音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

なぜジャズはポップミュージックの王道から脱落していったのか?

20141107 

 フライング・ロータス(Flying Lotus)の新作を紹介したいと思います。Dead Man's Tetris (feat. Captain Murphy and Snoop Dogg)。

 

 今聞いていただいて、これをどういうジャンルに分類するのかといえば、それは無理だろうと。フライング・ロータスはフライング・ロータスでしかないという、そういう自分自身の音楽的世界を追及し続けているフライング・ロータスなんですけれども、今作はジャズというのが大きなテーマになっていて、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)の甥であるということで、ジャズ的なルーツは自分自身の家族的な意味合いから大きくあるんですけれども、それをあまり大きく前へ打ち出していなかったフライング・ロータスが今回はジャズというテーマを全面に打ち出してやっているんですが、ただ通常のジャズの文脈とはまた違う形で今回の作品は作られていて、そこがフライング・ロータスがフライング・ロータスたる所だと思うんですけれども、続いてもう一曲聞いてください。Turkey Dog Coma。

 

 これはジャズだっていう感じなんですけれども、僕はジャズというものがポップミュージックの流れから逸脱していってしまった最大の原因は、インプロビゼーションという思想にあると思っておりまして、ただ今回のフライング・ロータスはインプロビゼーションの長い演奏とは全く無縁で、どの曲も1分台2分台3分台の曲ばかりが入っていて、ジャズという手法を使いながら最終的にはこれはすぐれたポップミュージックであり、ロックミュージックであるというのが、フライング・ロータスのすごさだなぁと思っております。もう一曲1分46秒の曲ですが聞いてください。The Boys Who Died in Their Sleep (feat. Captain Murphy)。

 

ボノ(Bono)に学ぶ、ロックミュージシャンは幼い頃に母親をヒップホップは父親を亡くした事が創作において大切である説

20141107 

児島由紀子「U2の全員インタビューが実現しました。」

渋谷陽一「全員にあったんですよね。貴重な日本人ですよ、児島さんは。」

児島「非常にミステリアスな場所を指定してきまして、ここは絶対に公開しないでくれって言われまして、ロンドンにあるスタジオだったんですけれども、その近所でメンバーを見た人がいたらしくて、タブロイドとかに垂れ込む奴がいたから絶対に言わないようにって。本当なのかなぁって思って言ったら、ちゃんと四人がいまして、なんか感激しました。」

渋谷「みんな元気でしたか。」

児島「元気でしたよ。ボノはちょっと疲れている感じでしたけれどもね。」

渋谷「盛り上がりましたか、インタビューは。」

児島「盛り上がりましたよ。今作はポストパンクバンドとしてスタートした原典にかえったアルバムじゃないですか。」

渋谷「そうですね、元気なアルバムですよね。」

児島「ポストパンクに戻ることがメインテーマだったみたいですよ。」

渋谷「なにせラモーンズトリビュートナンバーがありますからね。」

児島「PVにはザ・クラッシュ(The Clash)とかも出ているじゃないですか。当時自分たちが一番好きだったバンドが、ラモーンズ (Ramones)、ザ・クラッシュ、バズコックス(Buzzcocks)、ジョイ・ディヴィジョン (Joy Division)も好きだって言ってましたよ。そういう話になるともうボノもエッジもティーンの子どもみたくキャピキャピするんですよ。」

