音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

モリッシー(Morrissey)はイギリスのEU離脱賛成派なのか?

20161125

児島由紀子「キャリア初のバイオグラフィーを出すジョニー・マー(Johnny Marr)についてです。」

渋谷陽一「ジョニー・マー自伝。すごいですね。大変な話題ですか?」

児島「そうですよ。その自伝の中で2008年にモリッシーと地元マンチェスターで偶然会った時に、ザ・スミス(The Smith)再結成の話が出て、ふたりとも乗り気だったらしいんです。ジョニー・マーは当時はザ・クリブス (The Cribs)のメンバーとして活動していたんですけれども、その当時のメンバーと話し合って、このバンドをつづけながらリユニオンライブを数回できないかっていう話も出ていたくらいらしいんですね。が、例によってその後モリッシーとのコミュニケーションが突然途切れてしまったらしいんです。典型的ですけれども。そこまでいったのに惜しいなぁとおもったんですけれども。」

渋谷「でもすごいね。その事実は。」

児島「パブで話した時はすごくいい感じで、別れ際もお互いにハグして別れたらしいんですね。なのにその後プッツリと音信が途絶えたという。本当に典型的なモリッシーですね。」

渋谷「期待通りの話ですよね。」

児島「で、最近のジョニー・マーも今スミスを再結成する必要はないと言っておりますので。」

渋谷「そんな面白い裏話の他、それこそスミスの現役時代のことからいろいろな事が書かれているのですか?」

児島「そうなんですよ。で、特に最近モリッシーが問題発言をしておりまして、EU離脱に賛同するコメントを出しているんですよ。すばらしいと。保守党よりも右寄りの独立党の党首ナイジェル・ファラージ(Nigel Farage)の考えにも賛同するみたいなコメントも出していて、スミス大ファンのデイヴィッド・キャメロン(David Cameron)に「お前なんかにスミスが分かるわけがない」と声明を出すくらいに保守党が嫌いで有名なジョニー・マーが、その件テレビのインタビューで聞かれて、今のモリッシーともうイデオロギーの共通点はないだろうって言ってましたよ。だから将来の再結成の可能性がますます薄くなりましたね。モリッシーが問題発言をするのはいつもそうなんですけれども、モリッシーの発言を読んでみたら、イギリスの左翼のメディアがEU離脱に投票した人に何かといえば叩いている、そのことに対する声明みたいだったんですね。だから、右寄りの国粋主義に賛成すると言っているわけではないんですよ。」

渋谷「そうですね。世の中の主流の動きに対して常に批判の眼を向けるというのが彼の考え方ですからね。」

児島「そう、だからいつものモリッシーだったというだけなんですよ。」

渋谷「でもそんな裏話とかもいろいろ書かれて、スミスの再結成なんてありえないとメディアに報道されれば、じゃあやろうかなというのがモリッシーなので。」

児島「そう。10年後くらいかもしれませんが、スミス再結成あるかもしれませんよ。」

ジョナサン・デイヴィス(Jonathan Davis)、実はいい人だった

20161118

 コーン(Korn)の通算12枚目のアルバムが発表されました。まずはそのアルバムの中から聞いてください。Take Me。

 
 
 オリジナルギタリストのヘッド(Head)が復帰して二作目になるんですけれども、前作は復帰したといってもバンド全体と大きなグルーブを生み出すまでには至っていなかったかなぁという感じなのですが、今作は彼の力がアルバム全体に発揮されていて、聞いていただいても分かりますように、コーンファンが一番求めるコーンサウンドが鳴っている作品になりました。彼らにとってもすごく自信作ということなんですけれども、ニューメタルシーンにおけるコーンの位置というのはもういったん天下をとって、全米一位もあり、大変はポジションを得て、そこからどうテンションを維持していくのかという戦いに彼らは入っていると思うんですけれども、ただ保守的になってもしょうがないし、EDMを導入したりもしましたけれども、新しいことをやりつつも時代の音にからめとられてはいけないという、こういうポジションのバンドというのは、アイデンティティー確保がすごく難しいと思うんですよね。その中で結局は、よりよいメロディー、よりよい歌詞、よりよいサウンドデザインというものをある意味熟成させていくという、そういう方向で頑張っていくしかないんですけれども、これは結構うまくそれがいったんじゃないのかなぁという気がします。続いてはアルバムの一曲目のナンバーを聞くんですけれども、これを一曲目に持ってく来て「どうだ」という、この作品に対するコーンの気分がすごくよくわかります。Insane。

