音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

リアム・ギャラガー(Liam Gallagher)、悉くかつての発言の逆をやる

20170616

児島由紀子「3年ぶりに音楽界に復帰するリアム・ギャラガーについてです。過去3年はほとんどSNSで吠えるだけの人になりかけていたので、ファンとしても悲しかったんですけれども、ついに新曲を出してフルアルバムを最近作り終えたばかりみたいで、リリースされるのは今年の秋みたいですけれどもね。これからいろいろシングルをだすんでしょう。多分。」

渋谷陽一「お兄ちゃんに負けてられないですからね。」

児島「本人としてもライバル意識は微妙な所じゃないですか。」

渋谷「新しく発表されたリアムの音はどんな感じですか。」

児島「非常に今っぽいですよね。アデル(Adele)をプロデュースしたグレッグ・カースティン(Greg Kurstin)とか、トム・オデール(Tom Odell)を手掛けたDan Grech-Margueratとか、今風で売れっ子のプロデューサーを導入したのはさすがだなと思いました。」

渋谷「先行リード曲を聞いたんですけれども、もろオアシスというか、これ分かりやすすぎないかという気もしないでもなかったんですが。」

児島「リアムの声だからオアシスに聞こえるのかもしれませんが、曲自体はオアシスとは違うでしょう。」

渋谷「そうですか。僕は結構王道が来たなぁと。」

児島「つい最近、ロンドンでライブがありまして見て来たんですけれども、新曲6曲やったんですけれども、残りの曲はぜんぶオアシスの曲をやってました。」

渋谷「お兄ちゃんがそれをやるなら、俺だってみたいな。」

児島「オープニング曲からしてRock 'n' Roll Starですからね。次がMorning Glory。それで盛り上がるなと言う方が無理ですけれども、すごかったですよ。野郎どもが一緒に歌って。本当にオアシスのライブを見に行ったみたいでしたよ。」

渋谷「本人はお兄ちゃんがそういうライブをやると文句を言っていましたけれども。自分もそういう風になっちゃったんですね。」

児島「最近、以前自分が批判していたことをどんどんやるようになっていっているんですよね。以前は「俺はソロアルバムなんか絶対に作らない」って言っていたのに結局作ったし。オアシスの曲はやらないって言っていたのに、今はオアシスの曲だらけだし。」

渋谷「でもお客さんは大喜びなんですね。」

児島「もちろん大喜びですよ。行きの地下鉄の中から周りの人がDon't Look Back in Angerを歌い始めた途端、会場の最寄り駅につくまで歌いっぱなしなんですよ。」

渋谷「イギリス人面白いですね。」

児島「もううるさいって。帰りの地下鉄でもやっぱりそういう人たちに囲まれてしまいまして、もう本当にやめてくれっていう感じだったんですけれども。」

渋谷「でもオアシスは愛されているんですね。」

児島「本当にそうですよ。野郎どもには好かれているんですよね。リアムって。そういうカリスマ性がある所が人気がある理由なんでしょう。」

渋谷「彼自身の佇まいはどうでしたか。自信にあふれた感じでしたか。」

児島「相変わらずですよ。以前よりは少し動いてたかなって感じで。でもミック・ジャガー(Mick Jagger)みたくステージのスミからスミまで動いて煽るとか、そういうことができない人ですから。」

渋谷「相変わらず後ろに手を組んで、マイクに向かってっていう感じで。」

児島「そう。男はそんなチャラチャラしたことはしないんだっていう。」

渋谷「わかりました。じゃあ、フルアルバムを楽しみに待ちたいと思います。それではリアム・ギャラガーの注目の新曲を聞いてください。Wall Of Glass。」


ナイジェル・ゴッドリッチ(Nigel Godrich)、あのロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)を黙らせる

