音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

アンディ・ベル(Andrew Bell)、変わり身が早い

20141205 

児島由紀子「90'sUKシューゲイザーバンドのトップスター、ライド (Ride)がなんと再結成するんです。それで来年の5月と6月にUK、ヨーロッパ、北米、カナダをライブするんですね。そして、チケットがもうすでにグラスゴー、マンチェスター、ロンドン、ニューヨークももう即ソールドアウトだったんです。」

渋谷陽一「その時代青春だった人にはたまらないでしょうね。」

児島「そうですよね。シューゲイザーって彼らが解散して以後もいろいろな所で再評価されているじゃないですか。リバイバルして。日本でもアメリカでもブームが起こっていましたよね。その元祖みたいなバンドだったわけです。アンディ・ベルがビーディ・アイ (Beady Eye)を解散したでしょ。あれで多分タイミングが合ったんでしょうね。」

渋谷「そうですね。」

児島「なんかビーディ・アイ解散の数週間後にライド再結成というニュースがアンディーのソーシャルメディアに出ていまして、すごいなぁ、この人変わり身が早いなぁって感心してしまったんですけれども。」

渋谷「それが原因で解散したんじゃないかと。」

児島「いやそうじゃなくて、もう一人のフロントマンのマーク・ガードナー(Mark Gardener)の発言によると、ザ・ストーン・ローゼズ(The Stone Roses)の再結成をみて、僕らも再結成をすればうまくいくんじゃないかと思ったそうです。それが原因なので、ビーディ・アイの解散とは全然関係ないと言っております。でもタイミングを考えれば、アンディを待っていたのは明らかですよね。」

渋谷「そうですね。アンディを待っていたのは明らかですけれども、それを言ってしまうと身もふたもないので。でもファンとしてはうれしいですよね。」

児島「うれしいですよ。この頃のギターロックって本当にかっこよかったですよね。」

渋谷「そうですね。本当にギターロックが信じられていた時代ですからね。」

児島「特にライドの場合は青い轟音というか、いかにも思春期的な内省と轟音が入っていたから、日本のファンには非常にうけたようで。」

渋谷「そうですね。日本でも非常に人気が高かったです。」

児島「というわけで、さっそく私はロンドンライブのチケットをとりまして、来年5月に見に行きますので。」

渋谷「やっぱりイギリス本国においても、もともとシューゲイザーってイギリス的だし、イギリスが発祥の地ですが、日本でもいまだに熱心なファンがいて再評価が明らかにあるんですけれども、イギリスにおいてもそういう動きははっきりあるんですね。」

児島「何回も小さなリバイバルはあったんですよ。でも日本やアメリカみたいに大きなリバイバルではなかったですね。ライドを再結成するということで、イギリスでも大きな再評価ブームみたくなっています。」

渋谷「それではライドのナンバーを。児島さんがぜひこの曲をということでLike a Daydream。」

 
  

ニック・メイスン(Nick Mason)に学ぶ、ロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)はスターリンである説

20141121

児島由紀子「20年ぶりの最新作、しかもバンドのラスト作である「The Endless River」を発表するピンク・フロイド(Pink Floyd)の新作発表イベントに行ってきました。」

渋谷陽一「ピンク・フロイド20年ぶり、すごいですねぇ。」

児島「今回はツアーはないそうですね。」

渋谷「最近は、ロジャー・ウォーターズとデヴィッド・ギルモア(David Gilmour)も仲がいいみたいな話もありますけれども、やっぱり駄目なんですね。」

児島「話すくらいにはなっているようですよ。でも最近もニック・メイスンがイギリスでのインタビューで、ロジャー・ウォーターズのことをスターリンと比較しておりましたので。といいながらも、今もいい友達だからこれは軽い冗談なんだよねっていいながら、しれっとスターリンと比較していましたので、相当独裁者だったんでしょうね。やっぱり。」

渋谷「やっぱり再結成ツアーはなさそうですね。」

児島「ロジャー・ウォーターズが参加するのはないでしょうね。多分。聞けばピンク・フロイドのツアーに使う豚のコピーライトもロジャー・ウォーターズが持っているそうです。だからあれをピンク・フロイドのツアーで使おうとしたら、ロジャー・ウォーターズから許可を得なければいけないわけですよ。」

渋谷「大変だ。で、そのパーティーはどうだったんですか?」

児島「デヴィッド・ギルモアもニック・メイスンもちゃんと出席して、アルバムリスニングパーティー、それからその後に行われたジャーナリストが談笑するパーティーにも出てくれまして、四時間もしっかりお仕事してましたよ。」

