音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

UKロック最後の砦、カサビアン(KASABIAN)

20170512

児島由紀子「3年ぶりのニューアルバムを出すカサビアンについてです。」

渋谷陽一「イギリスではすごい人気ですよね。」

児島「そですよ。UKロック最後の砦みたいな感じですよ。オアシスなき後のワーキング・クラスのUK男子にはこのバンドしかないだろうって。」

渋谷「みんなで盛り上がれる分かりやすいロックですからね。」

児島「そうですね。非常に間口が広いので。」

渋谷「この3年ぶりの新作はどんな感じなのですか。」

児島「非常にポップなんですよ。今回は。」

渋谷「僕もききましたけれども、これは売れるなぁって。」

児島「キラーチューンばっかりじゃないですか。最新ライブを見たんですけれども、今回は新曲お披露目ライブだったのに2500人くらいの所でやったんですけれども、ものすごく混んでいました。ライブでもダフトパンクの曲を挿入したりだとか、非常にアップツーデイトな感じでやっているんですよ。」

渋谷「お客さんはどういう感じの人達が多いんですか。」

児島「若いですよ。メンバーもまだ30代になったばかりだし。ティーンから30代後半くらいまでですね。」

渋谷「そこで新曲は結構やったんですか。」

児島「4曲だけです。久々のライブなので、アゲアゲのみんながよく知っている歌をやらないといけないので。私も以前言いましたけれども、新曲は数曲で十分なので。」

渋谷「新曲の反応はどうでしたか。」

児島「歌詞を覚えて一緒に歌おうとしている客もいましたけれども、そのたどたどしいところがかわいかったです。」

渋谷「日本ではイギリスの爆発的な人気はいまひとつ伝わってこないんですけれども。」

児島「こっちではグラストンベリーとかレディングとか有名フェスのヘッドライナーが当たり前のバンドですよ。」

渋谷「そうですよね。本当に国民的なバンドで。」

児島「ライブも万単位の会場でやるんですよ。」

渋谷「彼らの人気の秘密というか原動力はあの分かりやすさなんですか。」

児島「そう。わかりやすさと庶民っぽさですね。最近売れているギターバンドって中産階級のちょっとお坊ちゃん系が多いじゃないですか。だからサッカーでもライブでも盛り上がれるようなこういうようなバンドがUKの男性には必要なんですよ。」

渋谷「その辺のポジションについて、メンバー自身は「俺たちはもうちょっと難しい感じでうけたいなぁ」みたいなそんな気持ちは全然ないんですか。」

児島「全曲作詞作曲しているサージ(Serge)はもうちょっと芸術的なバンドとして見てもらいたいようですけれども。そういう発言をしているインタビューをたまに見るんですけれども。あなたたちは自分達のことをもっと自覚したほうがいいですよって言ってやりたくなります。」

渋谷「曲を聞くと十分自覚してるのかなぁという感じもしますけれどもね。」

児島「そうですね。今作は開き直った感がありますね。もう高尚ぶらなくていいやみたいな。吹っ切れた感が潔いと思います。こんなこといったらまたサージに嫌われるんでそうけれども。」

渋谷「それでは最新モードのカサビアンを聞いていただこうと思います。You're in Love with a Psycho。」



パール・ジャム (Pearl Jam) 、ロックの殿堂入りをする

20170505

中村明美「毎年恒例のロックの殿堂に行ってきたという話題です。」

渋谷陽一「毎回毎回盛り上がりますよね。」

中村「はい。今年はエレクトリック・ライト・オーケストラ (Electric Light Orchestra) とジョーン・バエズ(Joan Baez)、ジャーニー (Journey) 、パール・ジャム (Pearl Jam) 、2Pac、イエス (Yes) 、ナイル・ロジャース(Nile Rodgers)という面子が殿堂入りしました。はじまりはさっそくチャック・ベリー(Chuck Berry)の追悼ではじまったという。それもELOが演奏してそれがすばらしくて感動的だったんですが、チャック・ベリーは実は初の殿堂入りを果たしたアーティストでして。」