渋谷「最も得意なジャンルじゃないですか。児島さんの。」

児島「そうですよ。だからすごい盛り上がりましたよ。」

渋谷「私ジョー・ストラマー(Joe Strummer)の友達なのよって。」

児島「そういうことをあの人たちの前で自慢するのは・・・。」

渋谷「いいじゃない、言ったって。」

児島「あまりにも下品だなって思います。私でもそういうことは気にするんですよ。ネームドロッピングはイギリスでは非常に低く見られていますので。」

渋谷「でもお前詳しいねって言われるんじゃないですか。」

児島「そういう話はきりがなくなるし、限られた時間でたくさん質問を作っていたので、全部聞けるかしらって気にしながらインタビューをしていましたので。」

渋谷「彼ら自身も意欲作だし自信作っていう感じでしたか。」

児島「そうでした。非常に試行錯誤をしたって言うんですね。一度、デンジャー・マウス(Danger Mouse)のプロデュースで一枚作り終えたらしいんですけれども、結局それが気に入らなくて、ポール・エドワーズ(Paul Epworth)とか、ライアン・テッダー(Ryan Tedder)とかを入れてまた作り直したみたいな感じだったので、だからこんなにも時間がかかったそうです。デンジャー・マウスが作ったのは刺激的でいい音だったけれども、これはU2じゃないなって思ったそうです。だからデンジャー・マウスのは全然違うみたいですね。この次に姉妹作の「Songs Of Experience」というのを出すらしいんですけれども、そちらはもっとエッジな感じになるそうです。今回は非常に私小説ソングが多いから、意外と歌主体でオーソドックスなサウンドになっているじゃないですか。まさにデヴィッド・ボウイ(David Bowie)とかウォー(War)とかあの辺を思い出しますよね。」

渋谷「じゃあ児島さん的にも楽しいインタビューができてよかったですね。」

児島「非常に楽しかったです。ボノが今作のテーマについて面白い事をいったんですね。母親を早く死なせたということは非常にロックミュージックのソングライターにとって重要な要素になるって言っていたんですね。ジョン・レノンとかもそうだし。そういう体験をした人っていうのは、幼い頃自分の心の中に空洞があくんだそうです。それを埋めるために、あんなにたくさんの人から愛を浴びる作品がつくれて、それだけでしか埋め合わせはできないそうです。それで面白いのは、ヒップホップはその反対で、父親の存在を失ったことがメインテーマになっているって言うんですよ。」

渋谷「深いですね。」

児島「そう。そういう話になるとボノものってきて、もうちょっと話したいとおもったんだけれども残念です。」

渋谷「そうであってもU2に会えたんだからよかったじゃないですか。それではU2のジョイ・ラモーンに捧げたナンバーを聞いていただこうと思います。The Miracle (Of Joey Ramone)。」

 

スリップノット (Slipknot)、オリコンのアルバムチャートでナンバーワンをとる

20141107 

 スリップノットの新しいアルバム。前作から6年の期間が経過してしまいました。なぜこの6年の期間が経過してしまったのかは一曲聞いた後にお話ししたいと思いますけれども、レコード会社がつけた帯の文字の中に、今ここにスリップノット復活するっていう言葉がありますけれども、6年のインターバルというよりもファンにとっては復活してようやく新しい作品を出してくれたなぁというそういう作品かもしれません。Nomadic。



 この6年のインターバルがどうして生じてしまったのかというと、ポール・グレイの死とジョーイ・ジョーディソンの脱退というスリップノットにおける中心的なメンバーであり、そして中心的なソングライターである二人がいなくなってしまったということのものすごい壁を乗り越えないとこのアルバムは作ることができなかったわけで、果たしてそれは可能なのだろうか、すごく困難ではないのだろうかという、ファンもすごく心配したし、バンドのメンバー自身もその壁の大きさを絶対に強く感じたと思います。ところが6年のインターバルを持って発表されたこの作品はものすごく力強いエネルギーに満ちた作品で、本国アメリカで一位になったということもありますが、なんと日本のアルバムチャートで洋楽としては珍しくアルバムチャートナンバーワンを獲得するという、日本のロックファンにおいても待望の作品になったわけであります。ジョーイに関しては俺は脱退していないというメッセージがありその詳細についていろいろなコメントが出るということになっていますけれども、果たしてどうなるのか、その辺はこれからの推移を待ちたいと思います。ただ本当に力強いエネルギーに満ちた、それこそナンバーワンをとったことからも分かるようにロックファンにとって待たれた作品になりました。The Devil in I。

 

 今作は日本においても全世界的にも熱く迎えられたわけですけれども、二曲聞いていただいてスリップノットをずっと聞いている方は気づいたと思うんですけれども、これまでよりもよりメロディアスになったと思います。いわゆるヘビーロックファンのみならず多くの音楽ファン、ロックファンに受け入れられるようなそういう音作りになっている、ヘビーロック的なサウンドデザインは変わっていないですけれども、メロディーやリフなどに非常に開かれた要素が強まっている気がします。メンバー自身がちょっとポップなことをやるとなんかすっかり甘くなってしまったよみたいなことを言われるけれど、そんなことは大きな間違えだ、俺たちは全然信念は曲がっていないしまっすぐヘビーロックを追及しているんだと言っているんですけれども、本当にその通りだと思います。基本的な構造は変わっていないんですけれども、ある意味自分たちの音楽に対する追及度をあげてきている、そんな感じがします。その手ごたえはスリップノットがより新しい次元に進んでいると僕は解釈したいと思います。ヘビーロックシーンにおいてすごく重要な役割を持つスリップノットが、ヘビーロックシーン全体を股にかけて引っ張っていく、そういう作品にもなっている、そんな感じがします。Killpop。