渋谷「それだけ気合いが入っているんでしょうけれども、今回のアルバムはものすごくイギリスで話題になって、記録的な予約枚数を記録したといことで。」

児島「そうなんですよ。」

渋谷「いまだにすごい人気があるんですね。」

児島「ビヨンセ(Beyonce)よりもワン・ダイレクション(One Direction)よりもすごいっていんだからすごいと思いません?」

渋谷「すごいですね。」

児島「ロックバンドのアルバムがこんなに大反響になったことって、過去10年くらいなかったじゃないですか。」

渋谷「イギリス本国でのピンク・フロイド人気はすごいし、全世界的にもすごいですね。」

児島「そうですよ。デヴィッド・ギルモアもBBCのラジオに出演して、この反応はどう思いますかっていう質問に、いや僕も正直驚いているんだよねって。」

渋谷「でしょうね。本人も予想してなかったでしょうね。やっぱり、イギリス本土におけるピンク・フロイドは別格的なものなのですね。」

児島「でもこれは世界的なものでしょう。アメリカでもたぶん一位か二位になると思いますよ。ヨーロッパはすべて一位になると思いますし。」

渋谷「実際に音を聞いての反応は、イギリス国内ではどうなんですか?」

児島「「The Division Bell」の姉妹作みたいなものですよね。で、今作のテーマはバンド内のコミュニケーション不全をテーマにしていることが分かりました。デヴィッド・ギルモアのボーカルが入っている一曲があるんですね。その中でもそのことを歌っていましたので。常に悪口を言い合いながら続けてきた、やっとこれで終われる、みたいな。」

渋谷「なんだかなぁみたいな。」

児島「デヴィッド・ギルモアは絶対にツアーはしたくないそうで。ニック・メイソンは乗り気なんですね。やりたがっているんですけれども、デヴィッド・ギルモアは絶対嫌だそうで。考えただけで冷や汗が出るそうです。デヴィッド・ギルモアは来年ソロ作をリリースしますし、この辺でピンク・フロイドと決着つけたいんでしょう。多分。」

渋谷「それでは誰もが待っていたピンク・フロイドの最新作から一曲聞いてください。Anisina。」

 

渋谷「児島さんも言っておりましたけれども、このアルバムの中で一曲だけ歌詞がある曲があります。それをこれから聞こうと思います。

    嫌っても大切に育んでも愛でてもいい
    欲求に挫かれ家を離れず暖炉に火をくべてみるのもいい
    けれども僕たちはこうして集まった
    僕たちのこの行為は言葉以上のものを伝える
    大きく広がり言葉以上のものを伝える
    僕たちがみな一つになれば言葉以上のものが伝えられる
    僕たちの胸の鼓動は言葉以上のものを伝える
    言葉にできないものを

   という曲です。Louder than Words。」

 

渋谷「全世界的にすごいセールスを記録するでしょうね。日本でもものすごく待っているファンがたくさんいると思います。その膨大な数のピンク・フロイドファンを的にまわすようなことを言うとですね、この曲だけなんですよ。ボーカルが入っているのは。他は全部インストなんですけれども、このインストはピンク・フロイドのピンク・フロイドな音が入っているんですけれども、ピンク・フロイドの曲って間奏が長いじゃないですか。間奏があって歌メロが入って、そこでボーンと盛り上がって、また間奏に行くっていう感じなんですけれども、このアルバムを聞いていると、間奏から間奏、また間奏にいって、また間奏になるっていう。間奏が終わるとまた次の間奏に行くという、そんな事を言うのは世界中で私くらいかもしれませんけれども、でもピンク・フロイド的な世界の心地よさというのは当然デヴィッド・ギルモアのあの切ないギターに象徴される世界観はキープされていて、これが本当に最後の最後になるっていう話なので、ピンク・フロイドファンとしてはこれをピンク・フロイドのピリオドとしてしっかり聞くということがすごく大切なことなのかなぁと思います。」

ブラックミュージックシーンの革命家、メアリー・J. ブライジ(Mary Jane Blige)

20141205 

 メアリー・J. ブライジの新しいアルバム「The London Sessions」を紹介したいと思います。タイトル通りメアリー・J. ブライジがディスクロージャー(Disclosure)やエミリー・サンデー(Emeli Sande)やサム・スミス(Sam Smith)といったいわゆるイギリスのダンスミュージック、R&Bシーンのアーティストとコラボした作品で、かなり珍しいですよね。本当にアメリカのメインストリームの最前線、それこそある意味ナンバーワンと言われるアーティストが、そういう人たちの影響をうけながら独自の形でダンスミュージックやR&Bを先端的な形で作ってきたイギリスのアーティストと合体して作品を作るというのは本当に珍しいと思うので、果たしてどういうものとなったの聞いていこうと思います。まずはメアリー・J. ブライジがディスクロージャーと一緒にやったナンバーを聞いてください。Follow。