渋谷「一回目がチャック・ベリーだったんだ。」

中村「そうなんです。」

渋谷「まさに記念すべきアーティストなんだね。」

中村「どうですね。それでその次にジョーン・バエズが出てきたのですが、さっそく今の政権にかみつくようなすごくかっこいいスピーチをして大喝采を浴びました。といいつつ、若い人は誰も私の事知らないわよね、私の孫ですら知らないから、という冗談をとばしていて、それはそれで盛り上がりました。ジャーニーはスティーヴ・ペリー(Steve Perry)が来ていたのでファンはパフォーマンスを見せてくれるんじゃないのかと期待していたんですけれども、残念ながらスティーヴ・ペリーはすばらしいスピーチをして感動的ではあったんですけれども、パフォーマンスは一緒にしなかったという、ちょっと心が痛むシーンがありました。パール・ジャムは初期のドラマーも招待していて、初期のドラマーと一緒にAliveを演奏したので、私は初期からのファンだったのでちょっとグッときてしまいました。レニー・クラヴィッツ(Lenny Kravitz)がプリンス(Prince)の追悼をして、レニー・クラヴィッツはプリンスと長年の友達でもあったので心のこもったよいパフォーマンスだなぁとそういう瞬間でした。残念だったのは、パール・ジャムの紹介を本当はニール・ヤング(Neil Young)がやるはずでしたが、病気でこれなくなってしまって、それがすごく心配でもありつつ、本来はニール・ヤングが来て全員でRockin' in the Free Worldを演奏する予定だったのが、ニール・ヤングがこれなくてニール・ヤング抜きでやったという、それはそれで盛り上がったのですが、今回殿堂入りしたバンドはどのバンドも、今も現役でツアーをやり続けているようなバンドばかりだったので、パフォーマンス自体はどれもすばらしかったのですが、最近アメリカで話題になっているのは定年した後もやっぱり俺が一番好きなのはロックだけだということで、ロックコンサートに行きまくっている60歳以上の人が非常に増えているということなので、殿堂入りした後のバンドも体に気を付けてファンのために演奏を続けてほしいなぁと、そういう思いで帰ってきました。」

渋谷「最後はすごく共感できるエピソードですねぇ。それでは感動のパフォーマンスが繰り広げられたという、パール・ジャムのナンバーを聞いてください。Alive。」


ジョン・メイヤー(John Mayer)に学ぶ、男は恋愛を引きずり女はすぐ忘れる説

20170505

 ジョン・メイヤーの新しいアルバム「The Search for Everything」を紹介したいと思います。前作から約3年半ぶり、非常にながいインターバルのもとにようやく届けられた彼の7枚目のアルバムです。出すアルバム出すアルバムで全米ナンバーワン、グラミーもとり、シンガーソングライターとしての高い評価も得ている上に、アメリカを代表するロックマガジンからジョン・フルシアンテ(John Frusciante)とデレク・トラックス(Derek Trucks)とともに現在の三大ギタリストとしての評価も得て、そしてあのルックスですよ。もう本当にないものは何もないというそういう素晴らしいアーティストなんですけれども、と同時に大変大変もてるという。いろいろなハリウッド女優と浮名を流しているという。3年半のインターバル。傷心の時期をすごしてようやくこのアルバムが作られました。いろいろなところで報道されていますけれども、ケイティ・ペリー(Katy Perry)とずっと付き合っておりまして、その恋がやぶれ、恋愛が終わり、彼はひたすらその恋の終わりに傷ついて、ボロボロになって、そのボロボロになっていることをエネルギーにして、このアルバムを作りました。すごいです。もう失恋の事しか歌われていない。そういうアルバムを作り上げました。だからこそエモーショナルな作品になっておりますけれども、まずアルバムの一曲目を聞こうと思います。Still Feel Like Your Man、まだ君の男だっていう気分がするよっていう、いきなりみじめったらしい曲ではじまるんですけれども、このアルバムをこの曲からはじめるという彼の覚悟はすごいです。

  今でもシャワーの所に君のシャンプーをとっておいてある
  君が髪を洗いたくなった時のためにね
  わかっているんだ
  君はきっとどこかでもっとたくさんのシャンプーを手に入れているっていうことは
  でも別に気にしないさ
  だってそこに置いてある限り今でも自分が君の男みたいな気がしているから
  いまでも君の男みたいな気がしている
  今でも君の名前に使われている文字やその感触が好きなんだ
  今でも君みたいな人にはもう二度と出会えないと思っている
  今でもパーティーをはやく抜け出して家に帰るのが好きなんだ
  わかってくれよ
  僕にとってここにひとりぼっちで座っている方がまだましっていうことを  


 非常に未練がましい歌詞の曲ですけれども、曲、メロディー、アレンジの佇まいは非常にモダンというか、昔懐かしいフィラデルフィア・ソウル(Philadelphia soul)をまたそれをボズ・スキャッグス(Boz Scaggs)がリバイバルしたみたいな、そういうような佇まいのサウンドデザインで、おしゃれですよね。こういうような未練がましい曲がいっぱい続いて、三曲目にはHelplessというタイトルからして分かるものなんですけれども、

