ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

ドリーム・シアター(Dream Theater )、第二の金字塔をたてる

world rock now 20011221

伊藤政則「ドリーム・シアターのニューアルバム。前作は「Metropolis Pt. 2 : Scenes From A Memory」というコンセプトアルバムで、非常に絶賛されて世界的にもセールス的にも大成功をおさめたアルバムで、彼らの最高傑作、金字塔といわれているアルバムなのね。」

大貫憲章「じゃあこれ(Six Degrees Of Inner Turbulence)は駄作ですか。」

伊藤「金字塔の次ぎね。最高傑作の次ぎはすごく難しい。」

大貫「金字塔をたてちゃったら次ぎはないからなぁ。」

伊藤「これはね。第二の金字塔。俺ね、驚いたんだよ。」

大貫「「Milestones」みたいなものだったんだな。」

渋谷陽一「あきれてものがいえないよ・・・。」

伊藤「曲聞いてないのにあきれるんじゃないよ!!本当にね、進化の先にまだ進化があった。自分たちがそれを乗り越えているという。まあ聞いてみてください。」

渋谷「13分52秒もあるんですけど・・・。もうちょっと準備させてくれよ・・・。今からおびえてるんだけど・・・。」

大貫「どの変が聞き所なんですかね。」

伊藤「全部です。」

大貫「トイレ行こうと思ってる人もいるからさぁ。行けないじゃないですか。」

伊藤「これはね。ストーリーになってるんですよ。原子心母(Atom Heart Mother)だってEchoesだって一つのコンセプトだったわけでしょ。安心してください。今度のアルバム一番長いので40何分っていうのもあるんですよ。それはやめました。」

大貫「番組終わっちゃうからね。」

伊藤「非常にライブで再現するのも苦労するくらいギターとかキーボードとかもがんばってる・・・。」

大貫「やんなきゃいいんじゃないんですかね。」

伊藤「何をいってるの。彼らは苦労するような曲を作ってそれをライブでやるのが・・・。」

大貫「苦労したいんだ!!」

伊藤「そうそう。バークリー音楽院出身ですよ。」

大貫「苦労人だ。必殺苦労人。」

伊藤「・・・。じゃあ曲行きます。ドリーム・シアターでThe Glass Prison。」




渋谷「ちゃんとリスナー起きてたかなぁ。」

伊藤「なにいってんのよ。君達ちゃんと起きて首振ってたじゃないのよ。」

渋谷「ミキサーの人がこの手のものが好きで完全に世界に入っていたんですけれども、私は世界に入れなかったんですけれども。」

伊藤「渋谷聞いてて、ここはキング・クリムゾン(King Crimson)だな、ここはELPかとかね言ってたじゃない。」

渋谷「引用ばっかりなんだよ。だから創造性が全然ないしなぁ。」

伊藤「君達もどっかでおわってるよ。こんなに創造性をかき立たせる・・・。」

渋谷「どこに創造性があるんだよ。引用ばっかりじゃないかよ。」

伊藤「いずれにしても彼らはピンク・フロイド(Pink Floyd) だとかラッシュ(Rush)だとかそういうプログレとメタリカ (Metallica)みたいなのが好きで、この二つをあわせたことをやっているわけでありますけれども。」

渋谷「やっぱり引用じゃないかよ。あわせてやってるっていうから。」

大貫「言葉尻がすきでしょ。」

渋谷「ただラッシュっていうのは分かるね。非常にラッシュっぽいよ。」

大貫「嫌味な言い方するねぇ。」

ジョー・ストラマー(Joe Strummer)に学ぶパンクロッカーの正しい老い方とは?

world rock now 20011221

 ジョー・ストラマ-&ザ・メスカレロスでJohnny Appleseed。



 パンクミュージシャンが年を取っていく形としては最も正しい形の一つだと思いますよね。パンクという形にこだわることもなく、あるいはパンクというものの拡大再生産をするわけでもなく、しかしやっぱり反体制的な常に主流に対してアンチであり続けるその姿勢を保ちながら、しかも年齢相応の事をやっていくというやり方としてはこのジョー・ストラマーのやり方はいいなぁという気がします。


 この年の翌年の2002年にジョー・ストラマーは亡くなりました。享年50歳。



宮崎駿氏に学ぶ大衆的な表現とは?

world rock now 20011218

 ビヨーク(Bjork)でHidden Place。


 
 すばらしい作品だと思います。ただ、ビヨークのライブを見ていても本当にすばらしかったんですけれども難しいですよね。やっぱりかなり高級なものになってしまっていて、それは仕方がない部分もあるんですけれども、基本的にロック・ポップミュージックというのは敷居が低くないと僕はダメだと思うんですよね。意図的に高くしようとは思っていないんでしょうけど、自分の必然性の中からこういうスタイルが生まれてきてしまって、アーティスティックなクオリティーからこういう敷居の高さが生まれてきてしまっているんでしょうけど、ただやっぱりポップミュージックの大原則は敷居の低さだと思うんで、そこをどう克服していくのか。やっぱり感心していちゃだめですよね。一緒になって楽しめなきゃ。宮崎駿さんにインタビューしたと時に宮崎さんがよく言うんですけれども、大衆的な表現とは敷居が低くて、そしてその表現から出てきた時に知らない間に高い所まで行って、出てきたら地面より高い所に来ていたなというそこが一番すばらしんだと。これを宮崎さんはディズニー批判に使われるんですけれども。ディズニーの映画は敷居の低いところから行って結局同じところに出てくるんだよなぁって。ビヨークのこの作品はいきなり敷居の高いところから高いところで出て行けるというところが、すばらしいんですけれども三部構成になったビヨークのウェルメイドなコンサートを見ているときに思った感想であります。



