20171110
児島由紀子「最近UKのインディーズシーンでバズっている新人でスーパーオーガニズムについて紹介します。」
渋谷陽一「すごいグループ名ですね。」
児島「17歳の日本人の女の子がボーカルなんですね。彼女自体はアメリカの東海岸に住んでいる学生だったんですよ。ロンドンに住んでいるミュージシャンが彼女にデモを作って送ったのがきっかけで、大西洋を越えたコラボ活動が始まりまして、いろいろな曲が生まれてきて、彼女も今はロンドンに移住して、他のメンバーたちもネットを通じて、一人はニュージーランドからという人もいて、すごいインターナショナルなバンドなんです。」
渋谷「面白いですね。」
児島「今は8人編成なんですよ。今後メンバーが増える可能性もあるそうです。だから、普通のバンドというよりも音楽コミューンみたいな感じだって言っていますけれどもね。」
渋谷「でも最近のバンドはそういう傾向が強いですよね。」
児島「確かにそうですよね。今はSNSとかがあるから、世界のどこに住んでいようがコラボができるわけですからね。」
渋谷「そうですね。そして、実際に自分のバンドを持ちながら別のバンドでワイワイやるというのも多いですしね。」
児島「その典型みたいなバンドなんです。」
渋谷「これは音楽的にイギリスですごく話題になっているんですか。」
児島「なっているんです。つい先日彼女たちがロンドンで初めてのライブを行った時に見たんですけれども、いきなりキャパ700人の会場が劇混みで、こちらのオシャレな人種に非常に受けているんですよ。」
渋谷「なるほど。結構トレンドなものなんだ。」
児島「そうそうそう。欧米のインディー文化と日本独特のポップカルチャーを混ぜたような感じなんですね。ボーカルの女の子はオロノ(Orono)という変わった名前なんですけれども、彼女はゴリラズ(Gorillaz)のヌードルに似ているということで、最初はデーモン・アルバーン(Damon Albarn)の新ユニットじゃないかという噂もあったくらいで。」
渋谷「東洋人ならばみんな同じに見えるんじゃないかみたいな。」
児島「そうそう。はやくからフランク・オーシャン (Frank Ocean)とかヴァンパイア・ウィークエンド(Vampire Weekend)のエズラ・クーニグ(Ezra Koenig)とかに目をつけられて、ラジオでもいち早くオンエアーされたりしているんですよ。」
渋谷「ちらっと聞いたんですけれども、彼女の英語はどうなんですか。多少オリエンタルな感じなんですか。それともネイティブな感じなんですか。」
児島「けっこうイケてると思いますよ。アメリカで生まれた日系なのか、日本から留学したのかは今のところ不明なんですけれども。でも、すでにBBCのテレビ番組なんかでも出たんですよ。」
渋谷「結構メジャーな展開もしているんですね。」
児島「そう。だからイギリスの音楽シーンで注目されているんです。アルバムは来年だそうですけれども。」
渋谷「ライブはどうでしたか。楽しかったですか。」
児島「楽しいです。彼女は無表情でつぶやくように歌って、タンバリンを叩きながら歌うバックコーラスがすごいド派手なアクションで、そのコントラストがすごく面白いなぁと思って。」
渋谷「じゃあ、クールな東洋人みたいな、エキゾチックみたいな。」
児島「今ロンドンで一番クールな日本人の女の子は彼女でしょ。」
渋谷「なるほど。じゃあアルバムを楽しみに待ちたいと思います。スーパーオーガニズムでSomething For Your M.I.N.D.。」
渋谷「スーパーオーガニズム最高ですね。日本人の女の子がやっているというそこら辺も面白いですけれども、児島さんの説明にもありましたけれども、もともとアメリカの東海岸とロンドンと遠くに離れた所で音源のやりとりをしながら、メッセージのやり取りをしながらだんだん曲が作られていったり、いろいろな所からSNSでメンバーが集まって来たりと、非常に今日的な在り方で、そして音の方も、これは最近年がら年中言っていることですけれども、一定のジャンルにこだわりなくジャズやヒップホップ、R&Bやインディーロックなどの要素を含んだみたいなことを私はよく言いますけれども、そういうようないろいろな要素がクロスオーバーしているものというのは、今の若い世代のサウンドにすごく共通する、そんな感じにどんどんなってきていますよね。」