ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

男版シャーデー(Sade)、ライ(Rhye)

20130802

 ライというアーティストのデビューアルバムを紹介したいと思います。まだあまり日本では知られていない二人組みのユニットなんですけれども、カナダ出身のマイク・ミロシュ (Michael Milosh)そしてデンマーク出身のロビン・ハンニバル (Robin Hannibal)。マイクが歌を歌ってロビンがアレンジというかトラックを作るという二人組のユニットであります。当初、プロモーションビデオとかアーティスト写真に本人達が登場しないで、ボーカルがわりと高い感じの性別がよく分からないとう声で、アルバムのタイトルが「Women」といって、女性のヌードが多様されている、あきらかにこれは狙っていると思いますけれども、ひょっとすると女性シンガーかなと思わせるような声なんですけれども、男性二人組のユニットでございます。すごく完成度が高くてコマーシャルな作品で、これはどんなライブをやるんだろうと思って、フジロックをすごく楽しみにしていたんですけれども、ライブもすごくよかったですね。そんな彼らのデビューアルバムからまずは一曲聞いてください。Open。



 これがアルバムのオープニングナンバーなんですけれども、これは非常にうけるのではないだろうかと。現実的にこれが発表されたことによりいろいろな所から高い評価を得ていたり、メディアでもすごくうけていたりして、実際にフジロックでもたくさんの人が彼らのライブを見に来ていました。だから、ある一定のところではすでに高い支持が集まっているようでありますけれども、これからもどんどん市場性が広がっていくんじゃないのかなぁと思います。音楽評論家と思えない非常に安易なことを行ってしまうと、シャーデーなんですよね。シャーデーなんですけれども、それを彼女自身がやらなくなってしまいまして、いわゆるコマーシャルシャーデーというものを。ああいったところにポコッと入ったというそういうところなんですけれども、でもそんな簡単にシャーデーをやれるものではないんですよ。彼らなりの2013年のそういう世界観をきっちり作っているこの作曲能力と、アレンジ能力と、再現性。実際にライブみると結構盛り上がる肉体性のあるライブなんですけれどもね。どんどんこれから大きくなっていく気がします。Last Dance。




ペット・ショップ・ボーイズ(Pet Shop Boys)がシリアスな曲をカバーするとバカにしているように聞こえる説

1、踊れるザ・スミス(The Smiths) 、ペット・ショップ・ボーイズ

20130712

児島由紀子「去年のアルバムから1年もたたずに12枚目のスタジオアルバムを出すペット・ショップ・ボーイズについてです。」

渋谷陽一「すごい元気ですね。やる気になってますね。」

児島「今回のアルバムはアグレッシブな批判精神が爆発した作品になっていますよね。」

渋谷「そうなんだ。ペット・ショップ・ボーイズというと日本だと踊れてハッピーみたいなイメージがあるんですけれども。」

児島「すごく売れているから大衆的なイメージがありますけれども、彼らは昔から自分達は踊れるスミス(The Smith)だとか言っていて、すごく批判精神はあるんですよ。歌詞も非常にクレバーだし、今回はサウンド面で言えば、マドンナ(Madonna)かミッシー・エリオット(Missy Elliott)とかをやっているスチュアート・プライス(Stuart Price)を導入して、すごくプログレッシブダンスな感じになっているんですよ。しかも、今UKナンバーワンラッパーのExampleとコラボをしていたり、曲の中ににはダフト・パンク(Daft Punk)にツッコミをいれるような、ダフト・パンクって非常に共通点が多いじゃないですかペット・ショップ・ボーイズと。」

渋谷「そうですね。二人組みだし、キャリア長いし。」

児島「匿名性を強調して、シンセポップとかハーフに影響されたダンスポップで。それで昔からフレンチ版のPSBってよばれていたんですよ。イギリスのメディアでは。だから、その辺をツッコんだりして、まさにツッコミみたいな曲があるんです。すごいいい曲なんですけれども。しかも、今回は渋谷さんが大好きなブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)のカバーまであるんですよ。」

渋谷「なんか物議をかもしているみたいですけれども。」

児島「The Last to Dieという非常にシリアスな反戦プロテストソングをやっているんですよ。アゲアゲのディスコバージョンで。」

渋谷「じゃあ彼らにしてみればそういうポップミュージックの王道をやりつつ、すごくシリアスなメッセージ性、もともと評論家上がりのバンドですけれども、そんなまさにこれぞペット・ショップ・ボーイズという作品を作ったぞというそんな感じなんですね。」