ジョージ・ハリソン(George Harrison)はビートルズの恩恵を一番受けビートルズに一番苦しめられた説

world rock now 20011207

 ジョージ・ハリソンというのはビートルズの中において特異なポジションにあったと思います。簡単に言ってしまうとビートルズのメンバーであったことを一番ラッキーに享受をした人であり、ビートルズのメンバーであるということに一番苦しめられた人という両方が言えると思います。ジョン・レノンとポール・マッカートニーはあまりにも巨大な才能であり、ビートルズというグループを持たなかったとしても当然ポップミュージック史に巨大な足跡を残したアーティストだったでそう。しかし、ジョージ・ハリソンはビートルズがなければ、すごく才能のある人ですけれども、そこそこのミュージシャンとして終わったのではないでしょうか。それこそ、亡くなったことが全世界的なニュースになるということはひょっとするとなかったのではないのでしょうか。そして、それをジョージ・ハリソンは誰よりも理解していて、その中で戦って見事克服したとまではいえないですけれども、それとうまく折り合ってがんばった人だと思います。インドに一時バンドとして傾倒したときに、誰よりもはやく傾倒したのがジョージ・ハリソンで、まさにあの時期彼はビートルズである自分に一番悩んでいてその救いを求めていたという意味でも、すごく象徴的な出来事だったんじゃないかなという気がします。しかし彼はその強大なストレスの中で自分自身の音楽的なアイデンティティを徐々に獲得していって、そして彼としてはベストの業績を残してポップミュージック史にビートルズという以外のジョージ・ハリソンというクレジットにおいての仕事を残すことができたんじゃないかなぁという気がします。58歳ということは改めて最年少のビートルズであることを思い知らされ若かったんだなぁという思いがいします。ビートルズ時代のジョージ・ハリソンが手がけたナンバーで私のもっとも好きなナンバーを聞いてください。Think For Yourself 。


ミックジャガー(Michael Jagger)に学ぶロックの不思議とは?

world rock now 20011116

 ミックジャガーの4枚目のソロ作「Godess in the Doorway」からまずは一曲聞いてください。Lucky Day。



 典型的なミック・ジャガー節というのかストーンズ節というのかが思いっきり堪能できるナンバーでしたけれども、これはアルバムにミック・ジャガー自身のコメントが付いていまして、このLucky Dayというナンバーは「ロサンゼルスに長くとどまりすぎたある人間について歌った曲。まあ、僕のことではないけど似たような経験もあるぜ。」というコメントがついていまして、どういう歌詞かといいますと、

 ファンタジーの中で生きている
 もう愛にやられてしまった僕を
 こんなところから脱出するには
 この街から離れるしかない
 この街から離れる日 それがLucky Dayさ

 という詞で、ミックジャガーにとってもロサンジェルスはファンタジーの世界でそこに長くすんでるとこの街の毒気にやられてしまうみたいですね。聞いていただいたように、本当にストーンズ節ミック・ジャガー節が爆発しているアルバムでございまして、当初ミック・ジャガーのソロというのは何かと物議をかもしたもので、本当にストーンズ解散してしまうんじゃないのかという話もあったのですが、今やある一定のペースで自分自身のソロ活動をストーンズとは別にやっていくという彼自身のタイムテーブルができているみたいですね。ですから今はストーンズがおやすみの時期でミックがこういうソロ作を出すというのはストーンズファンにとってもうれしいし、決して不安材料ではないと。そういう感じでペースができてくるにしたがってこのミック・ジャガーのソロの世界観もだんだん安定して出てきて、僕はジャケット見た時にあまりにもB級な展開にこれはひょっとするときついアルバムじゃないかなぁと思ったんですが音はすごくいいですよね。というか非常に音楽評論家っぽくない安直な表現を使うとストーンズっぽいアルバムになっています。もっと音楽評論家っぽくない安直なことを言いますと、この曲ならストーンズでやってくれよなぁという気も無きにしも非ずなんですが、そんなこと言うとミック・ジャガーに怒られてしまいますね。次ぎはロックミュージシャンがスーパースターであることをコミカルに歌ったナンバーで、実にまたハリウッド的な世界観で、こんなところにいるともうたまったもんじゃないっていう歌詞で、「ミック・ジャガーってそういう世界が好きだったんじゃないかなぁ」という気がしないでもないですが、そういう気分を歌ったナンバーであります。Everybody Getting High。



 前にも言いましたけど最初にソロアルバムを作った時は結構、これストーンズやばくないかという時期のソロで、そしてツアーまでやってしまいまして日本にもやってきたんですけれども、そのときに思ったんですが、本当にバンドっていうのは不思議だなぁって。要するにミック・ジャガーはローリングストーンズのルーズなところがあんまり好きじゃなくて、基本的にはビジネスマンできっちり物事を進めるのが好きな人なんですよね。だからツアーメンバーも当然のこと超一流のバリバリのミュージシャンを集めてストーンズナンバーもやったんですが、どう考えても一人一人のスキルはストーンズの個々のメンバーよりもより上なんですが、ところが良くないんですよねぇ。やっぱりいくらうまくてもダメなんですね。歌っているのはミック・ジャガーだからいいだろうと思うんだけど、これが不思議なものでストーンズのグルーブというものは全くでないんですよね。そうすると何をやっても面白くないという不思議な体験を私はしたことがありまして、ロックの不思議ですね。このアルバムにはそういうフラストレーションはないというか、まあストーンズでなったらどういう感じかなぁという願望はあるんですが、これはこれで完成された作品になっております。バラードもあります。Too Far Gone。




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