 

 実はこのアルバムはすごく大きな意味を持つアルバムです。メアリー・J. ブライジは僕はものすごく好きなアーティストでずっと追いかけてきていて素晴らしいと思うんですけれども、彼女の場合は常にクイーン・オブ・ヒップホップ・ソウルという言われ方をしていて、ヒップホップ的な価値観やソウルミュージックの王道な文脈から、そういうものを全部統一するすばらしいアーティストとして本当にここ20年間ブラックミュージックシーンの女性アーティストとしては最先端を走ってきているわけです。ただここにきて彼女自身の勢いが一時期よりは落ちてきているのは、本人もファンも周りも認めざるをえないところで、彼女自身のアーティストとしてのポテンシャルが落ちてきているというのではなく、いろいろなブラックミュージックの状況等々、そして彼女自身が持ってきたいままでの在り方、彼女は本当に革命家だったわけですね。ブラックミュージックシーンにおいて。それまでの女性アーティストの市場からも求められる女性アーティストの在り方、あるいは男性の目線から求められる女性アーティストの在り方、そういうものを全部否定して、今ある一人の黒人の女性がどうリアルな人生を歩み、そしてリアルな歌詞で、リアルな存在感において、リアルな歌を歌うのかということを、ヒップホップの価値観と非常によく似ているんですけれども、それをソウルミュージックの中において確立したすばらしいアーティストで、それによってたくさんのフォロアーを生み、神格化された存在であり、そしてセールスにおいても作品のクオリティーにおいても本当にトップを走ってきたんですけれども、そのスタンスは変わらないんですけれども、いろいろな時代の変化の中で、彼女自身の私生活に厳しいことがあったりして、最近は女優業で一生懸命働いたりして、決して20年前の彼女と同じ立ち位置ではなくなってきている。そこの彼女にとって、もういっぺんリアルとな何かということを再構成する上で、このイギリスのミュージシャン達とのコラボはものすごく意味があったんですよね。今の曲もすごくモダンで素敵なんですけれども、それよりもなによりも彼女の歌がもういっぺんリアルになったということが、このアルバムの大きな意味だと思います。アルバムのオープニングナンバーを聞いていただこうと思うんですけれども、こんな歌詞です。Therapy。

  誰か自分を変える手助けをして
  だって私は被害者
  自分の声さえも嫌いで落ち込みたくなる
  そしてあなたを息苦しくさせている
  週末まで辛い気持ちですごすわけにはいかない
  ずっと聞いてきた
  あなたも苦い思いをしてきた
  セラピーをうけられるセラピーをうけられるのに
  一日二回セラピーに通えるのに

 

 すばらしいですよね。この曲が一曲目で続いてはDoubtという二曲目を聞くんですけれども、この二曲が続いて時にすごいなと、聞いていると感動で泣きそうになりますけれども、Doubtという明らかに自分自身を歌った曲を聞いていただきます。Doubt。

 

デイブ・グロール(Dave Grohl)はミュージシャンでありロック研究家でありロック啓蒙家である説

20141121

1、アメリカの各都市でレコーディングをする

 フー・ファイターズ(Foo Fighters)の新作「Sonic Highways」を紹介したいと思います。この作品は、アメリカの各都市でレコーディングをし各都市を大きなテーマとして作り上げたなかなかの大作であります。まずは一曲聞いてください。In the Clear。

 

 今曲をかける前に紹介しましたように、今回のアルバムは非常に企画性のある作品でありまして、アルバム自体には8曲しか曲が入っていないんですけれども、それぞれの曲を全米各地のすごく歴史のあるスタジオでレコーディングして、八都市のレコーディングスタジオで一曲一曲とりながらアメリカ全土をまわっていくというそういう一年をかけた企画で、しかもスタジオで一回一回とるときに地元のラジオ局を入れ、テレビのドキュメンタリー番組を作り、そのドキュメンタリー番組とレコーディングを一体化しするという、つまり一年かけて全米の各都市の由緒あるレコーディングスタジオを巡りながらそこの一曲一曲のドキュメントを作りながらアルバムを完成させるという、長大な計画のアルバムなわけです。どうしてもこれをデイブ・グロール自身はやりたかったようでありまして、その大きなテーマのもとにこのアルバムを作り上げたわけであります。彼自身これはアメリカ音楽史へのラブレターだと言っているんですけれども、それこそアメリカのレコーディングスタジオ一つ一つが持つ歴史、都市の持つ歴史、そしてそこの中にある音楽的な背景。そういったものと向き合いながら彼はこのアルバムを作り上げていったわけであります。