  助けてくれ
  助けてくれ
  助けてくれ
  打ち砕かれてしまいそうな
  もし僕が救いようがないのなら
  今すぐに教えてくれ
  今すぐに教えてくれ
  今すぐに教えてくれ
  もし僕に救いようがないのなら
  もし僕に救いようがないのなら
  もし僕に救いようがないのなら・・・


 
 と延々歌詞が続くような曲があるんですけれども、アルバムが進行するにつれてこういう失恋物語アルバムというのは時系列的にものが進んでいくんですけれども、少しづつ心が痛んでいるけれどもなんとか変わらなければというそういうステージに進んでいって、まさにタイトル通りChanging、変わっていくというタイトルのナンバーが登場します。続いてはそれを聞こうと思うんですけれども、

  僕の変化はまだ終わっていない
  刻々と変わっていこうとしているんだ
  僕は年老いているかもしれないし
  若いかもしれないけれども
  僕の変化はまだ終わっていない
  走ることをやめた仲間たちもいれば
  家に帰った仲間たちもいた
  家がない仲間たちもいるから
  自分達の家を建てよう
  柵の向こう側で友達が怪訝そうな顔で僕を見ている
  何時になったら僕が我に返るのだろうかと思いながら
  だけど僕は今も変わり続けている
  そしてこの生き方を変えるわけにはいかないんだ
  時間が僕に語りかけてくる
  耳元でささやいてる
  心の赴くままに生きなさい
  胸が張り裂けるまで
  だけど心は変わり続けるもの
  心は変わり続けるものなんだ



 このように傷つき悩み心が張り裂けたジョン・メイヤーもアルバムの最後に回復に向かっていきます。この手のアルバムの一つの定番の物語ですけれども、アルバムのラストナンバーがYou're Gonna Live Forever in Meというまだ引きずっている感のあるタイトルですけれども、でも自分なりに恋愛の終わりに決着をつけようとそういう気持ちが表現されたナンバーでこのアルバムは閉じられます。まさに失恋大物語みたいなものが展開されるんですけれども、そのエンディングに流れるタイトルクレジット。まさにそんな曲です。

  巨大なビッグバンと恐竜たち
  火の雨そして流れ星
  みな残念ながら終わりがあるものだけれども
  君はいつまでも僕の中に生き続けるだろう
  約束するよそのうちわかるさ
  僕の一部は君によって作られた
  そして惑星たちもお互いの距離を保ち
  月は潮の満ち引きを担っているんだ
  そして君はいつまでも僕の中に生き続けるだろう
  約束するよそれが君の運命なんだ
  人生は甘い過ちに満ちている
  その中でも愛は誠実なもの
  時間は木に実りを残してくれないけれども
  君はいつまでも僕の中に生き続けるだろう
  約束するよそうなることになっているんだ
  そして彼が君と結婚できない理由を
  牧師が信者たちに尋ねてくるときは
  僕は約束と自分の責務を守るよ
  それでも君は僕の中に生き続けるだろう
  約束するよそのうちわかるさ



 やっぱり恋愛を引きずるのは男で、さっさと忘れちゃうのは女ということは長く言われておりますけれども、こういうアルバムを聴くとやはりこれは真実なのだろうかと思います。

ウィリー・ネルソン(Willie Nelson)、まだ死んじゃいない!

20170512

1、トランプ政権は削除して早送りをしよう!

 ウィリー・ネルソンの新作「なんてこったい!(God's Problem Child)」、これが直訳なんですけれども、そういうアルバムを紹介したいと思います。なんと御年84歳。84歳の誕生日にリリースされた、すばらしいアルバムです。ウィリー・ネルソンというのはカントリーミュージック界の神のような存在で、と言ってもウィリー・ネルソンというのは当初はカントリーミュージック界でもすごく異端の存在であったわけですけれども、そこから彼自身のあまりもの業績によっていまの本当に神のような地位を手にするようになったわけでございます。でも、その地位にいながらすごく自由で、そしていつもロックで、フリーキーで、そういう活動を続けております。アメリカのアーティストの多くがトランプ政権に対してどう向き合うのかを大きなテーマにしているんですけれども、ウィリー・ネルソンの作品もそういう作品になっています。ウィリー・ネルソンは民主党の候補者たちを積極的に応援して、ハッキリとしたステートメントを出していったわけですけれども、残念ながら彼が応援する大統領候補は大統領にはならず、その現実をふまえてどういう歌を歌うのかというと、「削除、そして早送り(Delete And Fastforward)」というメッセージを彼は歌っております。まずはその曲から聞こうと思うんですけれども、

