音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

マリリンマンソン(Marilyn Manson)に学ぶロックで一番大切なこと

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 まずはマリリンマンソンの最新作から聞いてください。I Want To Disappear。


 マリリンマンソンの最新作。今度はですね、前作で非常に物議をかもしだしたANTICHRIST SUPERSTAR。そして今回はMechanical Animalsとそういうコンセプトになってきております。マリリンマンソンはアメリカでは大変なスーパースターでレコードもものすごく売りますし、コンサートの動員もめちゃめちゃあります。しかし、常に彼自身の行動とか作品というのはいろいろな論議をかもしだしているわけであります。前作、まさにアルバムタイトルになっていますようにアンチクライシストスーパースターということで、いわゆるアンチキリスト教的なメッセージが非常に強くでていて、敬虔なキリスト教の信者の方々からはコンサートボイコット運動とか、十分に予想されたことですけれどもそういう行動が起きたり、彼自身のショックロックといわれている非常にショッキングな演出や歌詞のメッセージも非常に道徳的によろしくないということで、一般的な世論からの反発というのが非常に強くありますね。そういう反発が強くなればなるほどファンは余計にマリリンマンソンに対する支持を高めるという相互の熱のいれようというのがあって、マリリンマンソンの場合は常にスキャンダルが渦巻いているという感じです。確かにマリリンマンソンの佇まいというのは非常にショッキングですし、彼のうちだすメッセージというのはものすごいですし、それから彼自身がなぜそうなったのかとう数多くのエピソードもすごく刺激的であります。ただ、それはそれで非常に重要な要素ではあるんですけれども、やっぱり僕はマリリンマンソンというアーティストがもつ基本的には傷つきやすく、しかしその傷つきやすところからやたら他人に対するコミュニケーションを強く求めるという佇まい、そして強く強く求めるが故に裏切られるとものすごく傷つくとう構造というのは、ロックがずっと持ってきて延々表現してきて、そして表現してきたエネルギーにものすごくたくさんのファンを集めてきたという、一番重要なところを抑えているアーティストだなぁと思います。ロックのもっている基本的なエネルギー、一番コアな部分を最もラジカルに表現しているアーティストではないかなぁという感じがします。で、今回のメカニカルアニマルズというののコンセプトというのは、そういう傷つきやすい自分に対して、世間の全く傷つかない人たち、自分の価値観や他人との距離に対して何の疑問も持たないで生活して、結果人を傷つけている人たちをメカニカルアニマルズと読んでいるわけなんですけど、その人たちと自分との戦い、そして最終的にはみんなが分かり合える時がくればいいのになぁという希望が今回のアルバムのテーマになっております。そのアルバムのテーマ曲を聞いてください。Mechanical Animals。


 マリリンマンソンのナンバー、ショックロックといわれるくらいでノイジーでシャウトするボーカルも刺激的なんですけれども、逆に僕達みたいに英語のわからない人間が彼の音楽を聞くと彼の音楽の核の部分に触れることができる気がします。マリリンマンソンは自分でこういう風にいってるんでるよね。「マリリンマンソンはある二つのことを行うために考え出されたキャラクターなんだ。一つはマリリンマンソンのことを理解できる連中に話しかけること。そして理解できない連中を怖がらせること。俺がファンに言ってることは要するに、何が美しいとか何が政治的に妥当だとかそういう社会の決まりごとにうまく馴染もうとすることに気を病むことはないんだ。自分自身を信じて正しいことを貫くんだ。自分自身の神になれっているニーチェの哲学そのものだよ。それを実践するために俺はコンサートで自分を卑しくみせ、俺にむかって唾をはけと観客に言うんだ。お前達はおれとちっとも変わらない同じ人間なんだと叫びかけているんだよ。」というメッセージで、確かに彼自身のありようというのは汚いものに自分をまみれさせてステージでのたうって見せるとか、そういうビジュアルイメージを物凄く強調して、自分を卑しくみせようとしてるんですけど、それは悪趣味なアプローチではなくて、ロックの持つ巨大なマゾヒズムというか、自分をいけにえにして逆にみんなの共生感を高めてゆくという、ロックの持っているスター性というのは、一種ファシズムであったりサディズムであったりに繋がるところがあるんですけれども、その裏返しで自分をグロテスクなものに見せてゆくことによって、逆にエモーショナルなものに高めてゆくというのは、ショックロック、例えば昔のデビットボウイやアリスクーパー、そして今のマリリンマンソンやナイインチネイルズに共有されう価値観だと思うんですよね。それってロックの一番重要なところだし、ロックの一番美しいところだという気がしますね。確かに彼はショッキングではありますけれども、もっともピュアなロックアーティストじゃないかなぁと僕は思います。もう一曲マリリンマンソンのナンバーをきいてください。New Model No. 15。