児島「サウンド的にもメッセージ的にも毒を含んでいますけれども、カッティングエッジですよね。」

渋谷「ダフト・パンクのものすごい天文学的な成功に刺激をうけたのかもしれないですね。」

児島「昔からバックオーダーを強調したアンドロっぽいボーカルとかあの辺でダフト・パンクはPSBに影響をうけているってこっちでは言われていたんですよ。まさにそこを強調したトラックがあるんですよ。しかも、スプリングスティーンのカバーで思い出したのが90年代にU2の曲をカバーしたのは覚えていますか。」

渋谷「覚えてないね。」

児島「Where The Streets Have No Nameをアゲアゲなディスコバージョンでカバーしていたんですよ。その頃渋谷さんのラジオで性格の悪い奴らですねぇって言っていたのを今でも覚えているんですけれども。あの時は当時のU2が体現していた神話的なロックソングのイメージをぶち壊したいからああいうバージョンでやったんだって言っていたんですよ。以後、10年以上ボノ(Bono)とペット・ショップ・ボーイズの間が険悪になっていったんですけれども。やっと最近仲直りしたらしいですよ。それで懲りたのか、今回のブルース・スプリングスティーンのカバーはあくまで原曲が気に入ったからカバーしたと言い張るんです。

渋谷「本当にそうかもしれないですよ。」

児島「とくにChris Loweの妹さんがスプリングスティーンの大ファンらしくて、それに影響されたらしくて、ギターパートと歌詞が気に入ったそうです。わざとらしいんですよね。」

渋谷「いずれにしろ実に彼ららしい作品で、彼ららしい展開で。」

児島「すごいキレッキレな作品になって私もうれしいです。」

渋谷「よかったですね。年齢は関係ないというところでがんばってくれているというところで、そういったところはダフト・パンクと一緒なのかもしれません。」

参考) Where The Streets Have No Nameのペット・ショップ・ボーイズのカバー

 

2、ペット・ショップ・ボーイズに学ぶ、愛とはブルジョアの概念である説

20130802

 前作から非常に短い10ヶ月のインターバルで発表されて、こんなことはいままでなかったですけれども、基本的に3年に1作というペースで彼らはアルバムを発表してきたんですけれども、明らかに前作のセールス的な不振が頭にきたんじゃないのかなぁと。だったら俺達はガンガン行くぞと、彼らのキャラクター上絶対口にしないですけれども、きっとそういうような気分でこの作品が作られたのではないのかなぁと思います。プロデューサーにマドンナなどで今もっともモダンなダンスミュージックを作るスチュワート・プライス(Stuart Price)が起用されているのも、やっぱりそういう気合の反映なのではないかと。似たようなキャラクターのダフト・パンクが全世界的に天文学的な成功をしていて、もうペット・ショップ・ボーイズもこういうコマーシャルな方向にふるエンジンというかガソリンは思いっきりたまって、ボッと火がついた、そういう作品になっております。すごくコマーシャルでこれがファンにとっては一番聞きたいサウンドなのではないのかなぁと思うんですけれども、捻くれ具合は相変わらずでございまして、その辺も思いっきり振り切られておりまして、まず聴くのがLove Is a Bourgeois Construct、愛とはブルジョアの概念であるという、ものすごくポップで聞いていると楽しい曲のように聞こえますけれども、歌われている歌詞はこんな歌詞でございます。

  だいぶ長い間足を持たれかけて
  外国語を話すように口を開き
  記憶にある単語すべてを口にする
  改めて考える
  いかに自分が問題外の存在であるのかを
  皿を洗いベッドをなおさせられているだけの
  何が悪いんだろうか
  僕はそこらへんで眠らせてもらうだけでもいいのに
  議論の果てに味わうほろ苦さ
  それでもはっきりしただけまだましだ
  愛とはブルジョアの概念である
  ブルジョアどもにはもう飽きた
  君は姿を消してはじめてこちらの希望を受け入れてくれた
  君は現実を教えてくれたのだ
  愛とはブルジョアの概念であることを
  大学で彼らが言うように
  僕らは長い時間を使って落ちるものを笑う喜びを
  君が失ったものの大きさをかみしめる
  学生の頃ペーバーバックを引っ張り出して
  カール・マルクスを読み返す
  イングランドの魂を探してトニー・ベンのようにお茶をすすり
  愛とはブルジョアの概念である
  ブルジョアどもはもう飽き飽きだ
  君が帰って来るまでは
  議論の果てに味わうほろにがさ
  それでもはっきりしただけましだ
  愛とはブルジョアの概念である
  ブルジョアどもにはもう飽きた
  