 

 往年のコーンが戻ってきたと、そういう手ごたえのある音になっております。コーンはダークでヘビーな世界観をミュージックビデオなどでも展開しておりますし、そうした精神の暗黒みたいなものを音で表現しているバンドであります。ただ、そうはいいいながらもどんどんバンドは成熟していくし、我々見る側もジョナサン・デイヴィス(Jonathan Davis)って怖いなぁ、暗黒だなぁみたいな感じで見ていたんですけれども、だんだん実はいい人っぽいなぁみたいな、家族もステージに出てきて子どもがステージを走っちゃうぞみたいなことになってくると、いわゆるパブリックイメージの純粋さだけでは勝負できなくなってくるわけで、その中でもやっぱりこのダークネスというか、へヴィネスというかそういうものをどう音で担保していくのかということは、本当に厳しい戦いだと思うんですけれども、この作品の中でコーンは一つの形を作ることができているなぁと、そんなファンとしてはうれしい作品になっているのではないのかと思います。Everything Falls Apart。

 
 

英国一のダメ男、ピート・ドハーティ(Pete Doherty)

20161111

児島由紀子「なんと7年ぶりのソロをリリースするピート・ドハーティについてです。今やザ・リバティーンズ (The Libertines) はイギリスでは国民的バンドになっております。数万人規模のギグをやるバンドですから。ザ・リバティーンズの活動もつい最近まで南米とかメキシコを周ってツアーをしていたんですよ。それなのにソロアルバムを出すという。」

渋谷陽一「この人はいくらでも曲を作れるんだよ。絶対に。」

児島「そう。すごい多産型なんですよね。作曲家としては。作曲の才能はノエル・ギャラガー(Noel Gallagher)も認めていたくらいで。なので曲はたくさんあるんですけれども、この人はいいプロデューサーがいないと自分の曲をアルバムにまとめて出すということができない人なんですよ。計画性とかゼロの人ですから。」

渋谷「困った人ですね。」

児島「今回ついに出すんですけれども、タイトルは「Hamburg Demonstrations」という。昨年秋のパリの多発テロに触発された曲とかも入っているんですよ。このタイトル通りにドイツのハンブルグにあるスタジオで録音されたんですね。今回のプロデューサーはドイツを拠点に活動しているJohann Scheererという34歳の若いプロデューサーなんですよ。この人をピートが自ら抜擢したらしんですね。このプロデューサーはこれまで、アット・ザ・ドライヴイン (At The Drive-In)とかマーズ・ヴォルタ(The Mars Volta)とかのオマー・ロドリゲス(Omar Rodriguez)が組んでいたボスニアン・レインボウズ(Bosnian Rainbows)とか、クラウドロックバンドのファウスト (Faust)とか、オルタナティブ色が強いアーティストのプロデュースをしてきた人なんですね。だから、ピートの曲というのはプロデューサーによってまるっきり生まれ変わってしまうので、今回は尖ったインディー系の音になるんじゃないのかなという気がするんですけれども。」

渋谷「でも二曲今聞ける音源があるじゃないですか。それを聞かせていただいたんですけれども、えらいポップですけれどもね。」

児島「この人はどうしてもポップになってしまうんですよ。」

渋谷「そうですね。メロディーがものすごくいいですからね。」

児島「今回のシングルについてはバラード系が中心ですよね。今やザ・リバティーンズはすごいメジャーなバンドになってしまったので、ザ・リバティーンズではポップでエッジなガレージロック系の曲を書かなければならないというのがあるので、この人はそれだけでは物足りないわけです。自分のそういう面をソロで出していくつもりのような感じです。」

渋谷「いいですねぇ。なんでもできちゃって。」

児島「そうですね。全然計画性のない英国一のダメ人間ですけれども、才能に関しては。」

渋谷「天文学的ですね。そこがファンにとってはたまらないし、女心を刺激するところでもあるんでしょうね。」

児島「そうなんです。そういう所がファンにとってはたまらないわけですよ。」

渋谷「本当に英国一のダメ男かもしれませんが、メロディーメイカーとしての才能は天文学的だと思います。それが十二分に発揮されたナンバーを聞いていただこうと思います。Don't Love Anyone (but You're Not Just Anyone)。」