 

ジョニー・マー(Johnny Marr)、齢50歳にしてキャリアのピークを向かえる

20141024 

 ジョニー・マーでBoys Get Straight。

 

 ジョニー・マーのセカンドアルバム「Playland」からのナンバーでありました。ジョニー・マーのミュージシャンとしてのポテンシャルが大爆発しているそういうアルバムです。でも考えてみれば、ジョニー・マー50歳ですよ。今になってミュージシャンのポテンシャルが爆発とか極東の島国のDJに言われている時ではないという気がファンならずともみなさんしますよね。スミスでデビューしてから30年。スミスが解散してモリッシーがソロになり、ジョニー・マーも同じように能力の高い人だから独自のキャリアを築いていくかと思いきや、いろいろなことをやりましたよね。ユニットをやってり、雇われギタリストみたいな仕事をしたり、常にファンとしては「もっと行くはずなのにどうしてジョニー・マーは自分の名前でガッツリと仕事をしないのか」みたいなそういう思いはあったと思うんですね。本人もずっとそういう時期じゃないと思っていたようですけれどもね。やっぱり、きっかけとか自信とかそういうものはすごく大きいのだなぁと改めてそんな感じがします。遅咲きというにはすでにいろいろな形でキャリアを築いてきたアーティストでございますけれども、ソロとしていよいよ本格的な才能を爆発するという、その手ごたえが感じられるセカンドソロアルバムからガンガン曲をいきたいと思います。Dynamo。

 

 この曲をかける前にソロとして遅咲きのジョニー・マー、ファンと言ったのですけれども、でも考えてみるとある意味ミュージシャンとしてはこれが幸福なのかもしれないですよね。ですから最初にピークがきて、そのピークをなんとかダラダラとキープする、あるいはだんだん右肩下がりになっていくという状態よりも、なやんでいる時間は長かったのかもしれませんけれども、その中でだんだん自分のポジションや音楽的な方向性が徐々にクリアになり、自信がつき、ファンがだんだん支持してくれるようになり、そしてファーストソロアルバムを作り、変な話ファーストアルバムの「The Messenger」はどこかギタリストのちょと試行錯誤の実験段階のアルバムみたいなそういうにおいがあったのかなぁと。これだけのものが作れるなら最初から行けばいいのにというもどかしさが常にあるんですけれども、逆に言えばそうやって自己発見、そしてそれに伴う世間の評価の上昇みたいなものを体験して、50になってからの音楽キャリアを作っていけるということはすごく幸福なことなのかなぁというような気もしました。このセカンドアルバムを聞くと、サードアルバムはどこまでいくんだろうというそんな期待をもうすでに抱かせてくれるジョニー・マーなんですけれども、そのすばらしいセカンドアルバムからもう一曲聞いていただこうと思います。The Trap。

 

 この瑞々しいメロディー、いいですよね。そして歌も、いわゆるギタリストが歌う歌ではなくて、本当にボーカリストの歌になってきている感じがして、情感の出方もすごくよくて面白いなぁという感じがします。自分の雑誌で葛飾北斎の特集をして、北斎のキャリアをいろいろ辿ったりしたんですけれども、我々が知っている富士山の絵のように北斎の代表作だと思っているような絵は70歳に入ってからの作品がほとんどなんですね。当然天才ですから30代40代50代60代とすぐれた作品を残しているんですけれども、後世につたえ我々が認識するような絵がたくさん描けるようになったのは70からということで、表現者としてのピークはどこにあるのかというのはなかなか分からないもので、ロックミュージシャンの場合は常に10代20代の青春的な時期にピークがあるというような傾向がすごく多いですけれども、それだけではなくいろいろな形があるんだなぁとそういうことをジョニー・マーの今回のセカンドアルバムは教えているような感じがします。