ブライアンウィルソン(Brian Wilson)から学ぶ60年代70年代のロックとの付き合い方

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 続いて紹介するのはその60年代ポップミュージックの偉大なる当事者ブライアンウィルソン。言うまでもなくビーチボーイズのすべての音を作り続けている偉大なるアーティストでありますけれども、このブライアンウィルソンの10年ぶりのソロアルバムというのが発表されました。まさに、60年代70年代ポップミュージックの当事者の作品が発表されたわけであります。聴いてください。Your Imagination。



 ブライアンウィルソンの10年ぶりのソロアルバムなんですがこれが奇跡的にすばらしい作品で、いま聴いていただきましたように、あのビーチボーイズのみずみずしい音がそのまま生き返っているという、そういう音なんですが、しかし不思議なんですよね。ほんとうに優れた60年代のミュージシャンが今作品をつくるならば、30年の時間がたっているんですよ。で、その30年をどうとらえ、時間的推移や周りの状況の変化を捉えてそれとどう新しい音を作っていくかというそういう方法しかポップミュージックの場合いい作品をつくる方法はないはずなんですが、このブライアンウィルソンの作品を聴くと、この人には30年間何にもないんですよね。60年代から突然今来て、まったく同じテンションと同じ方法論で突然このような優れた作品ができてしまう。この30年を踏まえないといい作品ができるわけがなくて、その間に本人の衰弱と周りとの緊張関係が失われて単なるつまらない懐メロになってしまうんですけれどもなってない。なんなんでしょう。これは謎です。まあ、ブライアンウィルソンはビーチボーイズの音楽活動からリタイヤし、さまざまなリハビリのなかから自分の音楽活動をやっているというのは非常に有名な話なんですが、それでもその混乱とうのはソロアルバムのなかにいろいろな形で出ていたんですけど今回のアルバムはのびのび外レートのまんまで、私にとっては60年代のアウトテイクが突然現れたというそういうものに近い、私のポップミュージックに対する理論はどこにいってしまうのだという著しいショックを与える作品で、ちょっとなんかびっくりみたいな感じですが、いいものはいいんです。she says she needs me。

 

マニーマーク(Money Mark)から学ぶ60年代70年代のロックとの付き合い方

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 ニヒリズムを捉えて、居心地の悪さを表現するにはこの人しかいないというマニーマーク。ビースティーボーイズの四人目のメンバーとしてよく知られているキーボード奏者マニーマークのアルバムを聞いていただきます。まずは一曲目。Push the Button。


 ライナーノーツがついてまして、バファロードーターの山本くんがマニーマークのことをちょっと書いてまして、その原稿がとてもいいので引用させていただきます。「数年前自分のバンドのリミックスをマニーマークに頼んだ。なかなかあがらない。絶不調だという噂も流れた。やきもきした。ようやくあがったテープを聴いたらトラックはほとんどそのままで自分の歌声をのっけているだけだった。すごく笑った。面白い人だなぁって。」これはマニーマークっていう人のキャラクターをあらわしたいい原稿です。マニーマークは誠実に対応した結果こういうことになったと思うんですけれども、今聞いていただいたように非常に優れた音楽感覚をもっている人ですけれども、ただ70年代ファンクをそのまんまやるのではなくて、実にそれに対する居心地の悪さが的確に表現されているものになっています。続いて聴いていただくナンバーは、Tomorrow Will Be Like Today、つまり明日は今日と同じだという考えようによっちゃかなりニヒルな歌なんですけれども、ただこれは非常にニヒルではない歌です。明日は今日と同じだというのをしょうがないではなく、だからこをいいんだというそういう肯定性のもとに歌っている歌なんですね。だから安直な希望ではなく、現実のリアリズムは踏まえているけれどもそのなかで前に進んでいこうという、70年代ファンクが90年代で有効ではなくなったというニヒリズムをもう一回乗り越えてそういう音楽に向かおうっていうはっきりとして姿勢がマニーマークにはあると思います。Tomorrow Will Be Like Today。



