ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

アシュニコ(Ashnikko)に学ぶ海外の女性ミュージシャンは日本のセーラームーンが好きな人が多い説

20230909

 女性注目アーティスト、アシュニコの最新作を紹介したいと思います。もともとアメリカ、ノースカロライナ州出身なんですけれども、いろいろあって、イギリスでキャリアを積み重ねていた非常にユニークなヒップホップとロックとポップと何もかもを融合した、ある意味前衛的な、ある意味すごくポップな佇まいの、最近女性アーティストでこういうサウンドを出す人は多いですけれども、その中でも注目なアーティスト、アシュニコ。まずは一曲聴いてください。Worms。


 歌詞はちょっとゲームっぽい歌詞なんですけれども、実際に髪の毛をもうブルーに染め上げていて、かなりインパクトのあるルックスの女性シンガーなんですけれども、元々はすごく彼女自身は女性としての抑圧を受けたり、あるいはもういろんな形での疎外感を持って、それを持っている怒りを全てぶつけるという、怒りがエネルギーだっていうそういう創作姿勢の中で、最近はそれでも何かちょっと丸くなってきたというとか、最近のインタビューではそう言っていて、それがちょっとかわいかったりするんですけれども、でも徹底してそういう怒りが貫かれていて、そういう非常にハイパーの曲がわりと多くて、今のWormsなんかはかなりポップな曲の代表的なものなんですけども、続いてはChokehold Cherry Pythonという曲なんですけれども、これも前の曲が2分29秒だったんですが、これも2分40秒のタイトなナンバーなんですが、アシュニコで聴いてください。Chokehold Cherry Python。


 今年の3月に来日してライブをやってるんですけど、残念ながら僕は見逃してるんですけれども、すぐ盛り上がったみたいですね。日本が大好きで、彼女が一番好きな、なんと自分にタトゥーまで入れてるらしいんですけども、日本の代表的なキャラであるセーラームーンが大好きで、リド(Lizzo)もセーラーも大好きで、女性アーティストにセーラームーンはすごく受けてますよね。やっぱりあの格好で戦うというそういうイメージが、女性のアニメキャラとしてはすごく共感を呼ぶんじゃないかなと思います。

リアム・ギャラガー(Liam Gallagher)、ソロとして成功すればするほどオアシス(Oasis)ナンバーをライブで歌うようになる

20230826

 リアムギャラガーの最新ライブアルバム「KNEBWORTH 22」。2022年に行われたネブワース(KNEBWORTH)での17万枚即完という2日間ですけども、そういうリアムが凱旋というか、いわゆるドキュメンタリーが発表されておりまして、これがなかなかすごいです。そしてリアム・ギャラガーと言えば、先週、サマーソニックで堂々のライブを展開してくれまして、私も堪能いたしましたけれども、もう俺様感満載で、素晴らしかったわけですけれども、「KNEBWORTH 22」でもそうですけれども、サマーソニックでもMorning Gloryで始まり、そして最後はWonderwall、Champagne Supernovaという60分のセットリストの中でがんがんオアシス(Oasis)を入れていくっていう、それでガンガン盛り上がるというそういうセットリストだったんですけれども、思ったんですけれども、皆さんご存知のように、彼はソロになってから3作連続でナンバーワン獲得して、シングルヒットもガンガン出して、ソロとして成功すれば成功するほどセットリストの中でオアシスが増えていくような感じがするんですよね。こういうものなんだろうなと。まさに俺は俺で成功しているし、それでオアシスが期待されているならばガンガンやってやるぜというそんな好循環の中で、リアムワールドはどんどんどんどんでかくなっているというそんな感じがしました。サマーソニックでも大変盛り上がったナンバーでございますが、まずこれを聴いていただきたいと思います。リアム・ギャラガーでOnce。