 ペット・ショップ・ボーイズでLove Is a Bourgeois Construct。

 

3、ペット・ショップ・ボーイズがシリアスな曲をカバーするとバカにしているように聞こえる説

 プロデューサーにスチュワート・プライスを起用したのは絶対に成功してますよね。本来的なペット・ショップ・ボーイズの魅力である王道なポップメロディーとオースドックスなペコペコ感、それにいい感じの現代性が加わってこれが売れなきゃどうするみたいな音に仕上がっていて、でも歌詞はこんなものですという、まさに2013年のペット・ショップ・ボーイズの佇まいとしては一番正しいデザインがされてるような気がします。前にはU2をカバーして大顰蹙をかったらしく一時絶交状態だったらしいんですけれども、今回もよせばいいのにブルース・スプリングスティーンのカバーをやっていて、今回は俺達は好きなんだって言っていて、どんなところが好きなのかと聞くと、ブルース・スプリングスティーンはギターがいいよなと。お前らいい加減にしろよなというコメントを出していたりしますけれども、スプリングスティーンファンの私としては彼らもリスペクトをしてこの曲をカバーしたんじゃないのかなぁと思って紹介しようと思います。The Last to Die。

 

 すごいポップでいい仕上がりなんですけれども不思議ですよね。ペット・ショップ・ボーイズがシリアスな曲をカバーするとなんかバカにしているような臭いがするところがペット・ショップ・ボーイズのマジックでして、そこがボノの逆鱗に触れてしまったんだと思うんですけれども、スプリングスティーンなら笑って面白いんじゃないっていいそうな感じがします。このアルバムは全9曲ですが一曲一曲が長かったりして結構聞き応えのある作品になっておりますが、その最後にVocalというナンバーが入っていて、これがすごくいい曲です。そしてここでの歌詞というのがすごくストレートな歌詞で、でも今回の作品は彼らなりの世界に対する危機感とか今自分達の音楽にとって何が必要で何をやるべきなのかという思いというものが強く反映された作品だからこそ、あえて短いインターバルでアルバムを発表したというのが本当の彼らの思いだと思うんですけれども、そんな彼らの思いがストレートに表現されていて、それがアルバムの最後に来ているというのも彼ららしいというか、彼ららしくないというかそんな世界観が反映されております。

  人が好きだ
  歌が好きだ
  これが僕の音楽だ
  みんな一晩中それを流して
  いいシンガーだね
  孤独で変わっているね  
  全曲にボーカルが入っている
  歌が入ると雰囲気が変わるものだね
  今夜は全てが正しく全てが若々しい
  ぶちまけたかったこと全てが高らかに歌になる
  音楽の中にあるもの
  歌の中にあるもの
  まわりにいて欲しかった人たちがみなやってくる
  この音楽のために
  音楽の中にあるもの  
  歌の中にあるもの
  そして僕らのまわりをあたたかく包むこの感じ
  それはすごく強いのだ
  それは音楽の中にあるのだ
  僕らの

 ペット・ショップ・ボーイズでVocal。

 


ジーズ・ニュー・ピューリタンズ (These New Puritans)に人々が入れ込んでいるうちは音楽の未来は安泰である説

20130712

 ジーズ・ニュー・ピューリタンズはどこにも属さず独自の世界観でキャリアを積み重ねていて、前作は玄人筋から圧倒的な評価をうけ、イギリスを代表する音楽誌で年間アルバムの一位に選ばれるというなかなかの高い評価と人気を誇っているバンドなんですけれども、3年のインターバルをあけて3枚目の作品が発表されました。どこにも属さないありとあらゆる音楽要素を全部取り込んで独自の音楽観で組み上げて、前作がそのオリジナリティーと孤高の音楽性の高さにおいて絶賛されたバンドがまたすごい作品を作ってくれました。Fragment Two。