 

ロック界希望の星、キングス・オブ・レオン(Kings of Leon)

20161111  

 キングス・オブ・レオンでWaste A Moment。

 

 キングス・オブ・レオンは全米チャートナンバーワン、全英チャートナンバーワン。最近ロックはチャート的には肩身の狭い思いをしているジャンルなんですけれども、その中でどうどうナンバーワンを獲得した新作「Walls」は、彼らの強さをいかんなくチャート的に見せつけた作品と言えるのではないのでしょうか。最近は出すアルバム、出すシングルが圧倒的な強さを誇っているキングス・オブ・レオン。ジャンルとして圧倒的な力を発揮していると言い難いロック業界にあってまさに希望の星というか、大物ロックバンドはともかく若い世代のバンドとしては、本当に見事な成功を、そして今聞いていただいても分かりますように、大道ロックを鳴らし続けるバンドとして力強いキャリアを積んでいるバンドといえるのではないでしょうか。でも今回のアルバムはこれまでのキングス・オブ・レオンとはちょっと違います。今聞いてみてもあれっと思った方もいるかもしれませんけれども、実際にメンバー自身が今回のアルバムの大きな方向性として、「俺たちに対する人々の見方を変えようとしているんだ」と明言しております。つまり、より新しい自分達を提示していこうという意思が発揮された作品です。プロデューサーはデビュー作からずっとアンジェロ・ペトラグリア(Angelo Petraglia)というメンバーの一人といってもいいぐらい一緒にやってきたプロデューサーから離れて、アーケイド・ファイア(Arcade Fire)とかマムフォード・アンド・サンズ (Mumford & Sons)とかコンテンポラリーなロックを得意とするマークス・デイヴィス(Markus Dravs)を新しくプロデューサーに加えて、ジャケットのイメージなども変えて、より洗練された、よりオルタナティブなにおいのあるキングス・オブ・レオンを今回のアルバムでははっきりと出してきております。ただ、そうはいっても彼ら自身の最大の魅力はこの骨太なビートとなによりも力強いメロディー、そしてその声、そういった根本的な魅力は当然失われていないわけで、それをファンとともに安心したいと、そういうナンバーを聞いていただきます。Over。

 

ザ・ポップ・グループ(The Pop Group)に学ぶ、人は年をとっても前衛であり続けることができるのか?

20161104 

 前作は35年ぶりのオリジナルアルバムということで大いに話題になった作品を作りましたけれども、彼らの復活後に第二作「Honeymoon on Mars」という作品を発表してくれました。前作はなんとプロデューサーにアデル(Adele)のプロデューサーがやってきたということでみんな腰を抜かしてしまったんですけれども、ポール・エプワース(Paul Epworth)というのはもともとポップ・グループのファンだったらしいんですけれども、「俺やってみたい」ってことでポップ・グループを手掛けて、それはそれですばらしい作品になりました。今回はなんともっと驚きの37年前のデビューアルバム「Y」のプロデューサーであるデニス・ボーヴェル(Dennis Bovell)が復帰しました。おじいちゃん同士が果たして40年の時間を経て前衛であり続けていられるのかというものに挑戦して、みごとに成功しています。そしてもう一人、パブリック・エナミー(Public Enemy)の初期の三作を手がけましたボム・スクワッド(Bomb Squad)というチームがありますけれども、その中心メンバーであるハンク・ショックリー(Hank Shocklee)がまた3曲ですけれど、プロデューサーに名を連ねております。なかなかユニークな作品になっておいります。まずは、デニス・ボーヴェルがプロデュースしたナンバーから聞いていただこうと思います。Pure Ones。

 

 最初の雄たけびを聞いたときに、たいていの人は笑うと思いますけれども、そうは言っても全体を聞くとあきらかに2016年の音ですばらしいなぁと思います。37年前、ポップ・グループは衝撃の前衛ロックとしてシーンに登場して、でもそのスタイルを変えないまま40年近い時間が流れながら、でも同じような立ち位置のまま常に前衛でいられるということはすごいと思うし、やっぱり彼らの発明したロックフォームというのは凄いんだなぁと思います。それが全く風化していないし、それが37年ぶりに同じスタッフの中で作られていくというのもまた凄いなぁと思います。もう一曲ハンク・ショックリーがプロデュースしたナンバーを聞いたいただこうと思います。City of Eyes。

 
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