 リアム・ギャラガーのライブ空間を支配する力っていうのは、もともとあった人ですけれども、それこそソロの成功というそういう背景が余計自信につながっていて、そのライブ空間を支配する力はもうどんどんどんどん増しているというそういう感じがします。やっぱり大きい会場でのリアム・ギャラガーっていうのは、本当に似合うなこの人はというそういう空間だという感想を持ちました。もう1曲「KNEBWORTH 22」から聞いていただきたいと思います。リアム・ギャラガーでSupersonic。

 cf.OnceとSuperdonicのライブ音源はありませんが、ネブワースの動画がありました。


 cf.ロバート・プラント(Robert Plant)がソロとして成功すると、レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)の曲をやるようになった事を思い出しますね。

  参考)、レッド・ツェッペリン再結成録(1) なぜ、ロバート・プラント(Robert Plant)はレッド・ツェッペリンの再結成をOKしたのか?

犯罪臭漂うヒップホップ、市が支援する文化になる

20230819

中村明美「ヒップホップ誕生50年ということで、ニューヨークが大変盛り上がっています。市長がコメントを出して、今年は盛り上げていきましょうということで、町中でいろいろなイベントが行われているんです。ヒップホップ誕生といってもいろいろな見方がありますけども、今回ニューヨーク市が盛り上げている理由は、一般的には1973年8月11日にブロンクスでDJクール・ハーク(Kool Herc)が高校生の妹のために夏休み中にパーティをして資金を稼いであげようということで、自分の家でターンテーブルを二つ並べてスピーカーを持っていって、それでパーティをやったことに始まったんです。この時にただ曲と曲を繋げるそれまでのDJではなくて、アルバムの中で一番客が盛り上がっているところだけをつなげていくという方法を生み出して、それが単なるDJからアーティストになったという、ブレイクダンスやMCがラップができるようになっていった理由になったということで、それが一応ヒップホップの始まりだというふうに多くの人たちが見ているので、それからちょうど50周年。8月11日がヒップホップ誕生の日ということで、ブロンクスで行われたので、ニューヨークが大変盛り上がっているけども、それに合わせていろいろなイベントが行われているんです。8月11日にブロンクスのヤンキースタジアムでNASからRun-D.M.C.、スヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)なども出演する大々的なイベントが行われるんですけども、それ以前に私も行ってきたんですが、あのLL Cool Jが主催したロック・ザ・ベルズ(Rock The Bells Festival)という、これは毎年主催しているのですが、今年はとりわけ50周年記念ということで、そこにもRun-D.M.C.が出てきて、それとかビッグ・ボーイ(Big Boi)が出てきてアウトキャスト(OutKast)の曲をやったりですとか、デ・ラ・ソウル(De La Soul)が最近ストリーミングが全曲できるようになって、デ・ラ・ソウルが出演したりして、お昼すぎから2万人が集まるような会場で行われたんですが、早くから夜の10時まで満員の観客が盛り上がり続けたという素晴らしいイベントでした。それ以外に例えば、ブルックリン出身のJay-Zがおりますけれども、彼が公立の図書館でライブをやっていて、それが素晴らしい内容で、公立の図書館なのでそんなにお金もないだろうって感じですけれども、彼自身の事務所がお金を全部出して、素晴らしいデザインで、もちろんラッパーなので音楽が大事ということもあるんですけども、だからこそ図書館というのはピッタリしていて、そこが彼の言葉で囲まれていて、すばらしい回顧展になっていました。そこで映像も流れていたりするんですけども、面白かったのはグラストンベリーに彼が出演したときに、オアシス(Oasis)のノエル・ギャラガー(Noel Gallagher)が、ヒップホッパーはグラストンベリーには違うだろっていう映像が思いっきり大画像で流れていて、そこで名な話ですが、ヒップホップはギターを弾かないからとノエルが言ったので、Jay-Zが1曲目でギターを弾いて、しかもオアシスのWonderwallで始めたというその映像と、その時弾いたギターがそこに展示されているんですけども、それはJay-Zという人が、HIPHOPのありえないだろうという場所に構わず演出してきたというか、壁を壊してきたということを象徴するような内容で素晴らしい展示です。近くの美術館でもできるような内容なんですが、図書館でやるとタダで誰でも入れるからということで、その気の遣い方も素晴らしいないう感じなんですが、そういう図書館まで展示がいろいろありつつも、現在は始まってから50年も経つヒップホップですが、最初は発明で始まったジャンルなので、未だにHIPHOPが進化し続けるというそこが素晴らしいのと、最近でも新しい才能が生まれて、まだまだ自分たちなりに発展し続けているということが、その歴史を見るおかげで今また分かるなという感じで素晴らしい祝い方になってると思います。」