 ポップミュージックとしての整合感というか、きっちりとした佇まいを持っているのはこの曲だけで、あとはかなりユニークというか独自というか、10分くらいの曲があったりと、まさにジーズ・ニュー・ピューリタンズの世界が展開されているんですけれども、ちょっと聞くと後ろにオーケストラみたいな音が聞こえてたりするんですが、実はこの作品、一番ベーシックなレコーディングはオーケストラのアレンジからスタートしているんですよね。そこでベーシックなトラックを作って、そこからいろいろなことをやっていくという。通常のポップミュージックのアーティストとしては考えられない音の作り方をしているようでありまして、それには現代音楽の作曲家やオーケストラの指揮者などが参加しているんですけれども、金管楽器を指揮したのはドイツの指揮者のAndre de Ridderという人らしいんですけれども、前作にものすごく感銘をうけて、このような音楽に人々が入れ込むのなら音楽の未来は安泰だと言ったそうですけれども、こうしたジーズ・ニュー・ピューリタンズの音楽性に強い感銘をうけ、そして自分のクラシック・現代音楽から協力をしようと、そうしたいろいろな人々の協力のもとに非常にユニークな作り方でこの作品は作られております。Organ Eternal。



 通常のポップミュージックのフォーマットには収まりきれない、これなんかはそれでもコンパクトでポップな曲なんですけれども、そういう楽曲がたくさんおさめられております。でもだからといって前衛的な音楽かというとそういうわけではなくて、アルバムのトータルを聞いていると非常にポップミュージックを聴いているような高揚感や楽しさというのがちゃんと伝わってくるこの佇まいはすばらしいと思いますね。Dream。




ダフト・パンク(Daft Punk)は何故売れるのか? その2

20130607 

1、ダフト・パンクは何故売れるのか?

 ダフト・パンクの新作は日本でも注目されて好調なセールスを記録しているようですけれども、全世界的にはとんでもない話題になっておりまして、各チャートのナンバーワンを席巻して、ここまでダフト・パンクはメジャーでビックなバンドだったかなぁと、ダフト・パンク史上もっとも注目を集めているじゃないかなぁと。8年ぶりですよ。この盛り上がり方は一体何なんだろうと考えてみると、いろいろなところでいわれていますものが、このEDMという最近非常にはやっておりますエレクトリック・ダンス・ミュージック。全世界でこれが一つのトレンドと言われているわけですけれども、そのオリジナルというか原初的な佇まいを作ったのがこのダフト・パンクなのではないのかと、だからこそ注目されているんだと。実はダフト・パンクに「EDMのオリジネーターだといわれておりますよ。」って言ったら、ダフト・パンク自身が「えっ、何そのEDMって。新しいDJかと思ったりして。エリック・デヴィッド・モリスみたいな。」と。お約束のボケなんですけれども、それくらい浮世離れをしていて時代感覚から微妙にズレていたのに、何故いまここなのかというそんな思いもあるんですけれども、でもダフト・パンクみたいなバンドが今の時代に盛り上がっているのは本人達もびっくりしているのではないのかという気がするんですけれどもね。非常にでもよくできて、売れるのも分かる作品であります。Lose Yourself to Dance。

 

2、ダフト・パンク、先人に対してリスペクトする
 
 この曲もGet Luckyと同じくボーカルがファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)でギターがナイル・ロジャース(Nile Rodgers)。それこそ90年代のダンスシーンと80年代のダンスシーンをになっていた二人の非常に才能のあるミュージシャンとともにこの曲が作られているわけですけれども、僕は非常に気持ちがいいんですけれども、みなさんは遅くないですか。今の時代感覚からいえばゆっくり過ぎませんかね。今調べたら全世界52ヶ国でトップになったというとんでもないことが起きているんですけれども、こののんりしとしてビート感で2013年の世界を征してしまった。これはすごいなぁという感じがするんですが、言うまでもなくナイル・ロジャースはシック(Chic)のギタリストやプロデューサーとして80年代のダンスシーンを席巻し、ファレル・ウィリアムスもザ・ネプチューンズ(The Neptunes)で90年代から00年代のダンスシーンを席巻した、それぞれの代表的なアーティストとともにこの作品を作って、ダフト・パンクらしいアルバム作りだと思うんですけれども、このアルバムの中で僕的にはすごく象徴的な曲だなぁと思うのは、Giorgio by Moroderという曲があります。これはジョルジオ・モロダー(Giorgio Moroder)という今は73歳になる長老とも言って良いドイツの元祖EDMのプロデューサーとして名を馳せたすばらしいミュージシャンがいます。我々としてはドナ・サマー(Donna Summer)の音楽的な全体像を作りプロデュースをやり、曲を書き、アレンジをやりというそういう存在として、この時代はジョルジオ・モロダーのビートとダンス的なテイストというのはある意味ダフト・パンク以上に全世界を覆っていたわけですね。ダフト・パンクはフランス出身ですけれども、彼らとしてはドイツから生まれたジョルジオ・モロダーという人がそういう形で全世界のダンスミュージックシーンを牽引したという事実は、ものすごく彼らに大きな影響を与え、彼らにとって励みになっているんじゃないのかなぁと思います。そのジョルジオ・モロダーが73歳になった今、ダフト・パンクはもう一度オマージュを捧げ、彼自身の業績をもう一回振り返り、そしてこの曲にはジョルジオ・モロダーのナレーションがフューチャーされているんですけれども、彼に対する愛が非常にストレートに表現された曲であります。9分を超える大作なんですけれども、それを感じさせないすばらしい曲です。まず最初にジョルジオ・モロダーのナレーションが語られるんですけれどもこういう内容です。