レニークラビッツ(Lenny Kravitz)から学ぶ60年代70年代のロックとの付き合い方

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 レニークラビッツでlive。



 この曲を聞くと僕らの年代であればスタンドを思い出しますけど、彼自身がそういった70年代のファンクの強い影響をうけ、そういうなかから学習してこういう音を作っているということは誰もが知っているし、本人もまた公言しているわけでありますけど、僕自身の考え方としましては、レニークラビッツは非常に優れてますし、この曲を聞いてもやらた盛り上がるわけでありますけど、ただこういうことを90年代にやるんであれば、僕自身の発想としては70年代のファンクやロックに対するどこか居心地の悪さ、そういうものに感動をうけているんだけれども、そういうものを踏まえて、今自分自身がそういう音楽をやることの居心地の悪さをどこかで表現してもらえればうれしいなというところがあるんですけれども、レニークラビッツの場合は思いっきり「気持ちいいぜぇ~イエェ~」みたいなところがあって、ちょっとどうなのかなぁみたいなと思うところがあったんですけれども、結局13曲聴くとこの人はこれでいいのかなぁみたいな、これでかっこよければいいじゃんみたいな発想に変わってきちゃったんですけれども、かけないんですけれどもThinking of Youって曲がありまして、これは彼のお母さんへの歌ですけれども、これは非常に美しいバラードで、こういう曲を聞くと、レニークラビッツはこういう熱さを70年代ファンクやロックのエモーションで叩きつけるというところがこの人の良さなんだろうなぁとだんだんそういう感想にかわっていってしまったんですけれども、これも盛り上がるナンバーです。It's Your Life。


 「みんな俺達に勝ち目はないっていう。俺達は不幸なロマンスの犠牲者だって。でも連中は真実がわかっていないんだ。俺達は連中とは違うのさ。必要ならば逃げ出したっていい。そして光り輝く新しい人生を築くんだ。」すんごい。もうこんなに肯定的でいいのかというくらい肯定的なレニークラビッツのIt's Your Life。この歌詞をこのメロディーにのせて歌われちゃうとすごいですけれども、つまり、70年代の居心地の悪さっていう話をしましたけれども、要するに70年代のロックが語っていた希望っていうものは80年代に敗れたわけですよ。でどういう風に今70年代のファンクやロックをやるかっていうと、90年代のニヒリズムをどう踏まえて希望を歌っていかなければならないかという、ニヒリズムをどう踏まえるかというところに居心地の悪さが生まれるわけですけれども、レニークラビッツの場合はニヒリズムはとりあえずおいといて、「俺はやっぱりよぅ、It's Your Lifeなんだよぅ」みたいなそのへんのイケイケ度合いがすごいかなっていうそういう意味なんですけれどもね。

ドロップキック・マーファーズ(Dropkick Murphys)から学ぶオイパンク(oi punk)について

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 みなさんオイパンクって知ってますか?80年代パンクというのはイギリスで隆盛を誇ったんですけれども、パンクロックといのはスリーコードの怒れる反体制ミュージックというそういうイメージがありますけれども実は歌詞は文学的で、歌っていることも結構ニヒルだったりするんですよね。世間的なイメージとちょっと違うんですけれども、それに対してオイパンクといのは本来のロックンロールのノリのガンガンガンガンっていうノリと思わず拳を上げて盛り上がってしまうというそういう直接的な興奮のみをピックアップして、「あとはさぁ、お前達いっしょに行くんだ!!オイオイオイオイ!!」っていうそういう掛け声の下に盛り上がるという、非常に労働者階級の熱い血潮を代弁するような音楽スタイルがあったんですよ。まあ、シリアスなロックファンからは馬鹿にされてたりしたんですけれども、そういう音楽スタイルをそのまま90年代によみがえらせ、しかもアメリカのボストン出身のバンドであるということが面白いんですけどね。聞いていただければわかるんですけれども、never aloneという曲で、歌詞なんかも典型的なオイパンクで「俺達は誇りと強さをもって団結する。ここは俺達の場所なんだ。充実した友と一緒に俺達の道を行く」というそういうのが永遠とあって、最後に「そうだよな。お前達は奴らのようにダブダブの服を着て生きていくような真似はしないでくれ。」っていうところで私は爆笑してしまったんですけれども、やっぱりオイパンクはダブダブな服を着ちゃいけないんだなぁみたいな、そういう感動を与えてくれたバンドで、私は異常に気に入っております。

 
しかし今は90年代。80年代的なストレートさだけでは押し切れないのでありまして、続いて聞いていただくのがbarroom heroという、まあバーのヒーローという内容の曲でありまして、「ドブに顔を沈めてもまだ負けを認めない。洋服も真っ黒に汚れちまっている。図体だけはでかいけれども中身はまるで子ども。奴の酒だけは取り上げないでくれ。」酒場で喧嘩ばっかりやっているんだ。昔は彼もこの酒場のヒーローだったんだけれどももうダメだよね。みたいなちょっとたそがれたニュワンスも含まれた曲なんですけれども、ただメロディーと佇まいはおもいっきりオイパンクで、オイパンクというのは一緒に歌い曲の合間に「オイオイオイオイ」という盛り上がりがすべてでありまして、そのすべてを凝縮した、語りから入るこのドラマティックな感じが最高です。



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