2、最近のロックにはテーマ設定が求められている説

 なぜこのような事をやったのかについては、彼自身もいろいろなインタビューでしゃべったりしているんですけれども、私が考えるに、最近は、自分たちがなぜロックをやるのかとか、なぜ新しい作品を作るのかということをすごく音楽をやる側がいちいちテーマとして設定し、それと向き合いながらアルバム制作をやっていくということはすごく増えてきていると思います。それは特にベテランバンドについてそういう傾向が強くなっていて、フー・ファイターズは中堅といっていいと思うんですけれども、そういうバンドが新しいアルバムを作っていくときに、「いつものようにレコーディングしていこうぜ」ではアルバムを作れないんだと思うんですよね。特に音楽と真摯に向き合う姿勢を持ったアーティストであれば、それぞれなぜ自分が今この音楽を作り、アルバム制作に入り、一曲一曲に魂を込めていくのかということを、自分の中でテーマ設定をしていかないとなかなかモチベーションが上がっていかないというか、音楽と向き合う自分の衝動というか、ちゃんと対象化していけないんじゃないのかなぁという気がします。最近はこういう風にして、アルバム自身がこういうテーマとこういう制作過程を持っているんだよねっていうことを解説する機会がすごく増えてきているような気がして、ロックというのはそういう風にアルバムを作っていくときに一つの大きなテーマと向き合わなければいけないというか、そういう事を設定しないと自分達のクリエティビティーみたいなものを担保していけないという状況にあるんだなぁという気がします。そういってこういう身もふたもない事を言ってしまうのも何なんですが、聞く方としてはそうやって命がけで一年二年三年かけて作ったアルバムですよって言われようが、実は鼻くそをほじりながら三分で作った曲だよって言われようが、メロディーと演奏さえよければどっちでもいいやっていう所はあるんですけれども、ただ作る側のロジックとしてはそれだけのものを必要とするというか、だからこそいいものができるというような所があるんだろうなぁと思います。The Feast and the Famine。

 

3、デイブ・グロールはミュージシャンでありロック研究家でありロック啓蒙家である説

 デイブ・グロール自身はそれこそスタジオがなくなってしまうのでそれを惜しむドキュメンタリーを作って見たり、あるいは今回はアナログテープでのレコーディングにこだわったということのアピールに、テープをちょん切ってCDに入れてみたり、その作品がどのような形で作られているのか、あるいはレコーディングの現場っていったいなんなんだと、あるいはスタジオが持つ意味っていうのはどういうことなのか、そしてスタジオが作ってきた歴史というものは何なんだということを非常に考察し、その中で作られていく音楽を非常に大切にしたいという、ミュージシャンであり、研究家であり、啓蒙家であるみたいなそういう独自なポジションを持っていて、そしてそれをすごくスマートにやっていて、すごく大変だとは思うんですけれども、すごく彼がやっていることはトータルなロック史においてはすごく重要なことなんだなぁという気がします。でもそういうこと自身が彼らを音楽に向かわせるエネルギーになっているんだろうと、こうやって聞いていくとどれもエネルギーで満ちた曲ばかりなので、我々にも伝わってきます。Congregation。

 

現代的なパンクの象徴、ランシド(Rancid)

20141121

 ランシドでNow We're Through With You。

 

 ランシドの5年ぶり8枚目のスタジオアルバム。タイトルは「...Honor Is All We Know 」。誇り、それは我々のすべて、という実にランシドなタイトルがついている、そういうアルバムの中の曲をかけました。パンクロックシーンの一種のカリスマ、象徴といってもいいかもしれませんね。長いキャリアを誇るランシド。そのバンドが「誇り、それは我々のすべて」というタイトルのアルバムを作ったということは、非常に象徴的な感じがします。もともとパンクロックを紐解くと、セックス・ピストルズ、ザ・クラッシュ、あたりになると、それこそ破壊こそが、既存の価値観の再構築こそがパンクというムーブメントの一番大きなテーマだったわけで、それこそいろいろなものを破壊し尽し、いろいろなものを否定し尽しっていうような事がそのエネルギーの源泉だったのですが、それが一つのロックンロールのスタイルとして築きあげられ、今やもうパンクというのは一種の古典芸能的なスタイルとして完成され、そのパンクのスタイルを貫き守り通すことがパンクの一つのアティチュードになっている、そういうような流れの中でランシドはその象徴といえるようなバンドだと思います。そしてそのバンドが「誇り、それは我々のすべて」というタイトルのアルバムを作るということも、それこそパンクロックの基本的な精神は変わらないのかもしれませんけれども、ロックシーンにおける役割というものが長い時間の中でどんどん変遷していっているなぁと、そんな感じがします。Diabolical。

 

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