ジミー・ペイジ(Jimmy Page)、リマスター盤が出るたびに来日する

20141107

1、「Led Zeppelin IV 」と「Houses of the Holy」のデジタルリマスター盤が発表される

 レッド・ツェッペリンでRock and Roll (Alternate Mix)。

 

 レッド・ツェッペリン現在、ジミー・ペイジ監修のもとでデジタルリマスターシリーズを発表しておりまして、それがいよいよ四枚目と五枚目が発表されることになりまして、今聞いていただきましたのは「Led Zeppelin IV 」、発表した当時はアルバムタイトルも何にもなくかなり話題になったんですけれども、通常は「Led Zeppelin IV 」と呼ばれている、レッド・ツェッペリン四枚目のアルバム、そして五枚目の「Houses of the Holy」の二枚がデジタルリマスターとしてリリースされました。今回のリマスターシリーズには毎回毎回コンパニオンディスクといって、未発表音源や未発表ミックスなど非常に貴重な音源をジミー・ペイジ監修のもとにおまけとしてつけているわけでありますけれども、そちらのほうからオルタナティブミックスというオリジナルとくらべると印象的にはちょっとラフな感じの、これはこれでいいんですよね。

2、ジミー・ペイジ(Jimmy Page)、リマスター盤が出るたびに来日する

 このリマスターシリーズが発表されて何が楽しいって、音源もさることながら出るたびにジミー・ペイジが来日してインタビューに答えてくれるっている、最近邦楽アーティストでもこんなに頻繁に会わないぞっていうくらい私はジミー・ペイジに会ってお話しをする機会を得ていて、非常に楽しくていいんですけれども、今回もジミー・ペイジは本当に日本が好きなようで、日本に来るのを楽しみにしているみたいですけれども、今回も来日してくれましていろいろ話をすることができました。「Led Zeppelin IV 」は代表作として言われることが多い作品なんですけれども、例えばインタビューで聞いたんですけれども、レッド・ツェッペリンというのは、もともとジミー・ペイジが作詞作曲をやってアレンジもやってそれをみんなでやるという感じだったんですけれども、三枚目くらいからロバート・プラントが歌メロを書き、そして歌詞を書くというスタイルに変わってきていて、それが最後までずっと続いていくんですけれども、ただ天国への階段なんかはコード感からアレンジから何からすでにこういうメロディーというのが決まっているんで、

「これは歌メロはロバート・プラントではなくてジミー・ペイジさんが書いたものではないんですかね」

 と聞いたら、

「それはそうだよ」

 みたいな答えをしてくれて、予想通りの答えだったんですけれども、いろいろなお話をして、毎回聞く私のトラップクエスチョンみたいなものがあって、

「でもレッド・ツェッペリンってインストバンドみたいな感じがするんですよね」

 といったら、さすがに、「いやそんなことはないよ」と否定はしなかったし、「その通りだよ」って肯定もしなかったんですけれども、ただ雑誌で活字にはできなかったんですけれども、その空気感として通訳をした人間と感じたことは、インストバンドですよねって聞いたときに、

「うーん、うーん、まあ、うーん、ねぇ」

 みたいな感じで、その何とも肯定する感じが興味深かったという感じがします。そして、このレッド・ツェッペリンのデジタルリマスターシリーズ、必ずついているコンパニオンディスクに、またたいてい入っているボーカルなしトラック。この五枚目にもNo Quarterのボーカル抜き、ジョン・ポール・ジョーンズキーボードダビングバージョンというのがあって、毎回私もかけていますけれども、このボーカルなしバージョンが成立しているという所がなんとも、ある意味レッド・ツェッペリンのインストバンドとしての強力なキャラクターというものを感じさせる、そういうジミー・ペイジからのメッセージのような気がします。レッド・ツェッペリンの「Houses of the Holy」のコンパニオンディスクからボーカルなしバージョンを聞いていただこうと思います。No Quarter (Rough Mix with JPJ Keyboard Overdubs - No Vocal)。

 

 これはこれで一つの作品として成立している、だからこそ発表しているんでしょうけれども、みなさんはどのような感想を持ちましたでしょうか。やっぱりボーカルがないと寂しいなぁと思ったのか、これはこれで全然よいと思ったのか、みなさんの感想をぜひ聞いてみたいなぁと、ついでにロバート・プラントの感想も聞いてみたい気がしますけれども。
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