1、ナイジェル・ゴッドリッチ、あのロジャー・ウォーターズを黙らせる

20170519

中村明美「ロジャー・ウォーターズの25年ぶりのニューアルバムについてご紹介します。「Is This the Life We Really Want?」、これが僕らが本当に望む人生なのか、という強烈なタイトルの作品なんですけれども、本人にインタビューをして、なんとニューヨークでトークショーもあったので行ってきました。まず、25年もたってなぜアルバムを作りたくなったのかという誰もが気になるところなんですが、わりとはぐらかした答えで、ヨーイドンのピストルの音を聞き忘れてたんじゃないのかなぁって。25年たってって気づかなかったという答えなんですけれども、実際はThe Wallの世界ツアーをしている時に、アルバムの一曲目になるんですけれどもDéjà Vuという曲ができて、これがなかなかクールだなぁと思ったのでそこから曲作りが徐々に始まっていったということなんですが、この曲は自分が神だったらこういう事をしていただろうとか、自分がドローンだったらこういう事をしていただろうっていうような、のっけからすごく政治的なメッセージが込められた緊迫感のある曲なんですけれども、直接トランプに影響されたとは言わなかったんですけれども、トランプですとか今のヨーロッパの情勢なんかの話を始めると僕は止まらなくなるからそれはやめておこうという感じで、なるべく短いコメントでおさえていたのですが、そういった現在の政治的な状況について考えたくなくても考えざるを得ないのは仕方がないよねって言っていたので、そこらへんの政治的な状況がすごくインスピレーションになっているんだと思います。その後にラジオ劇を作ったそうなんですね。それはアイルランド人の年を取った男が孫と旅に出て、人はなぜ子どもを殺すのかという疑問の答えを見つけに行く旅という、そういう物語だったらしいんですけれども、それを作った時にすごく長いものだったらしいんですが、これはロックンロールアルバムになるのではないのかと自分で思って、そこからアルバムを作る方向に向かったそうです。ここで面白いのが、彼がThe Wallの世界ツアーのドキュメンタリー映画を作った時に、ミックスを担当したナイジェル・ゴッドリッチと意気投合して、そこで彼がアルバムをプロデュースすることになったんですけれども、これまでロジャー・ウォーターズといえばコントロールフリークというか、自分のものは完璧に何でもやっていくことで有名だった人なのですが、ナイジェルにすべてを任せて、その音を聞かせたところ、ナイジェルは「すごくいいけれども、これ全部アルバムに使いたいわけじゃないですよね」って、「最初の10分と終わりの10分くらいを使って、あとは使えないでしょう」って。「あとはどうすればいいんですか」ってロジャー・ウォーターズが聞いたところ、「あとは全部書き直しましょう」っていうことで、もともとあったデモテープはほとんど使わずに残りの部分は新たに書き直しました。ロジャー・ウォーターズはナイジェル・ゴッドリッチの言いなりになると自分で決めて、ナイジェルにすべてを任せて自分は口出しをしないのは大変だったらしいんですけれども、それでよかったと。おかげでいいアルバムが出来て、ナイジェルに対する尊敬の念はこれ以上ないというくらいに高いと。アルバム全体のテーマとしましては、苦境から「愛」というものが僕らは少しでも居やすい場所に連れて行ってくれるのか、ということを探求したアルバムになったという風に答えておりました。」

渋谷陽一「ロジャー・ウォータズというのは性格的になかなかむつかしい人だって、ピンク・フロイドの他のメンバーが口をそろえて言っていたわけで、そのロジャー・ウォーターズを抑え込んだナイジェル・ゴッドリッチってすごいですね。」

中村「入った瞬間から口出ししないでくれって言う雰囲気を醸し出していたので、それに従う事にしたと。それによって自分が成長できたことがすごくよかったと本人も語っていて、すごくビックリしました。」

渋谷「ロジャー・ウォーターズの新曲を聞こうと思います。Smell the Roses。」




2、 ナイジェル・ゴッドリッチ、ロジャー・ウォーターズのファンはピンク・フロイド(Pink Floyd)的な音を求めていると的確に理解する

20170616

 ロジャー・ウォーターズの25年ぶりの新作を紹介します。すでにニューヨーク情報で紹介をしておりますけれども、今回はじっくりと紹介していこうと思います。まずはアルバムのオープニングナンバーとそれに続く曲の二曲続けて聞いていただこうと思います。When We Were YoungとDéjà Vu。




  もしも僕が外国の上空を飛ぶ誘導と異常を感知する機能を備えた
  偵察機能付きの無人飛行機だったならば
  家に誰もいなければいい
  そんな風に願うだろう
  女性が一人ストーブでパンを焼いているのかもしれないし
  米を研いでいるのかもしれない
  それとも骨を煮詰めているだけなのかもしれない
  もしも僕が無人飛行機だったならば
  寺院は荒廃し銀行家は太っていく
  水牛はもういない
  そして山の頂は平たい
  川を泳ぐマスのように雌雄の別はない
  君は左に傾いて右に票を入れる
  まるでデジャブ
  日が落ちて僕は今でも君を思っている
  失った愛の代償を数えながら
 
 ロジャー・ウォーターズは今作のサウンドはすべてナイジェル・ゴッドリッチに任せたと。そして、ロジャー・ウォーターズはこの無人飛行機による虐殺というすごくシリアスなニュースを見てこの曲を書いたようですけれども、そのメッセージ性と、ものすごくクリアにピンク・フロイド的なる方法論を大胆に取り入れてこのアルバムを作っています。それはすごく成功しているなぁと思います。Picture That。