  友よ削除して早送りをするんだ
  戦いはすっかり終わり勝者は誰もいない
  だけどそんなに心配するなよ
  削除したさっさと先に進むんだ
  息子よ削除して早送りするんだ
  選挙は終わったものの勝者はいない
  お前はすべてが終わりつつあると思っているけれども
  まだ始まったばかり
  だから友よ削除してさっさと先に進むんだ
  そのニュースを削除して早送りするんだ 
  真実は真実
  だけど自分が選んだものを信じるんだ
  俺たちが全世界を始まった時まで吹っ飛ばしてくれる時が
  とにかく削除してもう一度早送りするんだ
  俺たちはすばらしくなれるチャンスがあったのに
  また封印しちまった
  だから友よ削除して早送りするんだ
  削除してもう一度早送りするんだ



2、ウィリー・ネルソン、まだ死んじゃいない!

 音もモダンだし、なによりもこのユーモアの感覚、そして底抜けの楽観主義。最高ですよね。そういうウィリー・ネルソンのキャラが爆発している曲を聞くんですけれども、Still Not Dead。知ってらっしゃる方もいるかもしれませんが、いわゆるフェイクニュースとしてウィリー・ネルソンが亡くなったという情報が全世界に広がったわけですね。信じている人もすごく多くて、それに対して「いやいや、俺は死んではいないし」っていうナンバーをウィリー・ネルソンは作っております。

  目が覚めたけれども今日もまだ死んではいない
  インターネットによると永眠したことになっている
  死んだとしてもじっとしているほど死んじゃいなかったんだなぁ
  だから目が覚めて今日もまだ死んじゃいないってわけさ
  目が覚めたら今日もまだ死んではいなかった
  ニュースじゃ俺が残念ながら死去したって言ってたけれども
  埋葬しないでくれよショーをやらないといけないんだから
  それに目が覚めたら今日もまだ死んじゃいなかった
  昨日二度死んだ夢を見た
  だけど目が覚めたら今日もまだ死んじゃいなかった


  
3、ウィリー・ネルソン、死と向かい合う

 最高ですよね。本当に生きる勇気が湧いてきますけれども。ただ、84歳という年齢と向き合った凄く深い、ある意味人生の終焉をうかがわせるような曲も、実はたくさんあります。そういう曲の中から今回はOld Timerという曲を選ばせてもらいました。

  あんたが活躍したのはいい時代だった
  だけど世の中はあんたを追い越しつつあるようだ
  懐かしい親父の時間はずっと流れ続けていて
  あんたは未だに生気にあふれていて歌う歌もあるのに
  かつて恋に落ちたあんたは彼女の顔忘れられない
  だけど彼女の名前は思い出せない
  彼女は美人で輝く星そのものだったけれども
  あんたが見てない時に裏切りを働いた
  あんたはハイウェイというハイウェイをぶっ飛ばし
  後には引かせない状況を作って許しを見出した
  自分じゃまだ若いロデオライダーだと思っているけれども
  それも鏡をのぞき込んで時代遅れの人間を見つけるまでのこと
  一人また一人とあんたの友達は死んでいった
  慈悲を求めもうあと二三日と祈るあんた
  頭の中にはまだ夢があるけれども
  ベッドから起き出すだけでも大ごとっていう日もあるのさ
  もう過去の人間なんだ


チャック・ ベリー(Chuck Berry)、ギャラは前金じゃないと働かない

20170505

 チャック・ベリーについて僕は印象的な話がありまして、来日をした時に彼の来日公演にかかわったスタッフから聞かされたエピソードで、「渋谷さん、チャック・ベリーは前金じゃないと働かないんですよ。」って。一回一回ライブをやる時に、前金でこのギャラをくれって言うらしいんですよ。一種の都市伝説なのかどうかわからないんですけれども、今日のギャラをちゃんともらって、じゃあ演奏するかって。ショービジネスの基本だなぁって。テレビに出る時にも今日のギャラは事前にちゃんとよこせって。昔からそういうやり方で一個一個の営業的な項目を彼はこなしてきて、その中でショービジネスの基本みたいなものを自分の中で体現して、ギャラ相当分のゴキゲンなロックンロールを聞かせてやるぜみたいな、そういう彼自身の生き方。なんとなくいいなぁという感じがします。

 チャック・ベリーは2017年3月18日に亡くなりました。享年90歳。

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