、もう一曲の方はRap Godという曲で、これまで彼が尊敬してきたヒップホップアーティストのトリビュートになっていう曲なんですけれども、最終的に言いたいことは結局自分こそが一番だという、自分が神だとここで歌ってしまっているというのがすごいなぁという。カニエ・ウェストがジーザスをもじって「Yeezus」というアルバムを出しましたけれども、カニエの場合は俺が神なんだといって立ち上がっていくところがありますが、エミネムの場合はとても余裕のあるエミネムの自信みたいなものがここで客観的に歌われているすばらしい曲だなぁということで、アルバムが楽しみです。」

渋谷陽一「そうですね。自分自身でも新たな黄金期を迎えたという。人気の上でもクリエーターとしても。そんな感じがタイトルや全体の感じから感じられますよね。しかしRap Godかぁ。すごいタイトルですね。」



カニエ・ウェスト(Kanye West)、神になる

20130719

中村明美「カニエ・ウェストの新作「Yeezus」が完成したという話題ですけれども、カニエはヒップホップ界のスーパースターJay-Zに才能を認められて、もともとはプロデューサーとして大活躍していたんですけれども、ラップがもともとうまくないということで、ソロアルバムは出さないだろうといわれていたんですが、2004年にデビュー作を発表して以来多くの歴史を変えるような画期的な作品を作り続けて、2010年に発表された「My Beautiful Dark Twisted Fantasy」においては、ヒップホップ界の歴史を変えるのみならず、音楽の歴史を変えると世界中から大絶賛されたアーティストなんですけれども、歌詞においてもヒップホップにはこれまでなかった内省的なものを打ち出したり、オーケストラとかシンセサイザーを取り入れたり、境界線を越えていくような作品を作り続けて、今時インターネット時代の申し子的な作品でもあったんですが、もちろんそれを選び抜くセンスがずば抜けて評価が高かったので、今回の最新作もどれくらいすごいものが作られるんだろうということで、すごく期待されていたんですけれども、結果的には再び大絶賛の作品なんですが、彼はもともとオーケストラを使ったりしていかにも洗練されたサウンドをこれまで打ち出してきたんですが、今回の作品の面白いところは、その真逆といいますか、非常にインダストリアルなサウンドをつかったり、彼の故郷シカゴのシカゴハウスミュージックを使ったりして、非常に聞きづらく荒削りなサウンドを使いながらも、それでまたこれまでにない別次元の洗練をみせたということで非常に評価が高いんですけれども、もともとアルバムのタイトルが「Yeezus」という、これは自分のことをジーザスと同じくらいどとしてつけたタイトルなんですけれども、僕はまあ神なんだって自分で言ってしまっているという、文化的にはスティーブ・ジョブスと同じくらい重要だからと、非常に大胆というかずうずうしいというか、それがサウンド的なノイズと重なっているというか、自分の聞きづらいところを今回のアルバムの中心に持ってきて、極限に自分を追い込んで、限界を超えていこうというサウンドをつくっていこうということだと思うんですけれども、興味深いのはそのノイジーなサウンドを使いながらも非常にミニマルなものを打ち出していて、ミニマルなんだけれどもそこで最大限の効果を出していると。それには最終的にはリック・ルービンという素晴らしいプロデューサーに手助けしてもらって、音をいかに抜いていくかという、限られた音でいかに作っていくのかという作業をしたんですが、天才的だと思うのは、ノイズみたいなものをイキナリ鳴らしておきながら、突然それが単調になったかなぁと思ったらソウルの美しいメロディーをあわせてみたりして、普通はありえない組み合わせなんですが、彼がやってみるとこれ以上いい組み合わせはないだろうと思わせるようなサウンドで鳴らしてみせるところが本当に天才だなぁと思いました。歌詞は非常に短い時間で書いてしまったということで、そこが賛否両論で、今まで大傑作といわれていたところが星が半分欠ける評価が結構あるのはそれが原因なんですけれども、彼だったらもっと書けるはずだと。それにしてもすばらしい作品で、すでにライブを見たんですが、ラジカルなことをやっているのにすごくメジャー感があるように見せるところがすばらしくて、本人に直接会う機会があったので「すばらしかったです」って言ったら、素直に「ありがとう」って喜んでいました。」

渋谷陽一「じゃあアメリカ国内においてもものすごい評価をまた得ているっていう感じですね。」

中村「そうですね。高い評価を得ております。」

渋谷「本当に前作すごかっただけに期待も大きい、私もものすごく期待している作品であります。まずは一曲。Black Skinhead。」

 

渋谷「こうきたかという感じですよね。2010年に発表されました「My Beautiful Dark Twisted Fantasy」は本当にすごいアルバムで、アメリカでもどこでもこのアルバムは完成度、音楽的な深み、メロディーのすばらしさ、アレンジの構成、世界観の新しさとすざまじいものがあて、本当に大絶賛で、カニエの評価を決定づけた作品なんですけれども、その次に何が来るのかと誰もが期待したら、本当に今度は力強いインダストリアルな佇まいで、最終的にはすごく洗練されているんですけれども、洗練っていう衣装をとりはらった、すごくレアでワイルドでエネルギッシュなそういうものをたたきつけてきて、すごいなぁという感じがします。また、メッセージもやたらシンプルでございます。I Am a God。」

 

渋谷「いわゆるヒップホップ、いわゆる世間でいうところのラップミュージックみたいなものの普及によって、 歌を歌うだとか演奏するだとかではなくて、パソコン上のいろいろな操作によって音楽ができるというと、それは肉体から遠ざかるような印象があるけれどもそんなことはないんだと。それによってより一層肉体的な音楽が作られるんだというカニエのアレンジという概念によって、より一層音楽が肉体的になっているという佇まいは感動的です。Hold My Liquor。」

 
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