 アルバムのオープニングナンバーからずっと聞いていただきましたけれども、続いてはラストナンバーを聞きます。 ナイジェル・ゴッドリッチのそのピンク・フロイド的な伝統をものすごくちゃんと再現しようとするその意思が、すごく象徴的に表れているナンバーです。Part of Me Died。

  部屋の隅に座りテレビを見ている
  苦痛を訴える子ども達の声に真剣に耳を傾けることもなく
  世界で起きていることを気にも留めずに一人ゲームを楽しんでいる
  何度も繰り返し同じ物を見てそれでも時期に忘れてしまう
  沈黙無関心
  それ以上の罪はない
  だけど彼女を見た時僕は変わった
  ボウルを持ってきてくれ
  その中で彼女が足を洗えるように
  最後にもう一本僕にタバコをくれ
  消えない後悔に苛まれながら生きながらえていくよりも
  彼女の腕の中で死んでしまう方がずっといい



 本当にピンク・フロイド的なサウンドがファンの心を鷲づかみという明快さがあってよいと思います。 ナイジェル・ゴッドリッチに音の方は全部まかせているというロジャー・ウォーターズの発言がありましたけれども、 ナイジェル・ゴッドリッチはロジャー・ウォーターズのどこがファンにとって一番うけるのかということを正確にわかって、本人以上に正確にプロデュースをしたと思います。



  喜劇、それは狂人が心に描くようなもの
  生きている実感を味合わせてくれるものはただ一つ
  生き残るための戦いだけ
  だが彼らが求めているのはただ一つ
  苦痛を麻痺させてくれるものだけ
  人間らしさがすべて失われるまで

 という、まさにそういうことが歌われているPure Comedy。まさに、ここがコメディーなんだという。それに続いて二曲目がTotal Entertainment Foreverという曲なんですけれども、まさにその苦痛を和らげてくれる、我々にとってのエンターテイメントが、世界を、そして我々をどう疎外していくのかということを歌っているんですけれども、

  テイラー・スウィフト(Taylor Swift)と寝ているんだ
  リアルの世界で毎晩ね
  夫婦が夕食をとり皿洗いを終えた後
  今や未来の解像度は去年よりはるかに高くなり
  イメージはすっかり現実のようになって
  誰かが鏡の中で僕の人生を代わりに生きている
  このニューエイジで僕らは楽しませてもらえるのさ
  裕福だろうが貧乏だろうがチャンネルはどれも同じだ
  僕らを支配する神などいない
  僕らを楽にしてくれるドラッグなどない
  たわごとを証明してくれる神話などない
  僕らを混乱させる愛などない
  歴史学者に発見される頃僕らは家にいるだろう
  ハブに接続して骨と皮に痩せこけて
  誰もが凍り付いたような笑顔を浮かべ
  物語は繰り返されるんだ
  ここはきっとすばらしい場所に違いない
 

UKロック最後の砦、カサビアン(KASABIAN)

20170512

児島由紀子「3年ぶりのニューアルバムを出すカサビアンについてです。」

渋谷陽一「イギリスではすごい人気ですよね。」

児島「そですよ。UKロック最後の砦みたいな感じですよ。オアシスなき後のワーキング・クラスのUK男子にはこのバンドしかないだろうって。」

渋谷「みんなで盛り上がれる分かりやすいロックですからね。」

児島「そうですね。非常に間口が広いので。」

渋谷「この3年ぶりの新作はどんな感じなのですか。」

児島「非常にポップなんですよ。今回は。」

渋谷「僕もききましたけれども、これは売れるなぁって。」

児島「キラーチューンばっかりじゃないですか。最新ライブを見たんですけれども、今回は新曲お披露目ライブだったのに2500人くらいの所でやったんですけれども、ものすごく混んでいました。ライブでもダフトパンクの曲を挿入したりだとか、非常にアップツーデイトな感じでやっているんですよ。」

渋谷「お客さんはどういう感じの人達が多いんですか。」

児島「若いですよ。メンバーもまだ30代になったばかりだし。ティーンから30代後半くらいまでですね。」

渋谷「そこで新曲は結構やったんですか。」

児島「4曲だけです。久々のライブなので、アゲアゲのみんながよく知っている歌をやらないといけないので。私も以前言いましたけれども、新曲は数曲で十分なので。」

渋谷「新曲の反応はどうでしたか。」

児島「歌詞を覚えて一緒に歌おうとしている客もいましたけれども、そのたどたどしいところがかわいかったです。」

渋谷「日本ではイギリスの爆発的な人気はいまひとつ伝わってこないんですけれども。」

児島「こっちではグラストンベリーとかレディングとか有名フェスのヘッドライナーが当たり前のバンドですよ。」

渋谷「そうですよね。本当に国民的なバンドで。」

児島「ライブも万単位の会場でやるんですよ。」

渋谷「彼らの人気の秘密というか原動力はあの分かりやすさなんですか。」

児島「そう。わかりやすさと庶民っぽさですね。最近売れているギターバンドって中産階級のちょっとお坊ちゃん系が多いじゃないですか。だからサッカーでもライブでも盛り上がれるようなこういうようなバンドがUKの男性には必要なんですよ。」