 cf.Youtubeに動画がありました。


渋谷陽一「すごいなと思ったのは、いわゆる市が本当に全面的にバックアップしてるんですよね。」

中村「そうです。だから、図書館でもニューヨーク市の図書館もブルックリンの図書館でもやっているし、各地でそういった銅像が作られたりとか、もちろんさっきも言った通り市長もちゃんとコメントしていて、リンカーンセンターなども無料のDJが行われたりしていて、いろいろなレベルで祝われているところがさすがだなという感じです。」

渋谷「ですから、本当にニューヨークが生んだカルチャーとしてのリスペクトがすごくて、もともと犯罪的な臭いもある、そういった危険なカルチャーでもあったわけですけれども、それがここまで大きなすごい文化的な影響力を持つようになって、それをちゃんと公的な市がそれを認めて、50周年を祝うっていう、そういうことを力を入れてやっているってすごなと思いますね。やっぱりニューヨークってすごいと思いますね。

中村「やっぱり映画とかダンスとかファッションとかカルチャー全体に影響を与えるっているところもすごく支持されているとか祝われているところであり、今になってみれば、音楽シーンで最もメジャーな音楽にまでなったっていうところもあるんですが、犯罪に関わるっていうか、ギャングスタにも関わっていながらも、ヒップホップのパーティーがあったおかげで犯罪率が減ったという統計も出ていたりして、いい方向にも使われているということがその方向でも認められていると思います。」

渋谷「それではその話題のロック・ザ・ベルズでも大盛り上がりであったナンバー、Run-D.M.C.で聴いてください。 It's Tricky。」


日本だと女性アーティストは若くてかわいいアイドル系が求められるので、実力がある日本人女性は海外に行こう!!

20230805

児島由紀子「日系スウェーデン人女性のユキミ・ナガノという人がいるバンド、リトル・ドラゴン (Little Dragon)が最新作をリリースしたので紹介したいと思います。」

渋谷陽一「これはどんなバンドなんですか。」

児島「お父さんが日本人でお母さんがスウェディッシュ系のアメリカ人で、ユキミ・ナガノはスウェーデンで生まれたんですよ。なのでイギリスではスウェーデンのバンドで捉えられているんですけれども、昨今のリナ・サワヤマ(Rina Sawayama)とかスーパーオーガニズム(SUPERORGANISM)のオロノ(Orono)とかが欧米音楽シーンで受け入れられるその基盤を作った走りみたいな人ですよね。」

渋谷「むしろその人達に続くんじゃなくて、この人たちがまずいたっていう感じですよね。」

児島「そうですよ。だって、このバンドは結成したのが96年で、始めてアルバム出したのが2007年。それでゴリラズ(Gorillaz)の「Plastic Beach」っていうアルバムありましたよね。このアルバムにもユキミ・ナガノが2曲参加して、ソングライティングも一緒にやっているんです。デーモン・アルバーン(Damon Albarn)と一緒に。だから非常に実力派なんですね。」

渋谷「フェスにも出てるし、全米チャートでもそれなりなポジションを獲得したりしてすごいですよね。」

児島「そう。前作はグラミーにノミネートされたりしてますからね。」

渋谷「そうなんですよね。日本での知名度はそれほどありませんけども、世界的には認識されている、そういう素晴らしいバンドなんですね。

児島「日本よりも欧米の方でリスペクトされてるかもしれないですね。

渋谷「本当にそんな感じです。」

児島「日本って女性アーティストは若くてかわいいアイドル系に行ってしまうじゃないですか。日本人の音楽ファンって非常に幼稚だと思うんですね。実力派バンドはどう受け入れていいのか分からないっていう感じだと思うんです。