  15歳から16歳の頃本格的にギターを弾き始めた
  本気でミュージシャンになりたかった
  その夢は大きすぎてほぼ不可能
  チャンスがあるとは思えなかった
  なんといっても住んでいた街は小さいし学生だったし
  それがなんとか振り切ってミュージシャンになってみると
  なんかもしかしたらちょっと可能性があるかもと思ったんだ
  とにかく本当にやりたかったのは音楽だけ
  それも音楽をプレイするだけじゃなくて作曲もしたかった
  1969年から1970年当時のドイツにはすでにディスコテックがあった
  というわけで私は自分の車で出かけたものだ
  ディスコティクで歌って30分くらいかな
  たしか7つか8つくらい持ち歌があったと思う
  時には車で寝てしまうこともあったよ
  家まで運転して帰るのが面倒だったからね
  そのおかげで私は2年くらい暮らしていけたんだ
  それがはじまりさ
  私はアルバムを作りたいと思った
  50年代サウンドで  
  60年代のサウンドで 
  70年代のサウンドで
  そしてその上で未来のサウンドを手に入れたいと
  そこで考えたんだ
  ちょっと待てよ私にはシンセサイザーの心得があるじゃないか
  未来のサウンドであるシンセサイザーを使うっていうのはどうだ
  何をどうすればいいのかわからないまま
  とりあえずクリックが必要だということで24トラックにクリックを一本いれた
  それが当時はムーグのモジュラーにシンクロしてたんだ
  それが未来のサウンドに化ける可能性があることはわかっていたが
  どれほどのインパクトを与えることになるのかは気づいていなかった
  私はジョバンニ・ジョルジオ
  みんなはジョルジオと呼ぶ
  ハーモニーや音楽の正しさなどという概念はとっぱらって
  自由に考えればなんでも好きなようにやれるんだ
  私は誰の指図もうけなかったし然るべき前提もなかった
  
 Giorgio by Moroder。

 

 参考) ダフト・パンク(Daft Punk)は何故売れるのか? その1 
 

マイルズ・ケイン(Miles Kane)、敬老精神にあふれる

20130614

 マイルズ・ケインでYou're Gonna Get It。




 アークティック・モンキーズ(Arctic Monkeys)のアレックス・ターナー(Alexander Turner)とラスト・シャドウ・パペッツ(The Last Shadow Puppets)をやっていたマイルズ・ケイン。1986年生まれの現在26歳というまだ若いミュージシャンでございますけれども、彼のセカンドアルバム。一曲目を聞いていただいただけでも非常に勢いのあるいいアルバムだということが垣間見えたと思いますけれども、こういう曲がぎっちり入っております。続いては先行シングルを聞いていただこうと思います。Give Up。



 ロックがロックとして信じられていた時代のよき香りがする、そういう作品になっております。なんとこのアルバム。プロデューサーがイアン・ブロウディ(Ian Broudie)ですよ。おじさん達世代にとっては、「おおイアン・ブロウディが26歳の若い才能を」というような感慨深い思いにかられるようなベテランプロデューサーでございます。エコー&ザ・バニーメン(Echo & the Bunnymen)、ペイル・ファウンテンズ(Pale Fountains)、ザ・ズートンズ(The Zutons)、ザ・コーラル (The Coral)といわゆるリバプールサウンズを手がけてきたプロデューサーとともに、そして曲をコラボレートしている相手はポール・ウェラー(Paul Weller)、アンディ・パートリッジ(Andy Partridge)ですよ。26歳、敬老精神あふれていますね。でもそういうベテラン達に囲まれてレトロスペクティブなものを作ったのかというとそんなことはなくて、今聞いていただいてもわかりますように、ロックという音楽のかっこよさを信じられつつ、昔のエネルギーをもらいつつ、コンテンポラリーな音を鳴らしております。Darkness in Our Hearts。




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