渋谷「その辺のポジションについて、メンバー自身は「俺たちはもうちょっと難しい感じでうけたいなぁ」みたいなそんな気持ちは全然ないんですか。」

児島「全曲作詞作曲しているサージ(Serge)はもうちょっと芸術的なバンドとして見てもらいたいようですけれども。そういう発言をしているインタビューをたまに見るんですけれども。あなたたちは自分達のことをもっと自覚したほうがいいですよって言ってやりたくなります。」

渋谷「曲を聞くと十分自覚してるのかなぁという感じもしますけれどもね。」

児島「そうですね。今作は開き直った感がありますね。もう高尚ぶらなくていいやみたいな。吹っ切れた感が潔いと思います。こんなこといったらまたサージに嫌われるんでそうけれども。」

渋谷「それでは最新モードのカサビアンを聞いていただこうと思います。You're in Love with a Psycho。」



パール・ジャム (Pearl Jam) 、ロックの殿堂入りをする

20170505

中村明美「毎年恒例のロックの殿堂に行ってきたという話題です。」

渋谷陽一「毎回毎回盛り上がりますよね。」

中村「はい。今年はエレクトリック・ライト・オーケストラ (Electric Light Orchestra) とジョーン・バエズ(Joan Baez)、ジャーニー (Journey) 、パール・ジャム (Pearl Jam) 、2Pac、イエス (Yes) 、ナイル・ロジャース(Nile Rodgers)という面子が殿堂入りしました。はじまりはさっそくチャック・ベリー(Chuck Berry)の追悼ではじまったという。それもELOが演奏してそれがすばらしくて感動的だったんですが、チャック・ベリーは実は初の殿堂入りを果たしたアーティストでして。」

渋谷「一回目がチャック・ベリーだったんだ。」

中村「そうなんです。」

渋谷「まさに記念すべきアーティストなんだね。」

中村「どうですね。それでその次にジョーン・バエズが出てきたのですが、さっそく今の政権にかみつくようなすごくかっこいいスピーチをして大喝采を浴びました。といいつつ、若い人は誰も私の事知らないわよね、私の孫ですら知らないから、という冗談をとばしていて、それはそれで盛り上がりました。ジャーニーはスティーヴ・ペリー(Steve Perry)が来ていたのでファンはパフォーマンスを見せてくれるんじゃないのかと期待していたんですけれども、残念ながらスティーヴ・ペリーはすばらしいスピーチをして感動的ではあったんですけれども、パフォーマンスは一緒にしなかったという、ちょっと心が痛むシーンがありました。パール・ジャムは初期のドラマーも招待していて、初期のドラマーと一緒にAliveを演奏したので、私は初期からのファンだったのでちょっとグッときてしまいました。レニー・クラヴィッツ(Lenny Kravitz)がプリンス(Prince)の追悼をして、レニー・クラヴィッツはプリンスと長年の友達でもあったので心のこもったよいパフォーマンスだなぁとそういう瞬間でした。残念だったのは、パール・ジャムの紹介を本当はニール・ヤング(Neil Young)がやるはずでしたが、病気でこれなくなってしまって、それがすごく心配でもありつつ、本来はニール・ヤングが来て全員でRockin' in the Free Worldを演奏する予定だったのが、ニール・ヤングがこれなくてニール・ヤング抜きでやったという、それはそれで盛り上がったのですが、今回殿堂入りしたバンドはどのバンドも、今も現役でツアーをやり続けているようなバンドばかりだったので、パフォーマンス自体はどれもすばらしかったのですが、最近アメリカで話題になっているのは定年した後もやっぱり俺が一番好きなのはロックだけだということで、ロックコンサートに行きまくっている60歳以上の人が非常に増えているということなので、殿堂入りした後のバンドも体に気を付けてファンのために演奏を続けてほしいなぁと、そういう思いで帰ってきました。」

渋谷「最後はすごく共感できるエピソードですねぇ。それでは感動のパフォーマンスが繰り広げられたという、パール・ジャムのナンバーを聞いてください。Alive。」


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