渋谷「でも大丈夫です。このアルバムは絶対受け入れられると思います。日本人の名誉にかけて一生懸命応援します。

児島「イギリスやアメリカではもう十分リスペクトされているバンドなので、日本でももうちょっと行ってほしいなと思って。」

渋谷「イギリスにおいてはやっぱり、特に日本人女性がボーカルというか日系人女性がボーカルというよりも、スウェーデンの非常にエッジの立ったダンスバンドというか、インディーバンドっていうそういう認識ですね。」

児島「そうですね。彼女達が走りだったわけですよね。UKシーンの場合は。それで、彼女がそういう受け入れられるエリアの基盤を作ったって感じですよ。」

渋谷「いろいろな人たちにリスペクトされている存在でもあるんですよね。」

児島「そうなんです。最近イギリスで売れているねリトル・シムズ(Little Simz)って言う女性ラッパーがいるじゃないです。マーキュリー賞も取った実力派ラッパーなんですけど、彼女の作品にもユキミ・ナガノがコラボしているんですね。」

渋谷「このアルバムにもデーモン・アルバーンは入っているんですよね。」

児島「そうなんです。「Plastic Beach」からの付き合いだから。デーモンもそういう系の女性が好きなので、多分でユキミ・ナガノの非常にユニークな音楽性を随分前から高く評価していたので、今回の作品でも喜んでコラボ参加したみたいですね。」

渋谷「この作品も本当に素晴らしくて、より一層彼らの音楽世界が洗練されてきてタフになってきているなという感じがしますけれども、イギリス本国の方でもやはり高い評価を得ているのでしょうか。」

児島「非常にあれですよ。昔から評論家の評価が高いバンドではあったんですね。」

渋谷「じゃあもう当然のごとく高い評価を得られるというそういうポジションに彼らはいるわけですね。」

児島「もうずっと前から、数年前からいます。」

渋谷「分かりました。じゃあ、児島さんに厳しく、幼稚だなんて言われないように。」

児島「実力派女性がもっと日本でも受け入れてほしいと思います。」

渋谷「分かりました。頑張って番組で応援したいと思います。」

渋谷「ひどいですね。日本人は幼稚だといわれちゃいましたけれども、児島さんあなたも日本人なんですけどってとこなんですが。でもイギリスに行って相対化されているのかもしれません。日本という国が。素晴らしいバンドです。聴いていただきたいと思います。Tumbling Dice。」





ロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)、セルフカバーしたMoneyでギターを使わない

20230729

 ロジャー・ウォーターズが「The Dark Side of the Moon」のセルフカバーして発表したMoney。これが衝撃で、なんじゃこりゃっていう感じだったんですけども、きっと聴いた方みなさん同じような感想を持ったのではなかろうかと思います。ロジャー・ウォーターズもこの企画を「どうです。あの「狂気」のカバーやりませんか」と言われて、「何言ってんだ」って言って最初は全然相手にしなかったみたいなんですけど、「いやいやちょっと待てよ。こういうアプローチならいいんじゃないか」というそういうアイデアが浮かんで作ったわけですけれども、確かにこれはこの2023年の今、それこそ80年代の史上空前のアナログレコードの売れた枚数においては本当に世界一と言っていいぐらいそれに近い数字を記録しているのではないだろうかというこのアルバムをカバーする意味があったのかなというそんな気もします。一種の批評ですよね。もともとカバーというのはそうなんですけども、それにしても明確に「狂気」という史上空前のアルバムを作った本人自身が長い時間を経てやるというのは、こういうアプローチならば意味があるのではないだろうかというそういうものになっているんじゃないかと、ものすごく他の曲を聴くのが楽しみと同時に怖いっていう感じがしますよね。どんなことやってんだろう。ロジャー・ウォーターズ、1曲でこれだけだから全部すごいアルバムだから全部聴くとすごいんじゃないだろうかと。ギターを使っていませんでしたね。デヴィッド・ギルモア(David Gilmour)のギターで我々は記憶している曲やパートがいっぱいあるんですけど、そんなところも含めてロジャー・ウォーターズ怖いぞと。


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